JSAAE News Letter

2000年 No.14 1月

Japanese Society of Alternatives to Animal Esperiments

日本動物実験代替法学会

 

目次

 

1.日本動物実験代替法学会第20回評議員会議事録(オンライン) 2

 

2.日本動物実験代替法学会第21回評議員会議事録 4

 

3.論文賞授賞論文選考結果について(報告) 6

 

4.国際交流委員会の活動報告(板垣 宏) 7

 

5.動物実験に替わる研究「代替法」のこれからに期待する

        (対談)JAVA,大野忠夫会長 8

 

6.培養皮膚モデル研究の現状−国際学会における発表より−

                     (諸田勝保) 13

 

7.第14回日本動物実験代替法学会大会のご案内 15

 

−本文−−

 

 日本動物実験代替法学会第20回(オンライン評議員会)議事録    

理研・大野 忠夫 

 

本学会評議員会のメーリングリストを、阪大・黒澤努先生に構築していただき、以下

のように、オン

ライン上で第20回評議員会を開催した。

 

開催根拠:

1.1998年11月19日に仙台にて開催された新旧合同評議員会で、今期からは評議員会

のメーリングリ

ストを作成し、インターネット上で随時新評議員間で情報交換を行うことになった。

2.本学会細則・第4章・第9条には、「評議員会は、会長によって召集され、会長が

議長となる。開

催はあらかじめその全員に通告されなければならない。」また、第11条には、「評議

員会は評議員の

半数以上の出席を以て成立する。」とある。

 

開催期間:1999年8月20日(金)-25日(水)、なお、会期が短いという指摘があり、

ボローニャにお

ける国際会議の後、9月21日(火)まで会期を延長した。

開催場所:[alt-board:49-]

参加者(返信順):大野忠夫、前島一淑、大野泰雄、塩田浩平、鎌滝哲也、金子豊蔵

、佐藤温重、吉

村功、堀井郁夫、板垣宏、田中憲穂、帯刀益夫、大越健自、高仲正、土屋利江、杉山

隆、小島肇夫、

横山篤、秋田正治、二宮博義、渡邉正己、黒田行昭、梅田誠、阪本典子、小野宏、井

上達、栗下昭

弘、星宏良

 (電子メールを利用されてない)東海林隆次郎 (ご自宅 Tel&FAX:0572-25-0870)

オブザーバー・黒澤努(大阪大学医学部附属動物実験施設・本学会のホームページ

 http://hayato.med.osaka-u.ac.jp/index/societies-j/alt.html管理者)

 

議題:

1.報告事項

1)庶務幹事・会計幹事中間報告

2)各委員会報告(企画、編集、財務、国際交流、規約検討特別)

3)次期大会について

2.協議事項

1)規約改正について

2)2001年大会について

3.その他(次回、face-to-face会議開催日程等)

 

議事:

1.報告事項

以下の報告があった。

庶務幹事報告 -> alt-board:89] 、

  会計報告 ->[alt-board:82] 、

  企画委員会 -> [alt-board:84]および「 平成11年度日本動物実験代替法学会

研究助成テーマ

の募集」要項報告および「代替法バリデーションに関するアンケート結果まとめ」->

[alt-board:120] 、

  編集委員会ニュ−スレタ−担当 -> [alt-board:85]、

  AATEX編集担当->[alt-board:90]、

  財務委員会 -> [alt-board:87]、

  国際交流委員会->[alt-board:92]、

  規約検討特別委員会 -> [alt-board:80]。

 次期大会:金子豊蔵先生に大会会長を依頼した。

 

報告事項に関して、以下の議論があった。

1)論文の集まりが悪いという内容が深刻であると思いました。海外の動物代替法関

連の雑誌との

ジョイントなどは、将来的に考えられないのでしょうか?

2)事務局およびレフリーの諸先生は大変お忙しいことと思いますが、投稿者への連

絡をもう少し、

速やかにしていただけると、AATEXへの投稿に意欲が出て来るのではないでしょ

うか。

3)会員は減っていますし、賛助会費も減っています。

4)学会活動の活性化のための提言があった:

(1)学会活動は、個人個人の学術活動をその基本として運営することに腐心する。

(2)学会の活動は社会に公表する。その意味で、一般公開セミナーの開催はよい

提案であり集ま

る人数などは恐れずに開催するのが望ましと思います。集まりが悪ければそれがこの

学会に対する評

価ですのでさらに積極的に宣伝する必要があります。

(3)学会の活動を公表する最もよい手段は、広報媒体の活用である。その意味で

、ホームページ

や機関誌の質の向上は重要だと思います。AATEXの活性化の方法は、代替法の趣旨を

充分に理解し、学

会の中心的役割を果たしている会員が率先して論文を投稿すること以外にありえませ

ん。評議員ある

いは編集委員は年に1報以上、AATEXに自分の最もよい論文を投稿する必要があります。

(4)学会賞は、その評価の内容を公表し、受賞の理由を明らかにする。

5)また、"新しい技術開発やそれにつながる基礎研究の活性化に力を注ぐ時期にあ

るのではないで

しょうか。"には賛成いたします。...ただ、安全性試験を行う機関においては、バリ

デーションの必

要性は高く、世界の趨勢を見ましてもまだまだバリデーションは必要と考えます。

6)動物実験代替法という点から、近年、創薬の面から High-throughputの手法の必

要性からの Cell

culture system とか Genomics の手法を用いた種々の New technology の開発が求

められており、こ

のようなStrategy から派生した代替法もどんどん取り入れるのも一案かもしれません。

 

