日本神経精神薬理学会
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学会レポート

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学会レポートシリーズ 2012年米国神経精神薬理学会年会
(ACNP: American College of Neuropsychopharmacology)その1
(公財)東京都医学総合研究所・依存性薬物プロジェクト 池田和隆

 米国フロリダ州のハリウッドで12月2-6日に行われた、米国神経精神薬理学会(ACNP: American College of Neuropsychopharmacology)の 第51回年会に参加いたしました。ACNPは会員になることが難しく、会員以外が年会に参加することもかなり厳しく制限されていますが、連携の神経精神薬理学会には参加枠が与えられており、JSNPにも10人分の参加枠が与えられました。この他、アジア神経精神薬理学会(AsCNP: Asian College of Neuropsychopharmacology)、国際神経精神薬理学会(CINP: The International College of Neuropsychopharmacology) にもそれぞれ10人の枠が与えられ、日本からは合計20名近くの参加者がありました。年会全体としては1700名程の参加者で、神経精神薬理学の最新の研究成果が報告されるとともに、各種の情報交換がなされました。例えば、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)傘下の関連研究所である国立精神衛生研究所(NIMH: National Institute of Mental Health)、国立薬物乱用研究所(NIDA: National Institute on Drug Abuse)、国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA: National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism)、国立老化研究所(National Institute of Aging)の各所長が米国の当該領域における研究動向をフロアとの質疑応答を中心に説明したり(写真1)、学術誌(American Journal of PsychiatryやBiological Psychiatryなど)の編集委員会が行われたりしていました。このような他学会の会合までこの学会で行われるのは、米国の精神医学者の中心人物が最も集まる学会だからのようです。ACNPの会員は、定期的に年会に参加していないと会員資格を剥奪されるので、忙しい大物研究者もほとんど欠かさず参加することになり、そのことで学会の地位が非常に高まっているようです。

 さて、今年のシンポジウムやポスター発表で目立ったのは、報酬系、ドーパミン系、依存に関する演題が多かったことです。このような領域を専門としている筆者としては、聴講したいシンポジウムが重なるなどしてスケジュール作りが大変なほどでした。昨年は、オプトジェネティクスやケタミンに関する発表が多く見受けられましたが、今年は多少減っている印象でした。

 今年の9月11-14日に第3回AsCNP大会(http://www.2013ascnp-beijing.org/index.aspx)を北京で開催する中国からは、12名の参加が有りました。上記の参加枠に加えてACNP事務局と交渉して7名の追加参加枠を得ていました。北京大会の準備も兼ねて、中国から10名、日本から18名が参加して夕食会を開きました(写真2)。諸々の問題などで政府間はギクシャクしていますが、研究者間は和やかに親睦を深めることができました。Yu北京大学教授から、ぜひ日本からも多数の参加をお願いしたいとのことでした。第3回AsCNP大会は中国精神医学会と合同開催なので、2000人以上の参加者となる見込みのようです。JSNP会員の先生方にはぜひ多数ご参加いただきたいと思います。

 また、リーダーシップミーティングとして、最終日の朝7時から8時に、ACNP, CINP, ECNP, AsCNP, JSNPの代表者の会議が有り、CINPの代表として山脇JSNP理事長が、JSNPの代表として当時JSNP総務委員長だった筆者が出席いたしました。中枢薬のアカデミア主導の命名方法、中枢薬開発の危機とそれへのアカデミアとしての対応状況、第3回AsCNP大会の準備状況などが話し合われました。JSNPとしては、国際化とトランスレーショナル研究を2つの柱として進めていることをご説明し、継続的な協力を要請いたしました。

 このような公式の発表や会合の他に、あちらこちらで論文執筆やグラント申請、人事などの相談がなされているようでした。ACNP年会では、学術的にも、新薬開発においても、最先端の情報を入手できる他、神経精神薬理学分野のリーダーたちが直接話し合ってこの分野を発展させていっているようです。日本からもできるだけ多くの研究者がその輪の中に入っていけると、より日本の研究成果を世界的に活用できることと思います。なかなか敷居の高い学会ではありますが、機会を見つけてご参加いただければ幸いです。
(平成25年1月4日執筆)

NIH所長のセッション
左から、Insel NIMH所長、Warren NIAAA所長、Volkow NIDA所長、Buckholtz NIA所長、Krystal ACNP理事長(当時)

第3回AsCNP大会の準備のための日中研究者の会合
前列山脇JSNP理事長の左隣がYu教授

リーダーシップミーティング
後列左より、Kupfer ACNP財務委員長、Kalivas ACNP次期理事長、Frazer ACNP事務局長、Goodwin ECNP次期理事長、Si Tianmei AsCNP理事長代理、筆者:JSNP総務委員長(当時)
前列左より、Zohar ECNP理事長、Krystal ACNP理事長(当時)、山脇JSNP理事長(兼CINP次期理事長)