2.適 応
●適応疾患は、従来の治療法では救命ないし延命が期待できない重症心疾患で、(1)拡張型心筋症及び拡張相肥大型心筋症、(2)虚血性心筋疾患、(3)その他、日本循環器学会および日本小児循環器学会の心臓移植適応検討会で承認する心臓疾患です。
●末期的心不全の薬物治療が近年飛躍的に進歩したため、適応条件として心機能的側面 に加え、以下のような条件があげられています。
・長期間またはくり返し入院治療を必要とする心不全
・β遮断薬およびACE阻害薬を含む従来の治療法ではNYHA III〜IV度から改善しない心不全
・現存するいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈を有する症例で、年齢は60歳未満が望ましい。
● 運動耐容能を重視し、最大酸素摂取量peak VO2が14.0 l/min/kg以下を適応としています。
●ただし、以下のような場合には適応となりません。
・心臓以外の重症疾患(肝腎機能障害、慢性閉塞性肺疾患、悪性腫瘍、重症自己免疫疾患など)
・活動期の消化性潰瘍や感染症、重症糖尿病、重度の肥満および重症の骨粗鬆症
・アルコール・薬癖、精神神経疾患
・重度の肺高血圧(最近生じた肺梗塞、高度の不可逆性肺血管病変などで、薬剤を使用しても肺血管抵抗係数が6単位以上、または経肺動脈圧較差が15mmHg以上)
3.移植待機者数
●様々な研究結果から、国内の心臓移植適応患者数は年間228〜670人であると推定されています。
●心臓移植の再開に伴い心臓移植希望の待機患者数は次第に増加し、2008年10月31日までに338人が心臓移植候補として登録されました。原疾患の90%以上は拡張型心筋症あるいは拡張相肥大型心筋症です。そのうち、国内で60人(2007年6月末現在は45人)に移植が行われましたが、35人は渡航移植し、112人は待機中に亡くなっています。
●UNOS(全米臓器分配ネットワーク)の1999年の資料から心筋症で移植を希望した患者数を計算すると3,245人となり、人口当たりの患者数で換算すると、日本で心臓移植が必要な人は約1,600人いることになります。
4.待機中の死亡者数
●心臓移植が必要と考えられている、β遮断剤、ACE阻害剤などの薬剤に抵抗性の心不全患者さんの予後は不良で、1年生存率は50%前後しかありません(つまり1年以内に半数の患者さんが死亡します)。
●先に述べた新規患者数から計算すると、心臓移植の適応がありながら亡くなっている人が毎年228人から670人いると推定されます。
●2008年10月31日までの登録待機患者338人の中で、112人が亡くなっています。
●心臓移植適応患者が年間400人いて、年間国内で7-10例、海外で7-10例心臓移植を受けたとして、その1年生存率が50%とすると、法施行後の10年あまりで4,400人近く患者さんが死亡していることになります。
●海外で心臓移植を受ける場合も、その国の心臓移植希望者としてネットワークに登録する必要があります。現在、日本人を受け入れ可能な国は、米国、ドイツ、カナダだけで、施設ごとにその前年度に施行した心臓移植数の5%だけその国以外の人の移植をすることが認められています。
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