2.協議事項

1)規約改正について、は遅れているということで検討は次回に延期した。

2)2001年大会については、「大方の評議員の意見は賛成(ただし当面は2001年

度に限り)だが、

相手のあることなので問題点等を検討する予備会談に入ってはどうか」ということに

なった。

3)協議事項の追加案件として、 論文賞選考委員会から報告があった。

4)提案(ボローニャの国際代替法学会で、阪大・黒澤先生のグループから、当学

会ホームページ

についてポスター発表があり、大変、好評でした。その際、当学会のホームページを

充実するに当

たって、現在はボランティアベースで阪大のコンピューターに間借りしておりますが

、迅速な更新・

安定的ページ維持等を考えると、そろそろ民間プロバイダーか行政支援のある各種学

会が集中してい

るホームページプロバイダーに、当学会のホームページを移すべき時期にきているの

ではないか、と

の提案が黒澤先生からありました。この件についても、ご検討の上、賛否のご意見を

お願いしま

す。)があったが、特に意見は出ていない。

 

3.その他

  杏林大学医学部・遠藤仁先生より、

  次回評議員会(Face-to-face会議)は、

  11月14日(日)11:00AM-1:00PM、 順天堂大学9号館会議室で開催する。

 

(以上)

 

 

 

 

 日本動物実験代替法学会第21回評議員会議事録           

二宮 博義

日 時:1999年11月14日 11:00-13:00

場 所:順天堂大学有山記念講堂隣接会議室

出席者:秋田、板垣、井上、梅田、大野(忠)、大野(泰)、小野(宏)、金子、鎌

滝、小島、佐藤

(温)、杉山(隆)、東海林、高野、田中(憲)、村、土屋、二宮、 星、

吉村、横山 (21名)

オブザーバー(遠藤:第13回大会長、黒澤:学会ホームページ世話役)

配布資料:第18、19回議事録(案)、会計報告、企画委員会報告、代替法バリデーシ

ョンに関するア

ンケート結果のまとめ、国際交流委員会報告、論文賞選考委員会報告、財務委員会報

告、編集委員会

中間報告、規約検討特別委員会報告、本会細則改正案、

 

1. 第18,19回評議員会議事録を確認した。第20回オンライン評議員会議事録は会長

が作成予定。

2. 庶務報告(二宮):平成11年度の賛助会員および会員数が報告された。

賛助会員:15件、一般会員:340名(8月23日現在)

3. 会計報告(小島):平成10年度決算および平成11年度予算執行状況が報告され報

告どおり承認さ

れた。

4. 専門委員会報告:各委員会委員長より平成11年度活動の概要が報告された。

編集委員会(小野(宏)):平成11年度のAATEXの発行状況と投稿原稿が減少してい

る旨報告があっ

た。各評議員の投稿を促す発言があった。AATEXの寄贈先のリストを作成し配布する

ことを確認した。

企画委員会(大野(泰)):平成11年度の研究助成を今井弘一(大阪歯科大学)会

員に決定したと

の報告があった。

財務委員会(黒田):黒田氏欠席のため、小島氏が代弁した。学会の財務状況が逼迫

していること、

次年度は約100万円の赤字の見込みである旨報告があった。

  学会活性化について評議員会等での真剣な議論が必要との提言があった。

国際交流委員会(板垣):以下の報告があった。

第3回国際会議の発表者5名に渡航助成を行った。

前島(慶応大)、板垣(資生堂)が韓国で講演を行った。

規約改正特別委員会(佐藤(温)):学会規約(改定案)および顕彰規定(案)が審

議された。一部

修正の上、承認された。

論文賞選考委員会(佐藤(温)):論文賞選考の基本方針を検討した上で、第1回(

平成11年度)

論文賞として3篇を選出した。

5. 会長報告

 11月12日に国立衛研にて運営委員会を開催した。学会活性化のため、広報委

員会を特別委員

会として設置する。委員は、理研・大野、食薬セ・小野、阪大・黒澤、メナード化粧

品・小島で構

成、特に委員会予算はつけない。ただし、ホームページ維持のためwebmasterを依頼

することとし、従

来からインターネット関連費用としていた予算を有効利用する。今後、この広報委員

会が、学会外へ

の対応窓口となる。

 会員向けにe-mail newsを発行する。広報委員会はこのためのマネージメントを

行う。

 この他、一般市民向け・教育向け・行政向けアッピールを出すことを目標に、資

料収集等の活動

を依頼する(二宮評議員に依頼済み)。

6. 規約改正:学会会則の細則(改定案)および顕彰規定(案)が一部修正の上、承

認された。今後、

会長、副会長の選挙にあたっては、それぞれ個別に投票することとなり、1人1票、

単記無記名投票

となる。

7. その他:

