JSAAE News Letter

 

Japanese Society of Alternatives to Animal Experiments

日本動物実験代替法学会

No.21

2002年6月発行

目次

1.厚生科学研究班による評価希望代替法の募集
2.平成14年度日本動物実験代替法学会研究助成金テーマの募集
3.医薬品安全性評価技術ワークショップに参画して
4.日本動物実験代替法学会第16回大会のお知らせ

 


厚生科学研究班による評価希望代替法の募集

主任研究者  大野泰雄

1, はじめに
動物愛護の立場から、また、より経済的かつ効率的に薬効や安全性をスクリーニン グするために動物実験代替法の開発と普及が望まれ ております。しかし、安全性評価のための動物実験代替法の多くは適用できる化学物 質の種類や評価できる毒性等に限界があります。ま た、in vivo結果との対応が必ずしも十分でないことがあります。それらを十分に理 解せずに代替法を利用すると大きな過ちを犯してし まう可能性があります。それ故、適切なバリデーションを行い代替法が試験の目的の ために、どこまで従来の動物実験に代替し得るかを 明確にしておくことが必須です。欧米ではECVAMやICCVAMのような組織を設立し、バ リデーションの支援や代替法を行政的に受け入れる ための評価を行い、EpiskinやCorrositexなどの試験法を特定の行政目的のために受 け入れてきました。一方、我が国にはそのような組 織はなく、代替法の受け入れは十分ではありませんでした。 そこで、平成13年度より始まった厚生科学研究「動物実験代替法の開発と利用に関 する調査研究(主任研究者 大野泰雄)」では日本 動物実験代替法学会に支援を得て、動物実験代替法として提案されている試験法を評 価し、厚生労働省に報告する計画を立て、そのため に代替法評価委員会と代替法評価会議を設置しました。

2, 評価委員会と評価会議の目的
安全性評価のための動物実験代替法として報告されている試験法を客観的、科学的 に評価することにより、その利点と問題点、限界を 明らかにし、試験法としての妥当性の範囲を明らかにし、認定することにより、動物 実験代替法の使用を促進する。

3, 評価委員会と評価会議の業務と位置付け
評価委員会は代替法について具体的に調査し、評価するための機関であり、代替法の 評価および評価の対象となる試験法の専門家から構 成されています。一方、評価会議はより広い知識・経験・視野のもとで代替法を行政 的な目的のための使用における妥当性について評価 します。評価会議は臨床医師、統計の専門家、行政官、および厚生科学研究の班員、 班友により構成されています。評価委員会は提出さ れた代替法の申請書を評価し、評価文書を作成し、試験法が特定の目的のために妥当 とされた場合には厚生科学研究班に設置された評価 会議に上げ、更に評価されます。ここで申請された代替法が妥当とされた場合には、 必要に応じて公開のシンポジウムを開催し、広く意 見を求め、その結果に基づいて最終評価を行います。

4,評価委員会の委員
委員長:  金子豊蔵(国立衛研 毒性部)
副委員長:  田中憲穂(食品薬品安全センター 秦野研究所)
委員:  板垣 宏(資生堂 安全性・分析センター)  
今井弘一(大阪歯科大学 中央歯学研究所組織培養実験施設)  
大野泰雄(国立衛研 薬理部)  
大森 崇(国立衛研 審査センター)  
岡本裕子(コーセー 基礎研究所)
小島肇夫(日本メナード化粧品 総合研究所)  
畑尾正人(資生堂 ライフサイエンス研究センター)  
若栗 忍(食品薬品安全センター 秦野研究所)

5.  評価会議の委員
委員長 大野泰雄(国立衛研 薬理部)
委員  金子豊蔵(国立衛研 毒性部)  
田中憲穂(食品薬品安全センター 秦野研究所)
豊田英一(日本化粧品工業連合会・技術委員会)  
西岡 清(東京医科歯科大学医学部)  
林 憲一(厚生労働省医薬局審査管理課)  
溝口 昌子(聖マリアンナ医科大学皮膚科学)  
宮地 良樹(京都大学大学院医学研究科)  
森本雍憲(城西大学薬学部)  
吉村 功(東京理科大学工学研究科経営工学)
なお、上記委員は光毒性試験代替法評価のために選考された委員です。他の試験が対 象となった場合には変更される可能性があります。

