日本神経精神薬理学会
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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2014年国際神経精神薬理学会
(CINP: The International College of Neuropsychopharmacology)その6
(公財)東京都医学総合研究所・精神行動医学研究分野統合失調症・うつ病プロジェクト
鳥海和也

 2014年6月23日(月)から26日(木)にわたり、カナダのバンクーバーで開催されたCINP World Congress 2014に参加してきました。

 バンクーバー国際空港まで成田から9時間。そこから市内へ直通の電車に40分程揺られ、会場のConvention centerに辿り着きました。この時期のバンクーバーは、日本のじめじめした梅雨とは打って変わって、カラリと涼しく、とても過ごしやすく快適でした。Convention centerは貨物船やタンカー、水上飛行機などがひっきりなしに行き交う、バンクーバー港に面しています。建物の脇には巨大な旅客船が停泊する船着場があり、時折鳴り響く汽笛の音が学会会場内にも届いていました。また、地下には、2010年に開催されたバンクーバー冬季オリンピックの表彰台、トーチ、メダルなどが展示してあり、観光客が見学に訪れていました。

 学会初日の夜は、JSNP主催のJapan Nightに参加させて頂きました。日本の多くの精神薬理分野の先生方に加え、CINP committeeの海外の著名な先生方と美味しい料理とお酒とともに交流を深める事ができ、とても楽しい時間を過ごすことができました。特にCINP前会長であり、今回の大会長でもあったAnthony Phillips博士や、Herbert Meltzer博士とは直接お話する機会が持て、非常に有意義な時間を過ごすことができたと感じています。

 本年会では、4日間の開催期間を通して、7つのプレナリーレクチャー、36のシンポジウムと基礎から臨床まで幅広いテーマが取り上げられ、どのセッションにおいても非常に活発な議論が行われていました。論文化されていないデータを発表している参加者も少なくなく、精神薬理学研究の最新の知見を得られ、非常に勉強になりました。特に印象深かったのはサーカディアンリズムと精神疾患に関するシンポジウムで、睡眠障害やうつ病、統合失調症への時計遺伝子群の関与や、近年新しいタイプの抗うつ薬として期待されるケタミンが時計遺伝子群の周期的な発現に与える影響などが報告されていました。その中でも特に、CLOCK遺伝子を発見し、現在でも分野を牽引するテキサス大学メディカルセンターのJoseph Takahashi博士の講演では、次世代シークエンサーを用いた経時的なRNA-seq解析や、時計遺伝子群のエピジェネティックな発現制御など、緻密で膨大なデータに圧倒されるとともに、自らの研究にも活かせそうな技術や知識など豊富で、とても勉強になりました。

 自分の発表では、基礎研究者だけではなく、国内外の臨床研究を行う医師や研究者がポスターを訪れ、多くの質問や提案を頂きました。指摘された点はどれもとても参考になり、異なった観点から自分の研究の新たな可能性を模索する良い機会であったと感じています。また、ミュンヘン大学精神科のHans-Jurgen Moller博士がポスターに訪れ、私の説明を聞いた後に、「とても面白い研究だね」と仰って頂けたのはとても嬉しく、今後の研究を続けていく上でも励みになりました。

 最後に、この度光栄にもExcellent Presentation Awardを頂きまして、学会関係者の皆様に深く御礼を申し上げます。また、ご指導いただいた先生方、そして、研究に御協力頂いた患者様方には、この場を借りて深く御礼させて頂きたいと思います。これからより一層、研究活動に精進しまして、世界に向けて日本の神経精神薬理研究を発信できたらと思います。