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肝臓

5.年間移植件数
●法施行後の約10年半の間に、58人の方々が脳死肝移植を受けられました。図2に、脳死、生体別に2006年末までの本邦での年間移植数の推移を示します。1989年の開始以降右肩上がりで増加してきた生体肝移植数は、2006年に初めて減少に転じました。


●UNOSの統計によると、米国で2007年一年間に6,494件の肝移植が行われ、そのうち死体肝移植(脳死ドナー又は心停止ドナーからの肝移植)が6,228、生体肝移植が266でした。なお、死体肝移植は1988年以降毎年増加していましたが2007年以降は横ばいです。生体肝移植は2001年の523をピークに低下傾向にあるようです。日本と米国の生体移植と脳死移植の関係は全く反対です(図3)。

●国内で脳死肝移植を受けた方の移植までの待機期間は昨年は平均489日でしたが2008年は平均471日に短縮しました。

6.移植成績
●2007年12月末の集計では、国内で脳死肝移植を受けた45名の方々のうち、33名が生存しています。累積生存率は1年77%、3年77%、5年74%です。一方、生体肝移植後の累積生存率(2006年集計、図4)は、1年82%、3年78%、5年76%、10年72%、15年72%です。脳死移植と生体移植の差はありません。
●肝移植後の世界最長生存例は36年です(Terasakiら、2006)。



7.費 用
●脳死肝移植については、2006年4月1日より漸く健康保険の対象となりました。臓器搬送費(100〜250万円:搬送距離により異なる)は療養費として支給されます。
●生体肝移植については、2004年1月1日より健康保険の対象となる疾患が大幅に拡大されました。保険適用の疾患は、先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む)、アラジール症候群、バッドキアリー症候群、先天性代謝性疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む)、多発嚢胞肝、カロリ病、肝硬変(非代償期)及び劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、成因不明を含む)と定められています。また、肝硬変に肝細胞癌を合併している場合には、遠隔転移と血管侵襲を認めないもので、肝内に径5cm以下1個、又は3cm以下3個以内が存在する場合に限られています。なお、肝細胞癌について、術後の病理学的所見で上記の基準を超えていた場合や肝細胞癌の治療歴がある場合に肝移植に関する費用が支払われないことがしばしばあり医療現場の大きな混乱を招いていましたが、2007年6月20日よりこれらの症例に対しても支払われることが明文化され、患者さんにとって大きな福音となりました。さらに、小児の肝芽腫も適応となります。
 なお、上記以外の疾患では保険が適用されず、原則的に患者さんの自費負担となります。

8.その他
●生体部分肝移植が肝移植の大部分を占める日本の状況は、世界的には極めて特異です。以前から生体肝ドナーの死亡例が国外から報告されていましたが、2003年には国内でも初めての死亡がありました。また、肝提供後の生体ドナーには少なからぬ合併症のあることも明らかにされています。現在法律の改正が国会で議論されていますが、これを含め脳死臓器提供の数を増やす更なる努力が必要です。