6.評価する試験法について
評価する試験法は厚生科学研究班で応募のあった試験法の中から選考します。
7.応募期限  平成14年8月末日

8.応募先及び事務局
 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター薬理部 大野泰雄 〒158-8501 東京都世田谷区上用賀1-18-1 Tel: 03-3700-9692, fax: 03-3707-6950, E-mail: ohno@nihs.go.jp

9.評価スケジュール予定   9月:申請に必要な資料の確認  10月:資料を評価委員に配布  11月:評価委員会開催  12月:評価文書の作成   1月:評価会議の開催   2月:公開シンポジウム開催   3月:評価文書作成
なお、施設間バリデーションに関するデータが無いものについては原則として妥当な 試験法としては認められません。しかし、我が国に おける代替法開発の促進を考え、施設間バリデーションのデータが無い試験法につい ても評価委員会での評価の対象とします。そこで認 められた場合には日本動物実験代替法学会バリデーション委員会に施設間バリデーシ ョンの実施を依頼します。学会で受け入れられ、施 設間バリデーションが実施された場合にはその結果を合わせて評価委員会で評価し、 評価会議にかけます。この場合は評価会議の日程は バリデーションが終了してからとなります。

10.申請に際して提出していただく資料 1) 代替しようとする試験法の名称 2) 代替しようとするin vivo試験法に関する資料(プロトコール、再現性、特 異性、予測性についての記述を含む) 3) 代替法の原理に関する資料 4) 試験法の詳細なプロトコール 5) 検討した被験物質のリストと化学物質としての特性に関する資料 6) 検討した被験物質のin vivo 及びin vitro試験結果の結果に関する資料 7) 試験法の感度、特異性、予測性、精度(一致率)を記載した資料 8) 試験法の特徴(適用範囲、false positive, false negative) 9) 試験法のバリデーションとそのQCに関する資料 10) その他、データ解析上有用な資料(生データ等) 11) 論文(または、学会発表資料&印刷中の論文原稿) 12) 提案者の研究歴及び専門性を示す資料

以上

 


