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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2016年国際神経精神薬理学会
(CINP: The International College of Neuropsychopharmacology)

大阪大学 大学院薬学研究科 神経薬理学分野 吾郷 由希夫

第46回日本神経精神薬理学会年会につづき、2016年7月3日〜5日に韓国ソウル市(COEX)で開催されました第30回国際神経精神薬理学会(30th CINP World Congress of Neuropsychopharmacology: CINP2016)に参加致しました。今回、JSNP Excellent Presentation Award for CINP2016を授与下さいましたこと、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

CINPへの参加は、2010年6月に香港で開催されましたCINP 2010以来、2回目の参加となりました。CINP2016の初日は第46回日本神経精神薬理学会年会の2日目と重複し、会場内を慌ただしく往来しておりましたが、非常に興味深い発表が多く、大変有意義な学会でありました。ポスター発表は合計750演題近くもあり、基礎から臨床まで幅広く、セッション中は活気に溢れていたことを思い出します。

CINPのシンポジウムでは同時間帯に拝聴したいテーマが多くあり、悩ましいかぎりでしたが、個人的にはうつ病のセッションを中心に聞き入っていた気が致します。モノアミン神経系との関連では、5-HT1A受容体と線維芽細胞増殖因子受容体やガラニン受容体とのヘテロ複合体のお話も興味深かったですが、ボルチオキセチンを中心としたうつ病での認知機能障害の治療に関する議論が心に残りました。またうつ病・双極性障害の神経認知機能障害について、客観的合理性に基づき感情とは独立するような“Cold Cognition”、予期・予想・期待に基づくような情動制御に関わる“Hot Cognition”、そして“実行機能(Executive function)”等の臨床での詳細な研究を拝聴し、普段自身がラットやマウスを用いた基礎研究を行っているときには、大きく“認知機能”としてひとくくりにしながら限定的な行動テストバッテリーを検討している現状を振り返り、病態の解明や創薬を考えた時に、これらを基礎レベルでどう意義付けていくべきか、改めて考えさせられる機会になりました。その他にも、例えばケタミンの抗うつ作用に関する臨床および基礎のお話は、非常に大きなトピックであり、最新の成果を学ぶことができました。

私は薬学部の基礎研究者であり、普段臨床の現場をみること、患者様と向き合うことはありませんが、このような学会への参加を通じて、臨床そして基礎における最新のテーマや課題に触れることは、大変有意義であることは勿論、自身の研究・教育に非常に大きなモチベーションになると感じます。今後も引き続き、神経精神薬理学分野の研究の発展に貢献できるよう精進して参りたいと思います。

写真 - 左:Auditoriumの様子
写真 - 右:会場エントランスの様子

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