日本神経精神薬理学会
ホーム 入会案内 会員ログイン お問い合わせ

日本神経精神薬理学会

〒112-0012
東京都文京区大塚5-3-13
学会支援機構内
TEL:03-5981-6011
FAX:03-5981-6012
jsnp@asas-mail.jp

学会レポート

≪元のページに戻る
学会レポートシリーズ 2013年米国神経精神薬理学会年会
(ACNP: American College of Neuropsychopharmacology)その2
京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター 古屋敷智之


 2013年12月8日(日)から12日(木)にわたり、米国フロリダ州ハリウッドで開催されたACNP年会に参加してきました。ACNP年会は発表の質が高いとかねがね聞いておりましたが、参加条件が厳しく、これまで参加の機会に恵まれませんでした。この度は、日本神経精神薬理学会(JSNP)国際学術委員の一人として、アジア神経精神薬理学会の参加枠で参加させていただくことができました。以下簡単ですが、私の感じたACNP年会の特色を三つ列記いたします。年会の参加記という性質上、他の先生方のご執筆内容と重複も出てくるかもしれませんが、ご容赦ください。

 第一の特色は、参加者数と発表演題数が制限されている点です。簡単に説明しますと、ACNP年会への出席は、@ACNPの会員となる、A会員に保証人(sponsor)になってもらう、BACNPに関連する学会の持つ参加枠を使う、といった方法のいずれかに限られています。ACNP会員の資格審査は厳しく、ACNP年会への参加者数は1600人程度に抑えられています。このような制限は国内外の学会を通して異例なことですが、この制限がACNP年会の魅力の源でもあるようです。まず、雑談や議論をしやすいアットホームな雰囲気が生まれます。プログラムにもゆとりが出来て、並行するセッションも多くて4〜6個程度、自分の研究と直接関わるセッションへは概ね参加できます。さらに、各演題に質疑応答の時間が十分確保され、大変素晴らしい質疑応答が数多く耳にしました。セッションの数が少なく、関係者が一堂に会することも質疑応答の活性化に貢献しているものと推測しています。ポスターセッションも毎日230演題程度で、興味のあるポスターで多少話し込めるくらいの時間は確保されています。会場の大きさもワインを片手に散策できる程度で、三日間のポスターセッションを通して、知り合いの海外の先生方にも一通りお会いすることが出来ました。本当に論文未発表データが多いことも印象的で、ブレインストーミングの場として最適と思います。

 第二の特色は、多くのセッションで基礎と臨床の研究が程よく混合されている点です。精神疾患に関する共通のテーマを軸に、様々な分野の研究者が一緒に楽しめるよう、プログラム構成が練られていると感じました。私は基礎研究が専門ですので、臨床研究の発表は理解するのが大変でしたが、基礎研究との関連性を考えながら、有機的に臨床研究を学習できた気がします。またセッションの最後で、おそらくその分野で権威ある先生がdiscussantとしてセッションをまとめ、その研究分野の全体像を解説してくださる時間が設けられていました。多様な演題をうまく統合するdiscussantの先生方のご演出で、セッションとしての一体感が生まれていた気がします。またdiscussantの先生が解説してくださる研究分野の全体像については、教育的効果も抜群に思いました。

 第三の特色は、NIH Institute Director’s Sessionというセッションの存在です。このセッションでは、NIHの各部署のdirectorの先生方が、最新の研究論文の引用を交えつつ、精神疾患の各分野での国家政策をご紹介されます。このセッションにより、多くの学会員が瞬時に精神疾患研究の大局と国家戦略を共有することが可能になります。また、このセッションは、各研究者が自分の研究を少し忘れて、研究分野の全体像を俯瞰する貴重な一時にもなっているのではないかと感じました。

 以上の通り、ACNP年会ではかけがえのない経験をさせていただきました。加えて、JSNPの先生方と昼食・夕食を通してご親交が深まり、これも大変楽しい思い出となりました。ACNP年会への参加の機会を与えて下さったJSNPのご厚情に深く御礼申し上げます。拙文ではございますが、この参加記がJSNPの発展の一助になりますよう、心よりご祈念申し上げます。

 (2014年3月24日)