平成14年度日本動物実験代替法学会研究助成金テーマの募集

日本動物実験代替法学会企画委員会

日本動物実験代替法学会では、学会の趣旨「動物実験の代替法に関わる研究、開発、 教育、調査等を推進し、その成果の普及を行うこと を目的とする」に沿った研究を推進するための研究助成を行っております。つきまし ては、以下の要領で、平成14年度の研究助成テーマ の募集をいたします。多数の学会員の皆様の応募を期待しております。以下に、研究 助成テーマの募集及び選考に関する今年度の方針を 記載しました。
1) 研究内容:代替法学会の趣旨に沿うものであること。 2) 申請者資格:本学会員 3) 助成研究者の義務:助成金交付次年度の4月末までに企画委員会を通して研 究成果の要旨を学会長に提出する。また、日本動物 実験代替法学会の年会に発表し、論文としてAATEXに発表し、別冊を企画委員会に提 出する。なお、発表に際しては本学会助成金の支援 を受けた研究であること明記する。 4) 助成金額:原則として、1〜2件(50〜100万円)とする。使途を厳密には問 わない。 5) 研究助成テーマ選考基準 @ 研究目的が学会の趣旨への適合していること。 動物実験の代替法への置き換えにつながるか 動物使用数の削減につながるか 動物実験における動物の苦痛の削減等、動物実験の質的向上につながるか。 A 研究方法が学会の趣旨へ適合していること。 動物を用いる場合は動物使用数が適切か 動物に不必要な苦痛を与えないか B 研究内容が科学の発展に寄与するもので、学問的なおもしろさがあること。 C 目的とする成果を得られる可能性が高いこと。 原則として単年度の支援であり、その期間内に当初の成果が得られること。 D 原則として、同一個人に二年連続して助成しない。 6) 申込書の様式:A4版に12pの活字、1ページあたり30行程度で、以下の項 目を含めたものを独自に作成して下さい。なお、H とIはそれぞれ1枚以下にまとめる。   @申込み者氏名(署名及び捺印)、A生年月日、B年齢、C所属、D連絡先:     住所、電話、FAX番号、E-mail E学位、F現在の専門、G研究課題、     H研究経費の総額及びその内訳、I研究目的、J研究計画、K研究業績(最近5   年間の主要なもの)
7) 申請先:〒573-1121大阪府枚方市楠葉花園町8-1
      大阪歯科大学歯科理工学講座
      大阪歯科大学中央歯学研究所組織培養実験施設
      今井 弘一 (日本動物実験代替法学会、研究助成係)        
TEL: 072-864-3056 FAX: 072-864-3156  E-mail : imai@cc.osaka-dent.ac.jp 8) 締め切り:7月10日必着 9) 審査及び交付のスケジュール予定    7月中旬:企画委員に申請書を送付し、事前審査    7月下旬:企画委員会開催(申請されたテーマの審議をし、交付推薦者決定)    8月:学会の必要な手続きをとった後研究補助金を交付 10) 問い合わせ先:申請先と同じ。但し、留守のことが多いので、なるべくFAX    あるいはE-mailでお願いします。

 


医薬品安全性評価技術ワークショップに参画して

田中憲穂 (財)食品薬品安全センター
2002年3月4日から3月22日にかけて3週間、北京に新設された医薬品の「安全評価セン ター」において、GLPによる遺伝毒性試験の実施に 関するワークショップが開催されました。 中国における医薬品事業の拡大化に伴い、中国においてもGLPシステムによる毒性試 験の実施の重要性が認識されつつあります。国際的 に通用するGLP認可施設を新(増)設するため、日中友好プロジェクトのJICA支援事 業の一環として企画されたワークショップです。  参加者の大部分は、中国各地にある医薬品検定所の中堅クラスの方々が中心ですが、 中には大学の先生も含み、中国全土(遠くは新疆ウイ グルより汽車を乗り継いで来た人もいた)から32名の受講生が参加しました。 日本からの派遣講師として、前半(3/4 〜3/13)を本間(国立衛研)、若栗と田中(食 薬センター)の3名が、後半(3/14〜3/22)を中島 (安評センター)、若田(山之内製薬)と田中の3名が担当し、最初の2週間で主とし て実習を重点的に、後の1週をGLP演習と講義を中 心にプログラムを組み、最終的にGLP下での試験実施について学習できるようにしま した。 特に今回の研修では、国際的に評価試験が実施され、わが国でも関心の高い3種の試 験法(マウスリンフォーマ(MLA)試験、in vitro小 核試験、細胞毒性試験)について、単なる試験法の技術指導だけでなく、GLP下で試 験を実施する事を想定した実践的な研修プログラム を組みました。 また、中国でも代替法の関心が高い事から、コロニー形成試験とニ ュートラルレッド試験の二つの細胞毒性試験も加え ました。  今回、中国各地から参加した32名の研修生は3週間にわたる長期研修にもかかわら ず、全員が最後まで熱心に受講し、予定した試験法 の講義、実習、GLP演習、そしてGLP試験実施上の問題点を受講し、参加者は十分な研 修成果をあげることができたと思われます。
中国での安全性試験のGLP化に向けての現状は、我々が聞き及ぶ限り、未だ未成熟な 面が多く、地方(または機関)によって、その取り 組みの姿勢と進行の程度が違うようです。 第1の問題点はハード(施設、備品)の面です。例えば、実験動物飼育や細胞培養と いったGLPをクリアできる施設、品質保証された動物 や飼料、細胞に加え、実験器具類(培養用のディスポーザブルのピペットやディッシ ュなどは大変高価である)の供給や、品質の保証さ れた試薬類の入手など、多くのクリアすべき問題点があります。 第2の大きな問題点としてはソフト面です。SOP整備の必要性もさることながら、実験 者のGLP試験実施に対する意識改革、心構えが重要 と思われます。 先ず実験者は、全ての試験結果を忠実に記録し、検証できるような 作業システムに慣れるべく、手と頭の切り替えをし ていただかなければなりません。中国式GLPでなく国際的にも通用するよう なPerfect GLPのソフトとハードを身に付ける必要があります。我々がほぼ20年前に GLPの勉強を始めた事を振り返れば、これが一番大 変な事かもしれません。中国経済も上り調子です、研修生諸君の熱心さを思えば、意 外と早くPerfect GLPの施設が実現するかもしれま せん。
日本動物実験代替法学会事務局
〒113-0033東京都文京区本郷7-2-4 浅井ビル 501号室 学会事務局
TEL:03-3811-3666, FAX:03-3811-0676
学会ホ−ムペ −ジ: http://hayato.med.osaka-u.ac.jp/index/societies-j/alt.html
発   行 :日本動物実験代替法学会
会長 : 大 野 泰雄 編集委員長 : 吉 村  功
ニュ−スレタ−担当 : 金子 豊蔵
158-8501東京都世 田谷区上用賀1-18-1
国立医薬品食品衛 生研究所毒性部内
TEL:03-3700-9646, FAX:03-3700-9647
E-mail:kaneko@nihs.go.jp

