会長:橋本 俊

第47回日本小児外科学会学術集会の開催にあたって


このたび、皆様のご支援をいただき、第47回日本小児外科学会学術集会を開催できますことを大変光栄に存じます。学術集会を平成22年6月17~19日の3日間、愛知県産業労働センターにて開催すべく、東海地区の本学会評議員で開催準備委員会を構成し、全国の小児外科学会会員の皆様に喜んでいただけるよう準備を進めてまいりました。本学会が東海地方で開催されますのは第9回の名古屋市立大学名誉教授 柴田清人先生、その後28回の名古屋大学名誉教授 伊藤喬廣先生以来であり、奇遇にも19年ごとの開催となりました。

小児外科医療の特徴は、幅広い領域の診療と手術に関われることにあり、緊急性を要する疾患も多く、広範な知識を必要とし、地域密着性の高い医療であると考えております。同時にこの診療に貢献される先生の立場も様々で、大学における独立した小児外科学講座、外科学講座の中の診療科グループ、小児専門病院で小児外科疾患のみを取り扱われる場合、一般病院あるいは開業医として従事されている場合等、それぞれの立場から患児の治癒を目標に、より安全で質の高い小児外科医療の発展を期してみえると存じます。日本小児外科学会はこうした先生の熱意の集積で成り立っていると確信しております。

小児外科医の喜びはこども達の笑顔そのものと思います。それを共有するのは難しい手術をすることによるだけで得られる物でもなく、様々な小児外科診療の中で培っていけるものであり、私どもの究極の目標とも言えます。そこで、今回の学術集会の主題をShare Smiles with Sick Children、Dreams and Innovation for Pediatric Surgery(病気の子ども達に笑顔 小児外科に夢そして革新を)とさせていただきました。「こども達の笑顔」、小児外科医の「夢」を現実にする「革新」を会員の皆様が枠にとらわれることなくご発表頂き、それぞれのお立場から忌憚ない意見交流ができれば私どもの企画はその目的を達成いたします。

幸いにも幅広く会員の先生から558題という多数のご応募をいただきました。改めて感謝いたします。演題はプログラム委員の先生にご評価いただき、シンポジュウム4、ワークショップ2、パネルディスカッション2を設け、これとは別に画像による検討を多くするという観点からビデオセッション4と、ポスターセッションを重視して広さ1,000m2の会場を2つ用意し、うち、1フロアーはポスターシンポジュウムとしてホットなディスカッションをいただけることを期しております。ポスター会場は全て、リラックスして楽しく閲覧いただけるようデザインを特に工夫を致しました。

特別講演ではEast-West Medical College & HospitalのMoassem Hossain 先生から「バングラデシュにおける小児外科診療の開始から大学の設立まで」をお話しいただき、小児診療環境構築の立場から名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授 鈴木賢一先生から「子どもたちの笑顔と療養環境デザイン」についてご講演いただきます。また、日本における小児外科診療発展のパイオニアでもあるアイオワ大学名誉教授の木村 健先生から、私どもの未来に向けてのメッセージとして「米国の小児外科:卒後研修、診療および研究のシステム」についてお話しいただきます。

また、今年は多様な生き物や生息環境を守り、その恵みを将来にわたって利用するために結ばれた生物多様性条約に関する10回目の締約国会議;COP(Conference of the Parties)が10月に名古屋市で開催が予定されておりますこともふまえ、教育講演には名古屋市立大学理事長の戸苅 創先生から「地球温暖化と胎児新生児の脳保護」について解説していただきます。

この他に、今回は名誉会員受賞記念講演としてPrem Puri教授を予定させていただきます。サテライトのセミナーとしては内視鏡セミナーと、昨年の福澤会長の企画を引き継いで看護のためのスキルアップセミナーを予定いたしました。ぜひお楽しみ下さい。

開催地、名古屋のまちづくりは、1610年(慶長15年)の名古屋城築城と清須からの町ぐるみの移転(いわゆる清須越)に始まります。天下統一の構想を進めていた徳川家康公が名古屋城に遷府して以来、本年が開府400年になります。そこで、今回の学術集会をこの開府400年事業のパートナーシップ事業として登録させていただきました。お時間がございましたら、名古屋の町の散策もお楽しみいただければ幸甚です。皆様の御来名をお待ちしています。

会長 : 橋本 俊

第47回日本小児外科学会学術集会
(藤田保健衛生大学小児外科 教授)



  • 運営事務局運営事務局
  • 開催準備委員会開催準備委員会
  • ノバルティスファーマ株式会社
  • アボット ジャパン株式会社