日本神経精神薬理学会
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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2016年国際神経精神薬理学会
(CINP: The International College of Neuropsychopharmacology)

東京大学大学院薬学系研究科 薬品作用学教室 坂口 哲也

去る2016年7月3日から5日までの3日間、私は韓国ソウルにて開催された第30回国際神経精神薬理学会(CINP 2016)に参加してまいりましたので、その様子についてご報告致します。

羽田空港からソウルの金浦空港までのフライト時間は僅か約2時間30分で、機内食のカレーを食べつつ学会の要旨集を眺めていたらあっという間に到着してしまいました。ソウルに降り立ってみると、街並みや建物の外観は東京と似ている一方で、道を行き交う人たちの服装や店先の看板の雰囲気がどことなく違っていて不思議な感覚がしました。飲食店に入ってみると、テーブルにはキムチの入った壺が置かれていたので、本場の辛さに警戒しながら恐る恐る口にしてみたのですが、意外と辛過ぎず少し甘みもあってとても美味しかったです。学会期間中は雨に見舞われることもありましたが、会場となったCOEXのコンベンションセンターは地下鉄の駅から直結していた上、運良く企業ブースで丈夫な折り畳み傘を頂けたので不都合なく参加することができました。

CINPでは、基礎から臨究に及ぶ非常に幅広い分野の研究者が世界から一堂に会し、神経精神薬理に関して多様な視点から議論が行われます。私は普段、大学の研究室でマウスを対象にした基礎研究に勤しんでいるのですが、研究成果を実際の臨床現場に応用する上での課題や薬物治療の現状、今後の創薬の展望について見識を深めたいという思いから本学会に参加致しました。特に、うつ病や不安障害、統合失調症といった各種疾患について教科書レベルの知識しか有していなかった私にとって、治療薬選択のプロセスや難治性の患者さんで頻発する症状など、臨床に関する情報は新鮮に感じられ、大変勉強になりました。また、そうした話題に触れる中で、神経回路レベルで生じた異常が症状として現れるまでの繋がりを解釈するための示唆を得られた点が収穫でした。そのほかにも、学会初日の川人先生によるプレナリー講演では、ニューロフィードバックシステムを用いて脳を適切な状態に近づけるという研究のお話があり、非常に興味深く拝聴させていただきました。

今回、私自身は自閉スペクトラム症モデルマウスにおける行動障害の新たな特性に関する研究成果を発表致しました。発表には、大学や製薬企業で発達障害の研究をされている方や医師の方などが聞きに来て下さり、生理学や心理学、病理学など非常に多岐にわたる視点からの質問やコメントを頂きました。特に、疾患の治療という側面を含めた多様な観点から議論ができるのは本学会の魅力であるように感じました。

最後になりましたが、私はこの度JSNP Excellent Presentation Award for CINP 2016を賜りまして大変光栄に存じております。また、CINPへの参加助成の件を含めまして、JSNPの関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。今回の受賞経験を糧に、今後も更に研究に邁進し、神経精神薬理の進展に貢献できるよう努めてまいります。

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