1)2001-2002年度役員選挙のための選挙管理委員会を設置した。

   板垣、佐藤(温)、金子の3名

2)学会活性化の具体案として、大野(忠)学会長より以下の提言があった。

   学会主導のテーマとして、アレルギー、高血圧、HTS、ワクチン検定、代替法

教育等を掲げ活動

する。大会においてディベートセッションを設けるよう、大会会長に依頼する。

3)次年度の第14回大会長に金子豊蔵(国立衛研)氏に決定した。

   金子氏より、学会の抱負と会場(市川市市民会館)の紹介があった。

4)遠藤(仁)氏より1999年度大会ゴールデンプレゼンテーション賞の発表があった。

・杉山真理子氏他3名(資生堂)

・成川新一氏他6名(杏林大・医)

                         

以上

 

 論文賞授賞論文選考結果について(報告)                

                  論文賞選考委員会委員長  佐藤 温重

 

本委員会において慎重に選考を行い、下記の3論文を授賞論文候補とすることに決

定致しました。

 

1.Omori,T., Saijo,K., Kato,M., Hayashi,M., Itagaki,H., et al.:

  Validation Study on Five Cytotoxicity Assays by JSAAE-II.

  Statistical Analysis, AATEX 5, 39-58,1998.

 

 論文賞選考理由

  本論文は学会で行った多施設バリデーション研究の一つで、細胞毒性試験で得ら

れたデータの統

計処理法に関して非線型最小2乗法を適用し、コンピュータープログラムを開発し、

各研究機関の

データを整理した論文である。

  細胞毒性試験におけるED50値の推定法を開発した点が新知見であり、代替法とし

て重要な細胞毒

性試験に寄与するところが大きく、本学会論文賞授賞に値する。

 

2.Kojima,H., Sato,A., Hanamura,A., Katada,T. and Konishi,H.:

  Evaluation of skin irritation in a reconstituted human dermal model

(3-D model) using water insoluble fatty acids, fatty alcohols and

hydrocarbons,

AATEX 5, 201-210,1998.

 

 論文賞選考理由

  Draiz法による毒性試験の代替法として、三次元培養EpiDerm TMを用い、脂肪酸

等についてMTTに

よる毒性、LDHやPGE2放出などを指標として比較し、この方法がヒト皮膚刺激試験結

果と良く対応する

ことを示した論文である。

  EpiDermについては既に報告があるが、この方法が皮膚刺激性評価の新しい技法

であることを示し

た点で、論文賞授賞に値する。

 

3.Ohno,T., Asakura,M., Awogi,T., Futamura,Y., Harihara,A., et al.:

  Validation Study on Five Cytotoxicity Assays by JSAAE-I.

  Overview of the Study and Analyses of Variations of ED50 Values,

AATEX 5, 1-38, 1998.

 

 論文賞選考理由

  学会が1992年から始めたDraiz法の代替法としての細胞毒性試験について多

施設バリデーショ

ンの結果の総まとめをした論文である。

  42試験機関が参加し、3種細胞株を用い、5種の細胞毒性試験法についての

3,810のデータを取

りまとめたものである。他のバリデーション研究に与えた影響は大きく、論文賞授賞

に値するもので

ある。

以上

 国際交流委員会の活動報告                       

               委員長:板垣 宏

           委 員:小野 宏、黒澤 努、横山 篤、吉村 功

 

 国

際交流委員会としては、主に第3回世界代替法会議への対応を中心に活動致しました

その詳細は以下の通り。

1.同会議で発表する研究者への渡航助成に関する公募と審査:

  結論として申請者5名総てに対して助成を決定した(資料1)

2.同会議への助成($3000)と参加者に対するAATEXの配布

  (700部を予定)等に関する会議事務局への交渉

3.同会議におけるAdvisory Committee委員として活動

  (小野宏先生及び板垣)

4.本学会のhome pageに関する黒澤先生のポスター発表

  (学会として渡航助成)

 

その他の活動としては、

 韓国毒性学会より、前島一淑先生と板垣が招待講演の依頼を受け、「毒性評価にお

ける動物実験代

替法の現在と将来(前島先生)」、「化粧品原料の安全性評価における動物実験代替

法(板垣)」の

テーマで講演した(本年5月27日)。なお、その際、AATEXを持参し、韓国毒性学

会と日本動物実験

代替法学会の交流を深めた。

 

資料1:渡航助成に関する選考のまとめ

 

以下の点を考慮して審査を実施した。

1)予定人数枠10名に対し申請者が5名であるので、なるべく多くの方を参加させ

るべく、年齢を

考慮に入れない。

2)助成金額は、News LetterやHome Pageに案内したように一件当たり10万円とす

る。予算案(1

00万円)との差額は学会に返却する。

3)本国際交流委員会としては、申請された発表内容が代替法の3Rに基づくことを

審査する。

 

申請者、テーマ及び3Rとの関係は以下の通り。

1)秋田正治(鎌倉女子大学家政学部)、36才

  テーマ:Effects of thalidomide and its metabolite on growth and

differentiation of rat

embryos in whole enbryo culture.

  3Rとの関係:ラットの全胚培養を用いる発生毒性試験の代替法研究であり、

Reduction

及びRefinementに該当する。

2)今井 弘一(大阪歯科大学歯学部)、47才

  テーマ:In vitro embryotoxicity tests of polymeric substances for dental

 use with

cardiogenesis differentiation of embryonic stem cells.

