日本動物実験代替法学会

会長就任挨拶

東京医科歯科大学 歯学部歯科理工学第二講座  佐 藤 温 重

 この度、1997〜1998年度の学会長に選出され、重責を負うことになりました。微力でありますが努力し、本学会の発展を計りたい所存です。

 本学会は初代学会長の菅原努先生のご尽力により設立され、前学会長の小野宏先生により基礎がつくられてきました。

 本学会の目的とするところは、動物実験を行うあらゆるライフサイエンス分野の研究で対面する問題であり、本学会は包括的学会であります。わが国に生体解剖の実験 手技が導入されたのは1870年頃でありますが、当時から欧米と著しく異なる点があったことを認識する必要があります。すなわち、欧米では生体解剖・動物実験が最初 に行われた古代ギリシャ時代においても、また生体実験が実験医学に不可欠の実験手技として確立した19世紀においても生体解剖反対の流れがあり、20世紀初頭にはRu ssellらによって人道的動物実験の原則としての3Rsが唱えられました。つまり、動物実験の歴史とともに動物実験への疑問や、その適正化の方策が均衡して存在して いたといえるのに対し、わが国では動物実験技法のみの輸入が行われたこともあり、このような均衡はなかったように思われます。

 本学会の前身の研究会が発足したことによって次第に我が国でも均衡のとれた動物実験のあり方が認められるようになったといえます。我々が動物実験の分野での果た すべき役割が多いことを意味していますが、本学会のみではこのことを達成することは困難であります。第1回のThe World Congress ofAlternatives and Animal Usein Life Sciencesを主催したアメリカには、Center for Alternativesto Animal testing (CAAT)、また第2回を主催したオランダにはNetherlands Centre Alternativesto Animal Use (NCA)があり、国内の関連機関と共同して多面的に作業をしています。NCAでは専門家の作業班をもうけ、代替法に関連する技術の開発やそれらの情報を提供しています。ちなみにNCAの作業班には次のようなものがあります。

  1. Working group on alternatives in education
  2. Working group on vaccines
  3. Working group on skin tests
  4. Working group on philosophical issues related to alternatives
  5. Advisory group on alternatives to animal test in immunologicals
本学会の活動の方針を考える上で参考になると思われます。会長としては、まず学会の基盤を作ることを優先して進めたいと考えていますが、この分野の今後の発展を考えるとこのようなCenterの構想を進めることも大切ではない かと考えています。会員の皆様のご協力をお願いする次第です。
日本動物実験代替法学会の目次に戻る