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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2013年アジア神経精神薬理学会
(AsCNP:Asian College of Neuropsychopharmacology)その3
東北大学・薬・薬理学 矢吹 悌

1)はじめに

 東北大学大学院薬学研究科薬理学分野・福永研究室・博士課程二年の矢吹悌と申します。2013 年 9 月に中国・北京で開催された Asian College of Neuropsychopharmacology 2013 (AsCNP2013) に参加し、ポスター発表する機会を得ました。さらに、 AsCNP から Travel Award を頂いたことは大変光栄なことで学会関係者に深くお礼を申し上げます。海外の国際学会参加は未だ経験不足ではありますが、このレポートを私と同じような学生が読んでくださり、海外国際学会に興味を持って頂ければ幸いです。

2)AsCNP2013 について

 初日は N Sartorius 先生と SW Tang 先生による精神薬理の基礎講座と懇親会がありました。基礎講座は主に鬱病に関する講義で、ドパミン・セロトニン神経伝達低下の機構、神経新生、病態から考え得る創薬標的分子についての講義でした。講義は Tang 先生が聴衆に質問をし、優秀な回答には賞品をプレゼントしてくださるなど和やかな雰囲気で進み、リラックスして講義に集中できました。

 二日目は、開会式、シンポジウム、ポスター発表が行われ、三日目はシンポジウム、閉会式が開催されました。開会式は一番広い会場で行われたのですが、演者を生中継でスライドと共にスクリーンに映すなど、学会のスケールの大きさに驚かされました(写真1)。シンポジウムでは基礎研究分野の内容を中心に勉強させて頂きました。星薬科大学の森友久先生はメタンフェタミンによる報酬系における sigma-1 受容体の関与について講演されました。メタンフェタミンによる sigma-1 受容体の増加機構は神経保護的に働くこと、 sigma-1 受容体アゴニストが報酬効果を抑制することを明らかにし、 sigma-1 受容体が薬物依存治療の標的になり得るという内容でした。私もうつ病モデルにおけるsigma-1 受容体の研究を行っていますので大変興味深い講演でした。東京都医学総合研究所の池田和隆先生の講演ではNMDA 受容体拮抗薬であるフェンサイクリジンが引き起こす統合失調症様行動の発現には、 NR2A ではなく NR2D サブユニットを介していることを、 NR2A 及び NR2D ノックアウトマウスを用いて証明されました。また、東京医科歯科大学の山本直樹先生は D-セリンの放出機構を調節している D-serine modulator 1(dsm-1)の発見と dsm-1 がゴルジ体に局在するタンパク質であることを講演くださいました。

 私自身は統合失調症モデル動物における認知機能障害のメカニズムと認知機能障害を改善する新薬開発に関する研究内容をポスターで発表しました(写真2)。昼食、休憩時間の合間に行われたためか、会場にいらっしゃる先生が少なかったのですが、数名の先生方とディスカッションさせて頂き、とても有益な助言を頂きました。また、日本からの講演者の内容は私の研究に直接関係しており、大変興味深い内容で、質問をすることもできました。

 初日に行われた懇親会では、慶応義塾大学の内田裕之先生、 Tronto 大学のNakajima Shinichiro先生といった臨床の先生方と知り合い、実際の統合失調症患者の病態や治療法についてお話を聞くことができ、とても楽しい時間を過ごしました。料理もおいしかったのですが、個人的にお酒が少なかったことが残念でした。

3)中国・北京について

 まず、北京国際空港についてタクシーでホテルに向かおうとした際、さっそくだまされそうになり大変でした。何とか回避出来ましたが、日本との文化の違いに驚かされると同時に、中国語が全くできないことも反省しました。学会会場、ホテル以外ではほぼ英語が通じないため大変でした。多少、空がスモッグかかってはいましたが、学会会場に隣接している 2008 年北京オリンピック記念公園などはとてもきれいでした(写真3)。

4)おわりに

 海外は日本と異なった文化圏ですのでかなり戸惑いますし、トラブルに巻き込まれやすいと思います。しかし、学会内容のレベルの高さや自分自身の英語を鍛える意味でも国際学会に参加する意義は大きいと思います。私自身、英語が得意ではないのですが AsCNP2013 でも自ら積極的に英語で質問、会話をするようにしました。資金面での問題もあるかとは思いますが、国際学会の多くが Travel Award などの支援制度を設けているので、そういった制度を積極的に利用し、自らを高めていくことが重要だと思います。
写真1:Plenary Lecture 1 の様子
開会式後すぐに Plenary Lecture 1 が同じ会場で行われました。

写真2:ポスター発表の様子
昼食と休憩時間の合間にポスター発表を行いました(左側が本人)。

写真3:オリンピック記念公園
大会のメダル受賞者の名前が石碑に刻印してありました。