  3Rとの関係:マウス由来のES細胞及び3T3細胞を用いる発生毒性試験の代替法

研究であり、

Replacement及びReductionに該当する。

3)大谷若菜(酪農学園大学獣医学部)、25才

  テーマ:A new web site. As a guide at the information desk of

alternatives to animal

experiments(AAE).

  3Rとの関係:代替法に関する情報の整理とその案内窓口としてのweb siteの開

発に関する研究

であり、3R総てに該当する。

4)酒井康行(東京大学生産技術研究所)、34才

  テーマ: An attempt to develop a simple multi-layered cytotoxicity

testing system

including absorption and biotransformation processes.

  3Rとの関係:吸収と代謝を考慮する細胞毒性試験の研究であり、Replacement

に該当する。

5)美馬信(大阪女子短期大学保健科)、57才

  テーマ:Comparison of developmental toxicity of

2,3,7,8-tetrachloro-dibenzo-p-

dioxin (TCDD) and some of its related compounds in xenopus laevis.

  3Rとの関係:アフリカツメガエルを用いる発生毒性試験の代替法研究であり、

Reduction及び

Refinementに該当する。

 

審査結果

5名の申請者について代替法の3Rに基づく内容であることを確認したので、全員

を渡航助成金交

付の対象者とした。

 

 

 動物実験に替わる研究「代替法」のこれからに期待する(対談)      

            JAVA事務局

 

 去る11月13日と14日、第13回の代替法学会が開催されました。代替法学会は、ここ

3年ほど積極的に

市民の参加を受入れてきましたが、今年の学会においても市民フォーラムが開かれた

り、JAVAのよう

な市民団体も交えた懇親会が開かれるなど、市民が参加するユニークな学会として注

目されていま

す。

 JAVAは3年前、市民団体としては初めて代替法学会の賛助会員になり、動物実験の

廃止を求める立場

から代替法の普及啓発活動にも力を入れてきましたが、この度、代替法学会会長の大

野忠夫先生を、

筑波にある理化学研究所にお訪ねしました。

 

服部:大野先生は、今年、日本代替法学会の会長に就任されましたが、まず学会が設

立された経緯に

ついて間単にご説明頂けますでしょうか?

大野:学会の前身は、昭和59年に理化学研究所に作られた「動物実験代替法検討会」

で、平成元年の

第3回研究発表会の時、「日本動物実験代替法学会」として発足しました。当初は、

年に5〜10件ほど

の研究をしているだけで、59年には科学技術庁へ代替法に関する提言を行ないました

が、当時はま

だ、取り上げてもらえないような状況でした。この理化学研究所は、95%が政府から

の出資金による

科学技術庁管轄の特殊法人で、将来どのような研究をすれば役に立つかといったリサ

ーチを行なって

いて、その研究のひとつが、ドレイズ法の代替法を含む代替法研究だったのです。そ

れが10年前のこ

とになります。

服部:10年前に学会が発足したというと、日本では、代替法という研究分野自体が新

しいものと言え

ますね。この前開かれた第13回の代替法学会では、とてもたくさんの研究発表がされ

ていて、10年間

で随分研究分野が広がったという印象を受けましたが・・・。

大野:ええ、今年開かれた第13回代替法学会では、実に様々な研究発表がありました

ね。特にウサギ

の目を使ったドレイズ法、これに替わるものを開発するというのが当初の目的のひと

つでしたが、ド

レイズ法の代替法研究は盛んです。学会発足当時から、他にもどういった代替法をや

ったらよいか、

といった提案が色々されています。例えば、合成品を使ってタンパク質の変化を調べ

たり、それと平

行して細胞を使って毒性を調べる実験も当時からやっていました。今では、ドレイズ

法の一部につい

ては、ウサギを使わずに毒性試験ができるところまできています。

服部:ヨーロッパではすでに1959年に、ラッセルとバーチが代替法研究における原則

とされている「3

つのR」を提唱していますので、それに比べると日本の代替法研究はかなり遅れて出

発したというこ

とでしょうか?

大野:そうですね。JAVAの歴史がヨーロッパの同じような団体の歴史と比べると遅れ

ていると思いま

すけど、それと同じように、日本は代替法研究の面でも遅れていましたね。

服部:JAVAができたのが13年前ですから、同じ頃日本での代替法研究もスタートした

んですね。欧

米、特にヨーロッパでは、動物愛護の歴史自体が長く、それに比例して動物愛護の面

から動物実験へ

の批判がとても強いといった歴史を持っていて、代替法も元々は、動物実験に反対す

る市民の声に応

える形で生まれたと言われています。日本の場合は、その辺はどうなのでしょうか?

