臓器移植ファクトブック2000

心臓
ホーム ] 腎臓 ] [ 心臓 ] 肝臓 ] 免疫抑制療法とQOL ] 移植ネットワークの役割 ] 広報活動 ]


1.概 況

bullet心臓の移植には脳死した者の身体から摘出した心臓を必要とします。摘出してから移植するまでの保存時間は4時間が限界です。
bullet移植手術は、レシピエントの心臓の裏側の壁を一部残してすべて取り去り、そこにドナーの心臓(裏側の一部を切除)を縫いつけます。病気の心臓を取り去り新しい心臓を縫いつけ終わるまでの間、人工心肺装置を使って心臓と肺の機能を代行させます。

2.適 応

bullet拡張型心筋症、虚血性心疾患、その他の疾患のため心臓機能が荒廃し従来の治療法では治せないか進行を抑えられない末期的状態にあり、以下のいずれかの条件を満たす場合心臓移植が適応となります。 
bullet長期間またはくり返し入院治療を必要とする心不全
bulletβ遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法では NYHA3度ないし4度から改善しない心不全
bullet現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例
bullet年齢は60歳未満が望ましいとされています。
bulletその他、ほかの臓器障害を合併していないこと、本人および家族の心臓移植に対する十分な理解と協力が得られることが条件となります。
(出典:移植に関係する学会の合同委員会の審議を経て作成された厚生省基準案より)
bullet移植の適応となった患者さんの心臓疾患(図1

■図1. レシピエントの元の心疾患(欧米 vs. 日本=渡航移植患者)
レシピエントの元疾患

3.移植待機者数

bullet2000年3月末現在で38人が心臓移植を希望して登録を行っています。ある推計では心臓移植の適応となる患者さんは年間新規に205〜670人発生するとされています。(芦刈ら 1996)
bullet米国のネットワークであるUNOSの年次統計を図2に示します。

■図2. 米国における心臓移植実施数、待機者数、待機中死亡数(1999 米国ネットワーク調べ)
米国における心臓移植実施数、待機者数、待機中死亡数

4.待機中の死亡

bullet心臓移植の適応ありと判定された患者さん39人を8年間にわたって追跡調査したわが国の報告では待機中の1年生存率は68%で、7年で0%です。(堀ら 2000)
bullet先に述べた新規患者数から計算すると年間78〜254 人の方が心臓移植の適応がありながら亡くなっていると推定されます。
bullet米国での心臓移植待機中の死亡者数を図2に示します。1988年に494人だった死亡者数は1990年までは増加していますが、その後はだいたい750人前後にとどまっています。各年度の(待機者数+待機中死亡数+移植件数)をその年の移植希望者数としますと、待機中の希望者の死亡率は1988年の15.4%に対して1996年は11.0%に減少しています。

5.移植実施件数

bulletわが国では心臓移植は昭和1968年に1例、「臓器移植に関する法律」施行後、2000年8月までに6例実施されました。
bulletわが国から外国に行って心臓移植を受けた人の数は(1984年〜2000年2月)合計48人です。受け入れ先としては、米国、英国、ドイツが多くを占めています。
bullet米国UNOSの統計(図2)によると、心臓移植件数は年間約2,300件です。世界全体で年間約3,800件行われていますから、世界の60%が米国で行われていることになります。
bullet図2から計算すると、1988年では心臓移植希望者の52.4%が移植を受けることができたのに、1996年には34.5%に低下しています。単純計算で、1年以内に移植を受けられる人は3人に1人の割合です。

6.移植成績

bullet外国に行って心臓移植を受けてきた日本人の生存率は、1年95%、3年91%、5年76%です。(図3 小柳ら 2000) 最長生存例は移植後すでに11年になります。
bullet国際心臓・肺移植学会がまとめた世界の集計では、1年生存率は79%、3年71%、5年63%です(図3)。この数字は1967年以来の全症例40,755人の追跡調査によるものですが、最近5年間の患者さんの調査結果ではそれぞれ80%、73%、65%です。(1999.7)
bullet心臓移植後現在生存中の人で最長生存例は25年です。(Terasakiら 1999)

■図3. 心臓移植患者の生存率
心臓移植患者の生存率

7.費 用

bullet心臓移植を受けた場合の手術前から退院までの費用は(ア)国内で移植を受ける場合、(イ)米国籍の人が米国で移植を受けた場合、(ウ)日本人が米国で受けた場合で大いに異なります(表3)。(ア)については試算によるものです(白倉ら 1997)。
bullet外国で移植を受ける場合の費用は、どこの国で受けるか、待機期間が何カ月かによってかなりちがいます。
bullet外国に行って心臓移植を受けた日本人(最近の30人)の費用の出所をみると、自費が13人、募金または基金からの借入が17人です。

■表3. 心臓移植の費用
 

退院まで

年間(移植した年)

国内で移植を受ける場合*

670万円

1,100万円

米国籍の人が米国で移植を受けた場合

1,300万円

日本人が米国で受けた場合

平均 2,840万円(690〜7,000万円)

3,270万円

*医療保険の単価を基に試算した結果であり、臓器移植法施行後行われた心臓移植の費用とは一致しません。

8.その他

bullet社会復帰:外国で心臓移植を受けた日本人は、移植後6ケ月の時点で全員が就労、就学しています(それまでに亡くなった方は除く)。UNOSの集計では米国の場合、心臓移植後1年たった人の97%はスポーツも可能なほど元気で就労、就学が可能の状態にあるが、現実にはパートタイマーを含めて就職している人は44%くらいだと報告されています。
bullet臓器提供意思表示カードの普及率と予想ドナー数:臓器提供意思表示カード所持者約30万人について年間1人の脳死ドナーが発生すると推計されています。世論調査では成人の約10%が臓器提供意思表示カードを所持しており、今後は年間約30人の脳死ドナーの発生が予想されます。(長谷川 1997)

 

ホーム ] 上へ ] 腎臓 ] [ 心臓 ] 肝臓 ] 免疫抑制療法とQOL ] 移植ネットワークの役割 ] 広報活動 ]

[ホーム] [上へ] [腎臓] [心臓] [肝臓] [免疫抑制療法とQOL] [移植ネットワークの役割] [広報活動]

Page Copyright(C) 2001-2004 日本移植学会 All Rights Reserved.
Mail: ishoku@asas.or.jp