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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2012年米国神経精神薬理学会年会
(ACNP: American College of Neuropsychopharmacology)その2
千葉大学社会精神保健教育研究センター 橋本謙二

 2012年12月2-6日に米国フロリダ州のハリウッドで開催された第51回米国神経精神薬理学会(ACNP: American College of Neuropsychopharmacology)に参加する機会を得た。昨年のハワイ島で開催された第50回大会に続いて2回目の参加であった。ACNP年会への参加は難しく、会員以外が年会に参加することはかなり厳しいようです(学会レポートシリーズその1の池田和隆先生の報告を参照)。今回は、1991年から1993年まで国立薬物乱用研究所(NIDA: National Institute on Drug Abuse)に留学していた時のボス(現職:Professor Edythe D. London、Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, UCLA)にスポンサーになってもらい、ポスター発表を行った。久しぶりにLondon博士に会ったが、年取った気配が少なく、私の方が年取っていたせいか、彼女は直ぐには気が付かなかった。米国の女性研究者は、年取っても元気で、老けないような努力をしているように感じさせられた。

 さて、学会内容は著名な研究者によるシンポジウムが主であり、最新データが発表され大変勉強になった。またポスター発表の中から選別された演題が、HOT TOPICSとして取り上げられた。そのなかで、Johns Hopkins Universityの澤明教授の発表は、遺伝子と環境の相互作用が精神疾患に関わっているという興味深い内容であった。この研究成果は、名城大学の鍋島俊隆教授のグル−プ等との共同研究であり、2013年1月17日付のSCIENCE誌に掲載された。また、弊職と共同研究を進めているスウェーデンのGothernburg UniversityのMikael Landen教授の講演は、双極性障害の脳脊髄液中の炎症性物質の変化を見出した内容であった。彼とは、これまでメールでしかやりとしていなかったが、今回この会議で初めて会うことが出来た。また幾つかのシンポジウムが同時に開催されており、一番興味深いシンポジウムを選んで参加した。今回のACNP会議で、最も注目された新規治療薬は、治療抵抗性うつ病に対して即効性抗うつ効果を示したGLYX-13だと思われる。GLYX-13はNMDA受容体に対するモノクローナル抗体からのテトラペプチドであり、NMDA受容体のグリシン調節部位の部分アゴニスト(アゴニスト活性は約25%)である。今回、治療抵抗性うつ病患者を対象としたPhase IIa試験結果が報告され、大きな反響があった。またこの薬剤のポスターには、気分障害分野の大御所であるMount Sinai University のDennis S. Charney教授も来られており、熱心にポスターを見ておられた。
 
 今回、JSNP会員枠で参加させて頂く機会を得ることが出来、感謝申し上げます。今後も、機会があれば是非、この会議に参加させて頂きたいと思います。
(平成25年1月18日執筆)

学会会場での写真は撮りませんでしたが、学会会場近くの海辺を携帯電話で撮った写真です。学会に参加されていた海外の研究者はホテルのプールや海で泳いでいる方が居ましたが、さすがに日本人の方は寒くて泳いでいるかたは居ないようでした。