大野:ええ、日本において代替法が生まれた出発点もやはりそこでした。世界の流れ

を見ています

と、動物実験は容易ではなくなるというのがはっきり見えていましたから、他のもの

を使わなくては

いけなくなるだろう、そこに研究の必要性がどうしても出てくるだろうということだ

ったんです。一

番いいのは人間を丸ごと使うことですが、これは倫理的に許されません。しかも動物

もダメとなる

と、これは簡単にいかない、大いに研究する必要があるということで、京都大学の菅

原努先生が代替

法の研究会を作られた訳です。

服部:代替法と一口に言っても、ドレイズテストやLD50(急性毒性試験)のような

毒性試験を、動

物を使う替わりに培養細胞を使って行なうin vitro試験法などだけでなく、コンピュ

ータモデルを使

う教育実習とかも、広い意味での代替法と考えられていますが、欧米では、教育分野

での(広い意味

の)代替法にはめざましいものがあると思います。日本でも最近は、毒性試験の代替

法は盛んになっ

てきましたね。代替法としての研究分野というのは、確立されているのでしょうか。

大野:きっちりと確立された代替法という分野はまだできていないですが、一番特徴

的なのは毒性試

験の分野ですね。それと生化学的な方法を使うとか、薬理試験法の分野もあります。

薬の作用を調べ

る場合にですね、薬物がどうやって分解されて出ていくかといった薬物の代謝の分野

では、ネズミと

人とでは非常に違って、ネズミで得られたデータをそのまま人に当てはめることがで

きない、という

のが分かっています。例えば、神経に作用する薬を調べるのに、ネズミを使ったので

は、ネズミは鈍

感なためにたくさん投与しないと効果が現れない。それを敏感な人間に、例えば体重

で計算して1000

倍も投与したとしたら、これは大変なことになってしまいます。それじゃ人を使えば

できるかという

と、人を実験動物の替わりにすることはできませんので、どうしても人の体の外で実

験出来るシステ

ムを作らなければいけない訳です。

服部:それが、動物実験の致命的な欠陥と言われる「種差」の問題ですね。人と動物

、あるいは動物

同士の間でも、種によって代謝機能は皆違うのですね。

大野:ええ、(種によって)それぞれ似ているところと違うところがバラバラですか

ら、実用性とい

う観点からみて、ネズミではダメ、犬でもダメ、豚がより近いかな、という程度のも

のでしてね、や

はり人間じゃなきゃダメだよ、という人もいます。

服部:動物実験は、動物を人のかわりに見立てて実験し、人に対する薬の効果や副作

用など予測する

にすぎない訳ですから、当然そこに「種差」という問題が起こる。そういった面から

も、代替法の必

要性が強調されているのですね。大野先生は、代替法学会のニュースレターの中で、

「動物実験は、

人体実験が不可能なゆえに、ヒトの代替という側面を持ちます。この側面のうち、ヒ

ト個体ではなく

ヒト組織の一部を入手できるだけで実験が可能な部分については、動物実験を飛ばし

てしまうことが

可能です。」と述べていらっしゃいますが、最近急速に「ヒト組織」を使った研究が

非常に注目され

るようになりましたね。

大野:アメリカのベンチャー企業が、人の細胞を使って人の組織によく似たものを試

験管の中で作る

ことに成功しています。これが7〜8年前のことで、残念ながら最初に開発した企業は

経済的な理由で

撤退してしまったのですが、最近また別の企業が開発に乗り出しています。私がやっ

ている「細胞の

培養」というのは二次元なんですが、この皮膚組織は「三次元モデル」といって立体

的なんです。こ

の前イタリアのボローニャで開催された世界代替法学会でも、この「人工皮膚」を毒

性試験の代替法

として使ってください、ということで盛んに宣伝されていました。日本代替法学会で

も、「皮膚毒性

試験の国際動向」というワークショップをやっていますね。

服部:アメリカでは、新薬の承認申請をする段階で、ヒト組織のデータの提出も求め

られるようです

が、この試験法は欧米ではかなり普及しているのでしょうか。

大野:ええ、アメリカでは、臓器を提供するのと同じ考え方で、自分が死んだら自分

の「組織」を研

究に使ってもらってかまいません、というボランティアの方が一杯いらっしゃいます

ね。研究のため

にどうぞお使いください、といった登録をするところもありますし、臓器移植をする

ときに、もし

余ったらそれを研究用に回してもかまいませんという方や、交通事故で死んだら使っ

てくださいとい

う方もいらっしゃるでしょうし・・・。ヒトの組織を有効に学術研究に役立てるため

のNGOも活動

していて、そういうところを通して、ヒトの組織が入手できるんです。日本ではまだ

、アメリカのN

GOに対応する団体ができていませんが、それをオーガナイズしようという動きはあ

りますね。

服部:科学的にも信頼できて、しかもコストが安く、試験結果が早く出るといった条

件が揃えば、経

済的な効果も期待できるということでしょうか。代替法研究が普及するためには、経

済性というのは

大切な要素だと思いますが、それにも増して、市民のコンセンサスを得られるかどう

かが、今後代替

法の発展に大きく影響してくるのではないでしょうか。これは、どんな科学研究でも

言えることだと

思いますが・・・。代替法研究における命題と言われる「3R」については、どうお

考えですか?

