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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2012年米国神経精神薬理学会年会
(ACNP:American College of Neuropsychopharmacology)その3
富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座 住吉太幹

 米国神経精神薬理学会(ACNP, American College of Neuropsychopharmacology)に出席したのは、実に9年ぶりでした。Vanderbilt大学に勤めていた2001年にハワイで開催された本学会でMemorial Travel Awardをいただいたため、その2年後のプエルトリコ学会にも参加できたことが思い出されます。相変わらず質および情報量ともに充実した2012年会(フロリダ州、ハリウッド)での知見から、今回は「ACNPにおける“非薬物的”治療法の話題」という切り口の報告をします。

 まず、”Optimizing Cognitive Interventions for Schizophrenia”という認知リハビリテーションに関するセッション(司会; Neal R. Swerdlow先生)についてです。統合失調症患者に対する認知トレーニング("cognitive training”、”cognitive remediation”などと表現)に関しては、本邦発の研究成果も国際誌に掲載されてきています。同セッションでは、Sophia Vinogradov先生, Macheri Keshavan先生, Donald Goff先生などの著名な研究者により、MATRICSコンセンサス認知機能バッテリー等を用いたデータが示されました。特に、PET研究で有名なShitij Kapur先生の認知トレーニングの発表に対し、当該分野の大御所であるRichard Keefe先生が細かいコメントをしていたのが感慨深かったです。

 また、Daniel Javitt先生が司会をされた”Neuroplasticity Deficits in Neuropsychiatric Illness: New Targets for Cognitive Enhancement”も印象に残りました。同セッションではMichael A. Nitsche先生、Javitt先生らが、経頭蓋直流電流刺激の統合失調症の認知機能などへの効果を発表されていました。

 以上紹介したような非薬物療法は、薬物による効果の増強手段という位置づけで、今後さらに検討されていくテーマと思われます。ポスター会場で目を引いたのは、新規抗精神病薬lurasidoneの発表数の多さでした。同薬は本邦でも治験が行われており、認知機能障害への効果などが今後期待されます。

 社交活動としては、現在も共同研究を行なっている恩師Herbert Y. Meltzer先生ご夫妻と会食をしたり、プラハ精神医学研究所(チェコ共和国)の友人達と旧交を温めたりしました。また、米国に長期に在住し、臨床医あるいは研究者として活躍されている日本出身の先生方と懇談できたのも、良い経験でした。

 ACNPは精神薬理学の枠を超えた世界最高レベルの学術集会である一方、同学会員以外の参加が非常に難しいことで有名です。こうした中、CINPあるいはAsCNP会員枠以外にJSNP会員枠が設けられているのは、大変有難いことです。今後も機会があれば、本学会に是非参加させていただければと思います。
(平成25年3月10日執筆)

学会期間中の現地の天気は不安定でしたが、最終日は穏やかで、フロリダ半島のリゾートらしさを楽しめました。
学会場に隣接したホテルのロビーでのひとコマ。本物のヤシの木とクリスマスのデコレーションの取り合わせが、南国の雰囲気を醸し出していました。