日本神経精神薬理学会
ホーム 入会案内 会員ログイン お問い合わせ

日本神経精神薬理学会

〒112-0012
東京都文京区大塚5-3-13
学会支援機構内
TEL:03-5981-6011
FAX:03-5981-6012
jsnp@asas-mail.jp

学会レポート

≪元のページに戻る
学会レポートシリーズ 2014年国際神経精神薬理学会
(CINP: The International College of Neuropsychopharmacology)その4
東京医科歯科大学 精神行動医科学分野 石渡小百合

 2014年6月22日から26日にカナダ・バンクーバーで開催された 29th CINP World congress of Neuropsychopharmacology (CINP2014) に参加しました。バンクーバーは都心にも関わらず、海や山がすぐ近くにあり自然と一体化した美しい街でした。意外だったのは、想像していた以上にアジア系の人々が多いことです。チャイナタウンもあり、オープニングセレモニー時にもライオンダンス (中国式獅子舞) が披露されました。今回の学会期間はFIFAワールドカップ開催期間と重なったこともあり、カナダでも、レストラン等の至る所で試合を観戦している人達が見受けられました。学会会場でご覧になっている先生もいらっしゃり、その方達は不思議な一体感を醸し出していました。その様子を見ながら、CINPは2年に1度の開催ですが、さながら神経精神薬理界のワールドカップのようなものだろうか、と考えました。一番を競い合うようなものではありませんが、全世界からその分野の代表者や若手が集まり、人種や年齢を超え真剣に議論していく姿、そして、本学会が今後この分野の方向性に影響を与えること、等通じるものがあるのではないかと感じました。

 私には、今回の学会で特に楽しみにしていたことが二つありました。一つは、D-セリンに関するシンポジウムです。『Neuron-glia interaction in schizophrenia :Focus on D-serine』というタイトルで開催されたシンポジウムではD-セリン研究の中心を担っている、普段論文を通してしか知ることができない先生方の、最新の研究成果や考え方等を直接聞くこと、また、ディスカッションすることができ、とても刺激になりました。中でも、wolsker先生のASCT-1KOマウスの報告は印象的でした。これまで薬理学的にD-セリンの取り込みはASCT-2、Asc-1が関係していると考えられてきましたが、ASCT-1KOマウスでD-セリン量が減少する、という報告には驚きました。また、Pletnikov先生による、『神経特異的DISC1欠損マウスにおいてはD-セリンやセリンラセマーゼレベルに大きな変化がない』、という報告も新鮮でした。同じ物質に関心を持っていても、様々な視点からのアプローチがあること、しかし、この物質の謎を解き明かし精神疾患の病態解明そして治療にどうにかして役立てたい、という気持ちは皆が同じであることを強く感じることができたシンポジウムであったと思います。私自身も興奮して、不慣れな英語で質問してみました。私の質問を受けた先生は意図を読み取りにくそうでしたが、どうにか伝わり、解答して下さいました。伝えたいことの半分も伝えられなかった自分の英語力の未熟さを痛感すると同時に、もっと頑張ろう!と思えた貴重な経験でした。
 また、Karl Deisseroth先生によるプレナリーレクチャーも楽しみの一つでした。プレナリーホールのスクリーンに映し出されたCLARITY画像は衝撃的な美しさでした。

 今回、日本神経精神薬理学会よりJSNP Excellent Presentation Award for CINP2014を授与されましたことを大変光栄に、そして嬉しく思います。日々、ご指導ご鞭撻を頂いた皆様、学会関係者の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。私がはじめてCINPに参加したのは、博士課程在籍時、2年前ストックホルムで開催された28th CINPでした。その際、初めてこのawardの存在を知り、自分もいつか受賞したいな、と考えていましたが、今回、この賞を頂く事ができ、当時の気持ちを思い出して、改めて気持ちを引き締めることができました。
 今後、今回の経験を糧に、神経精神薬理の発展に貢献できるよう、日々研究に精進していきたいと思います。
会場近くの風景
オープニングセレモニーでのライオンダンス