日本神経精神薬理学会
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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2016年国際神経精神薬理学会
(CINP: The International College of Neuropsychopharmacology)

名城大学大学院病態解析学1 長谷川 章

2016年7月3日〜5日に30th CINP World Congress of Neuropsychopharmacology; CINP 2016が大韓民国(韓国)のソウル特別市にて開催され、参加しましたので報告いたします。

本年のCINP 2016が韓国ソウル市で開催されることに伴い、7月2日、3日に開催されました第46回日本神経精神薬理学会:JSNP 2016からの参加のため7月1日に韓国に入国しました。入国当日から学会最終日の7月5日まであいにくの雨であり、時には豪雨でありました。悪天候の一方で、JSNP 2016およびCINP 2016に世界各国から神経精神に関わる基礎および臨床の研究者が集いました。国際大会に初参加の私にとってCINP 2016は、精神神経疾患に関する臨床研究の発表がJSNP 2016より非常に多かったこと、基礎研究で得られた発見を診断や治療に結びつけるトランスレーショナル・リサーチ、新規診断法および新薬の臨床現場における問題点や疑問点を基礎研究にフィードバックするリバーストランスレーショナル・リサーチに関する発表が多数あり、大変有意義な時間でありました。特に、気分障害におけるグルタミン酸作動性神経系の関与について興味深く研究成果を拝聴しました。Symposia 1では、テキサス大学健康科学センターのFrazer先生が、ケタミンのうつに対する作用機序を薬理学的、遺伝学的、および光遺伝学的に検討して得られた結果を基に、ケタミンの代替となる薬物の探索および評価を行った基礎研究の成果を報告されました。Symposia 14では、ケタミンに基づく新規抗うつ薬について4講演ありました。中国医薬大学のLane先生はNMDA受容体の活性に必要なグリシンに着目し、グリシントランスポーターを抑制する化合物の抗うつ作用としての妥当性を検討した基礎および臨床研究の成果の報告、北京大学のLu先生はNMDA受容体サブユニットのリン酸化が慢性ストレスに関与し、治療戦略になり得ること、神経の炎症を誘導するタンパク質を抑制することで抗うつ作用を示す基礎研究の成果を紹介し、免疫系に焦点を当てた新規抗うつ薬の可能性について発表されました。ヤンセンファーマのFurey先生は抗コリン薬であるスコポラミンの抗うつ作用について、評価尺度やfMRIを用いた有効性および薬物応答性を評価するバイオマーカーの探索について報告し、大正製薬の茶木先生は代謝型グルタミン酸受容体であるmGlu2/3受容体拮抗薬がケタミンと同様の機序で抗うつ作用を示し、mGlu2/3受容体拮抗薬がケタミンの代替薬となる可能性やケタミンの代替として、NMDA受容体グリシン部位部分作動薬であるGLYX-13やNMDA受容体サブユニット拮抗薬に関する報告を行いました。その他、うつ、統合失調症、不安障害、および双極性障害などの精神疾患の基礎・臨床研究の成果が報告され、どの会場でも活発な議論が行われていました。

私はポスターセッションで発表しました。ランチタイムでの発表ということもあり、サンドイッチを片手に質疑が行われ、ポスターセッションのブースは大変活気にもあふれていました。そのため、緊張感も和らぎ、つたない英語での説明にも耳を傾け一生懸命聞い頂けて大変うれしく思いました。貴重な意見もいただくことができ、今後の研究活動に活かしていければと思いました。本学会の参加を通じて、国際的な視野を広げ、語学力を含め努力してく必要があると感じました。

最後に、光栄にも、本大会においてJSNP Excellent Presentation Award for CINPおよびCINP 30th Congress Student Encouragement Awardを受賞することができました。JSNPおよびCINP関係者の皆様に厚く御礼申し上げますと共に、このような機会を与えてくださいました先生方、発表にあたりご指導賜りました先生方に感謝申し上げます。本受賞を受けまして、より一層研究活動に精進していきたいと思います。

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