 


日本動物実験代替法学会第16回大会のお知らせ

大会会長 吉村 功 (東京理科大学工学部)

 今年は8月に国際動物実験代替法会議がニューオーリンズで開かれます。それと時期的に少し離れていた方がよいということで、第16回大会は、2002年12月に開催することにいたしました。

日時:
  12月4日(水)午前9時〜午後5時 この後懇親会
  12月5日(木)午前9時〜午後5時
 ただし、前日12月3日の午後にサテライトセッションとして、
  「静脈注射の代替法のバリデーション」
  「ヒト皮膚3次元モデルの代替法キットのバリデーション」を企画中
場所:総評会館(東京)2階
(営団地下鉄新御茶ノ水駅下車、階段を上がった後、徒歩10秒)
(JR東京駅より、地下鉄丸の内線利用で約20分)

オーガナイズド・セッション:
 「脳死の方の細胞を研究に利用させていただくことについてのパネル討論」
 「代替法における国際的潮流――国際会議をふまえて」(会報No。 18 参照)
特別講演:
行政の立場からの代替法の採用(講師交渉中)
パネル討論:
 代替法バリデーション研究の進め方

一般演題募集:
一般演題は、原則としてポスター発表とし、優れた発表に対しては、"ゴールデンプレゼンテーション賞"を贈呈します。
申し込みに必要な事項:(形式自由、Fax, e-mail 可)
1.演題名
2.発表者及び所属(共同発表者すべて)
3.演題分類(下表参照)
第1選択:            第2選択:
1. 毒性病理 2.発癌性 3.生殖・発生毒性 4.免疫毒性
5.局所刺激性 6.器官毒性 7.細胞試験法 8.試験管内試験
9.3R 10.データ処理 11.コンピュータ 12.その他

4.連絡先:住所、所属、氏名、電話番号、Fax番号、e-mailアドレス 

申し込み締め切り:7月31日
(受付の確認の通知として、要旨用原稿作成要領を送ります。)
演題要旨原稿締め切り:8月30日
宛先:〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1-3 東京理科大学工学部経営工学科日本動物実験代替法学会16回大会事務局
Fax: 03-3260-5770、 E-mail: aatexedi@ms.Kagu.tus.ac.jp
筆頭発表者は会員に限られていますので、ご注意下さい。