大野:日本の代替法研究者にとっても、「3R」というのは哲学ですね。3つのR、す

なわち

Replacement、Reduction、Refinementの3つがあって、代替法研究が初めて理想的に

進むと考えていま

す。日本語で「代替」と訳されているので、AをBに置き換えることととられがちで

すが、それは狭

い意味の代替であって、英語のオルターナティヴというのは「別の方法」という意味

であって、置き

換えももちろん含んでいますけどそれだけじゃなく、色々な方法があっていいんじゃ

ないか、という

ことなんですね。数を減らすということと、置き換えるということは、それぞれ独立

した因子と考え

られています。つまり、ある動物を使わざるを得ないとすればできるだけ自然な状態

でデータをいた

だきたい、無用な苦しみを与えなくてもいいじゃないか、といった研究も含まれてく

る訳ですね。

服部:私たちからすると、動物を使わない研究なら支持できますし、「置き換え」に

最終的な目標が

あるならば大いに応援しましょうということなのです。今は、代替法研究というもの

が開発途上の過

渡期であり、段階を踏んで発展するものだとしても、代替法研究者にとっても目指す

ものは「置き換

え」だと理解しています。私たちとしてはどうしてもそこに期待してしまいます。

大野:それは止むを得ないですね。本当は動物を使わないのが一番いい訳ですから。

目指すものは、

Replacementであると理解していいんじゃないでしょうか。

服部:例えば、JAVAが行なったアンケート調査でも代替法で安全性試験ができるなら

ばそちらを選

ぶ、と答えた人は89%にものぼっています。この数字は、代替法に対する市民の期待

の大きさを如実

に表していますね。それと、これはどんな科学研究についても言えることですが、環

境に対する配慮

がなかったり生命倫理に反するような科学研究に対しては、もっと市民の目が厳しく

なっていくと思

うんですね。その点代替法は、元々動物実験に反対する市民の期待に応える形で生ま

れた学問という

ことですので、これからも倫理的な面での批判に耐えられる研究であってほしいです

ね。

大野:ええ、それはもう十分わかっております。ただ研究は、あくまでもサイエンス

のベースのうえ

に乗ってないといけませんのでね。倫理的であったとしても非科学的であっては困る

ので、きちんと

したサイエンスを押さえながらやっていきたいと思ってます。簡単じゃありませんよ

、この分野

は・・・。言うなれば、試験管の中でひとつの生命体を作るのと同じくらいの苦労が

ありますね。努

力が始ったばかり、というところでしょうね。

服部:まだまだこれからの研究分野なのですね。今は、「代替法」という存在さえ知

らない人が大半

なのですから。3年程前、代替法研究者の方にお話しを伺った時も、その予算の少な

さに驚きました。

厚生省も、ここ数年になってやっと重い腰を上げだした、といった状態のようですし

。今JAVA

は、厚生省に対しても、代替法をもっと積極的に認可するように働きかけたり、代替

法学会にも参加

するなどしているのですが、こういった市民サイドの働きかけについてはどう思われ

ますか?

大野:歓迎しています。出発点が科学者の団体なので、研究を中心に置こうというの

は変わらないん

ですが、社会に対して「こういうことをやってますよ」と理解してもらうには、色ん

な意味でのPR

も必要ということで、今回の学会でも市民フォーラムなどを設けたり、倫理的な問題

とかを議論して

きました。この次ぎ位からはまた、サイエンスの部分で解決しなければならない大き

な問題は何があ

るだろうかと検討して、その何年か先にはまた市民の皆さんに開示していく、という

ように往復があ

ると思います。

服部:ここ数年、代替法学会は市民に対して積極的に参加を求める方針をとってこら

れたように思い

ますが、市民に対して開かれた学会という姿勢はこれからも続けていっていただきた

いですね。何し

ろ、私たち市民の持っている動物実験に対する拒否反応は強いものがあります。その

分、代替法に対

する期待も大きいですね。

大野:余り大きな期待をかけられては、ちょっと荷が重い。(笑)置き換えというの

には、大変な努

力を必要とします。毒性試験法のバリデーション、この研究ひとつ実行するだけでも

数千万円の費用

がかかる訳ですから、すぐに置き換えが進んだと思われると、期待の重さにつぶされ

ちゃいますから

ね・・・。

服部:それは、分かっております。あくまでも、今は過渡期にあると理解しています

ので。でも、将

来性は大いにありますよね。

大野:将来性はあります!今、厚生省も我々が作ったバリデーションと、厚生省自身

が作ったバリ

デーションの原案をもとにして、ガイドラインを検討中なのですね。いつ実現するか

は別としても、

厚生省がそれを取り上げるようになったこと自体が歓迎すべきことなんです。

服部:そうですね、10年前は代替法を取り上げることさえしなかった訳ですから。ヨ

ーロッパでは化

粧品の動物実験廃止が現実のものになろうとしていますが、代替法研究が始った頃、

40年間でここま

で代替法が普及するとは、誰も予測していなかったのじゃないでしょうか。それを考

えれば、まだ

始ったばかりなのですから、まだまだこれから発展が期待できる新分野の学問と言え

ますね。私たち

も、代替法が生命尊重の理念にたった科学として発展し確立するよう、市民の立場か

ら大いに支援し

ていきたいと思っています。

 

*豆知識・・・代替法の「3R」

「3R」とは「動物実験代替の定義」といわれているもので、1959年にRussellと

Burchが提言しまし

た。代替法の研究者の間では、この3つのRを目指すことでコンセンサスが得られてい

ます。

◇Replacement・・実験材料としての実験動物を他のもので置き換えること

◇Reduction・・実験方法を工夫して使用実験動物数を減らし、また実験期間の短縮

をはかること

◇Refinement・・実験技術の改良・処置により、実験動物の苦痛をできるだけ軽減す

ること

 

