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日本生体医工学会 会長就任にあたって

                            日本生体医工学会会長 田村 俊世
                            (千葉大学大学院工学研究科)



 このたび楠岡英雄前会長の後を受け(社)日本生体医工学会の会長に就任致しました。ご推薦いただきましたことを光栄に存じますと共に、会員の皆様にお礼申し上げます。医学、工学の境界領域の医用電子・生体工学を学び、日本ME学会会員となり、生体計測、福祉工学領域に関わり、ほぼ40年が経ちました。このたび大任をお引き受けするにあたり、長年持ち続けた生体医工学への思いを胸に、微力ではありますが、今後の学会の発展のために尽力する所存です。

 日本生体医工学会は2011年の50周年、また、2013年の関連国際学会の共催、工学部における生体医工学科の新設など、その周りを取り巻く環境が大きく変わろうとしています。財政的には健全ではありますが、会員数の減少、一般社団法人化に伴う財務と会務運営の見直しなど多くの課題も抱えております。

 生体医工学は、医工連携を目的に学際分野として発展してまいりました。多くの医療機器は、医学・工学の協力なくして開発することは困難であります。超音波診断装置、パルスオキシメータなど、我が国発の医療診断機器も多く見られますが、昨今の医療現場では多くの機器を輸入に頼っているのが現状です。この原因の1つとして日本で開発された医療機器の承認の問題が多くなってきています。外国ですでに承認されているにもかかわらず臨床の場では使用できない「デバイス・ラグ」の状況を改善すべく、学会として積極的にかかわっていくことがあげられます。前会長から引き続き、レギュラトリーサイエンス や日米における医療機器に関する規制(Harmonic by Doing, HBD)などの活動についてFDA、PMDAなどとの連携を含めて考えていきます。

 さらに、生体医工学研究者の国際化を推進していきます。近年、国際学会での韓国、中国の研究者の発表が盛んとなり、生体医工学関連の英文誌投稿数もわが国に比較して韓国、中国に伸びが著しいことがあげられます。長年にわたるIEEE・EMBSの学会活動で得た各国の研究者のネットワークを大切にし、東南アジアと日本との研究者の連携を強くするとともに、この分野で、わが国がリーダーシップを発揮できる環境つくりを心がけたいと思います。

 また、若手の育成も、日本生体医工学会において、早急に解決しなければならない問題です。1つは多くの生体医工学科の誕生があります。高校生に、医学の発展のために必要な学問であることを認識させること、一方では、魅力あるカリキュラムの作成が急がれます。多くの学生が興味をもつことにより、この学問領域の発展が期待されます。さらに、日本生体医工学会では、ME1種、2種の資格認定試験を実施しており、例年、医療従事者をめざす多くの方々がこの資格を取得すべく勉学に励んでおります。この事業をより活性化するために、ME資格認定者を対象に、先端医療機器に関する教育や研究の場を提供することにより、先端医療技術に貢献し、医療現場でより活躍できる人材を育成する使命を担っていきたいと考えております。

 これまで述べた内容を含めて、日本生体医工学会として以下の6項目の展開を進めたいと思います。
1. 事業全体の活性化
2. 50周年記念事業の準備
3. 新法人制度移行の完遂と学会基盤の強化の検討
4. 医療機器開発における学会の役割検討
5. 国際化の推進
6. 若手育成を中心とした教育事業の検討

 副会長 千原國宏先生(奈良先端科学技術大学院大学)、砂川賢二先生(九州大学大学院医学研究院)、理事の先生方のご協力を得まして、新たな生体医工学の展開に向けて、力を尽くしていきたいと考えております。会員ならびに賛助会員の皆様の絶大なるご協力、ご参加をどうぞ、よろしくお願い申しあげます。
最後になりましたが、会員各位のますますのご活躍と本学会の発展を祈念して、就任のご挨拶とさせていただきます。


 
2010年7月吉日
   
  (C) 社団法人日本生体医工学会
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