【対談を終えて】

 2000年にはヨーロッパにおける化粧品の動物実験の禁止が実現化されようとしてい

ますが、そこに

は、代替法研究が大きく寄与したと言われています。

 大野先生のお話しを伺ってみて、日本においてはわずか10年前にスタートした代替

法研究がここま

で発展してきたその陰には、研究に携わる方々の大きな努力があったことを改めて実

感しました。

 その代替法が生まれたきっかけが他ならぬ動物実験への批判であり、市民の声が代

替法の発展をう

ながしてきたという歴史を振り返るとき、代替法の発展も動物実験の廃止も、やはり

私たち市民の力

なくしては実現できるものではないということが再認識されます。動物実験に替わる

方法を人間の叡

知を尽くして開拓する---それは、動物実験によって罪のない動物たちを苦しめてき

た私たち人間に課

せられている義務であり、今はその努力がようやく始った段階と言えるのではないで

しょうか。動物

実験は薬や化粧品の毒性試験にとどまらず、医学研究や学校教育など様々な分野で行

なわれていま

す。広い意味での「動物実験の代替」を押し進めていくために市民の担う役割は大き

く、対談をして

みて、市民の側から代替法をサポートしていくことがいかに重要であるか、一層強い

確信を持つこと

ができました。

 培養皮膚モデル研究の現状−国際学会における発表より−      

                  グンゼ(株)研究開発部 諸田 勝保

 

1999年8月29日から9月3日に開催された第3回動物実験代替法学会に出席い

たしましたの

で、培養皮膚モデル研究者の立場からご報告するとともに、あわせて培養皮膚モデル

研究の現状につ

いての私見を述べたいと思います。

(1) 国際学会における発表

学会では広範な研究発表がなされましたが、培養皮膚関連の研究は主に

      The Use of Reconstituted Tissues and Co-cultures

      Case Studies: Eye and Skin Irritation

     Case Studies: Skin Sensitization

の3つのセッションにカテゴライズされているようでした。このうち直接培養皮膚に

関連するのが2

0題程度、バリデーション研究等も含めると30題程度であり、堂々たる一分野を形

成しつつあるよ

うです。

研究発表の傾向を大別すると

1)従来モデルの分析、比較およびバリデーション

2)従来モデルの応用

3)バリエーションモデルの開発

といった感じでした。この中から、特に印象に残ったものについてご紹介します。

 

1) 従来モデルの比較等

  ここで従来モデルとは最も基本的な角化細胞、線維芽細胞の一方または両方を含

むモデルと考え

て下さい。もはやこの種の培養皮膚モデル自体は新規なものではなくなってきており

、単に「モデル

ができました」といったような報告は減っています。一方で商業的に入手可能なモデ

ルの種類が増え

てきており、それらを冷静に分析・選択しようという段階に入った印象を受けました

。その中でロレ

アルの

TESTING AND IMPROVEMENT OF RECONSTRUCTED SKIN KITS IN ORDER TO ELABORATE

EUROPEAN

STANDARDS: FIRST RESULT

は現在ヨーロッパで入手できる3種の培養皮膚モデル、Epiderm、SkinEthic、

Episkinを詳細に分析し

ており、その分析項目だけでも非常に参考になります。彼らの結論では皮膚構造、代

謝機能は3者と

も同等で本物に近いが、刺激性予測、皮膚透過能などはEpiderm、SkinEthicが本物に

近く優れている

とのことでした。

 

2) 従来モデルの応用

 従来モデルの新規な用途開発として感作性の予測に用いる研究が行われていました。

SPECIFIC ENHANCED RELEASE OF INTERLEUKIN-8 AND INTERLEUKIN-1α IN

RECONSTRUCTED HUMAN

EPIDERMIS IN VITRO AFTER STIMULATION WITH DIFFERENT CHEMICAL CLASSES OF SKIN

IRRITANTS AND

CONTACT SENSITISERS

によると刺激性物質と感作性物質ではIL−8、IL−1αの放出パターンが異なる

ことから、その

パターンを調べることにより感作性の予測が可能であるとのことでした。残念ながら

この研究に対し

てはフロアから疑義の指摘があったようですが、私見としては外界に対する最大の感

覚器官である皮

膚、表皮の大部分を占める角化細胞が感作性においても大きな役割を担っている可能

性はあるのでは

ないかと考えます。

 

3) バリエーションモデルの開発

 皮膚の構成成分は角化細胞、線維芽細胞に限りません。色素細胞、ランゲルハンス

細胞を組み込ん

だ新しいモデルや、粘膜モデルなどの発表がありました。これらのバリエーションモ

デルはモデル自

体の提案は以前からあったものの、実用面、例えばどういった試験系を組めばよいの

かといった提案

が不十分であったのですが、今回、

  

MELANODERM: AN EPIDERMAL TISSUE MODELS CONTAINING FUNCTIONAL MELANOCYTES

では、色素細胞を組み込んだモデルを用いて化粧品美白成分の効果、例えばコウジ酸

や紫外線の影響

の検討を行っており興味深いものでした。ちなみに、この研究で用いられた

MELANODERMは日本でも入

手可能だと聞いております。

 

(2)培養皮膚モデルの現状と課題

最初の商業的な培養皮膚モデルの発売から10年以上、我が国においても多くの新し

いモデルが開発

されユーザーはより優れたモデルを取捨選択できる時代になってきました。その意味

で培養皮膚モデ

ルはようやく実用化の段階に入ってきたと言えます。

しかし個人的には、この10年間ほとんど研究は進んでいないのではないかと思える

ときがありま

す。実際、培養皮膚モデルの構造自体10年前に完成されたものと大きな差はありま

せんし、MTT

法など刺激性検出の技術も10年前には既に確立されていました。現在も研究発表で

多いパターン

「何点かの被験物質について試験を行い動物実験と比較したところ良い相関が得られ

た。よって本法

の有用性が示唆された。」も10年前から変わっておりません。

もちろん、これらの地道な研究の積み重ねが重要であることは承知しておりますし、

私自身こういっ

た研究を行ってきました。しかし、これまでの研究の反省点としてあまりに研究が一

方向にすぎたの

ではないか。つまり、培養皮膚研究の多くが我々のようなメーカーあるいはその共同

研究者である

ユーザーが、完成した培養皮膚モデルを発信し、その性能を検討するという方向がほ

とんどではな

かったかということです。今必要なのはむしろ逆のベクトル、原点に返ってそもそも

皮膚刺激の予測

に本当に培養皮膚が有効なのか、あるいはどのような性能を満たせば動物実験を代替

できたと言える

のか、といった議論ではないでしょうか。近年盛んに行われているバリデーションも

、この議論無し

には結論を出すこと自体不可能ではないかと思います。

具体的には次のことが必要ではないかと思います。

 

1) 具体的な目標の設定

世界標準の必要はありません。日本国内の一産業分野における暫定的な目標でもよい

から、具体的に

「動物実験を代替できたというからには最低限これだけはできねばならぬ」という基

準を設けるべき

です。これを定めないことには話が進みません。現在のように数十種の物質について

の相関性をいく

ら積み上げていっても代替性の証明にはならないし、そもそも証明可能な命題ですら

ないのですか

ら。暫定目標が技術の進歩によって陳腐化すればまた新たな目標を立てる、これを繰

り返すことでよ

り良い方法に仕上がっていけるのだと考えます。

 

2) 標準物質の設定と基準データの整備

前項と関連して、研究者が同じ土俵の上で議論するためには出所の明確な標準物質を

決めそれを頒布

できる体制が必要です。現状ではバリデーション論文の追試を行おうにも被験物質の

入手すらできな

いことの方が多いのです。

 

3) 培養皮膚モデルの限界の把握

我々の究極の目標はヒトリスクの予測であり、その意味で動物実験自体も代替法であ

るといえます。

ヒト試験の代替法としての動物実験が多くの問題を抱えつつ未だに有効と考えられて

いるのは、長い

経験の中でその限界が把握されており、熟練した技術者ならその欠点を補えるからだ

と思います。培

養皮膚についてもその問題点を明らかにした上でそれを補えるようなアプローチが必

要ではないかと

思います。

 

これらのことは一企業、一研究機関の成し得るものではなく、多くの研究者の賛同の

もと議論を深め

て行くべき問題であり、本学会の強力なリーダーシップを期待するところであります

。また、我々

メーカーも性能面の改良はもちろん、以前よりご指摘の多いコストの問題や、安定供

給の問題などに

取り組んでいきたいと思います。

 

 

 

      第14回日本動物実験代替法学会大会案内(1)

 

平成12年度の本学会大会の開催日時と会場が決まりましたのでお知らせ致します。

1. 日時

   平成12年11月16日(木)、17日(金)

2. 場所

   市川市文化会館

   〒272-0025 千葉県市川市大和田1-1-5

   TEL: 047-379-5111(代) FAX: 047-370-0180

2. 大会事務局

   〒158-8501 東京都世田谷区上用賀1-18-1

   国立医薬品食品衛生研究所毒性部

   第14回大会長 金子 豊蔵

   事務局長    小川 幸夫

TEL:03-3700-9646

FAX:03-3700-2348

E-mail: jsaae14@nihs.go.jp

 

編集後記

あけましておめでとうございます。コンピュ−タY2K問題も危惧された程大きな事故

もなく、平穏な年

明けとなりました。皆様もよいお正月を過ごされたことと思います。

No.14は予定より1ヶ月遅れての発行となりました。今後、広報活動強化の方針に沿

って4回/年の発

行を守るとともに、内容の充実に努めたいと思います。このニュ−スレタ−に対する

ご意見、感想等

を下記E-Mail宛お送り下さい。今後の編集に役立て、よりよいものをお送り出来るよ

うにして行きた

いと思っております。

                     (ニュ−スレタ−担当:金子豊蔵)

 

 

日本動物実験代替法学会事務局:

東京都文京区本郷7-2-4 浅井ビル501号室 学会事務局

  TEL:03-3811-3666, FAX:03-3811-0676                  

 

 

学会ホ−ムペ−ジ:

http://hayato.med.osaka-u.ac.jp/index/societies-j/alt.html

 

発   行 :  日本動物実験代替法学会

        会長: 大野 忠夫

編集委員長 :       小野  宏

   ニュ−スレタ−担当:   金子豊蔵

     158-8501東京都世田谷区上用賀1-18-1

        国立医薬品食品衛生研究所毒性部内

        TEL:03-3700-9646, FAX:03-3700-9647

E-mail:kaneko@nihs.go.jp

 

 

    

 

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Yoshiko Kikuchi ykikuchi@nihs.go.jp