1.概 況
● 肺は左右の胸の中に一対存在する臓器で,主として空気中から酸素を血液内に取り入れ,血液中の炭酸ガスを空気中に排泄するという仕事をしています。
● 肺の機能が低下すると血液中の酸素の量が減少し,さらに悪化すると炭酸ガスの量が増加してきます。
● 血液中の酸素の量が減少すると最初は運動時の息切れを強く感じるようになり,やがては静かにしていても呼吸困難を覚えるようになります。これを呼吸不全と呼びます。
● 血液中の炭酸ガスの量が増加すると,血液は酸性に傾いてゆき,腎臓などでの代償機能を越えると体内のpHのバランスが破綻して生命維持が困難になります。
● 酸素の不足に対しては酸素の吸入である程度対処できますが,肺の機能が廃絶すると酸素を投与してももはや生命の維持ができなくなります。
● 肺に原因する病気のためにおちいる呼吸不全に対して,片方あるいは両方の肺を交換する治療が肺移植です。
● 肺移植には脳死肺移植と生体肺移植の二つの方法があります。
● 脳死下で提供された肺を移植するのが脳死肺移植で,両肺が提供された場合は片方ずつ二人の患者さんに移植する方法と,両肺を一人の患者さんに移植する方法があります。どちらの方法をとるかは移植される患者さんの病気によって決まります。
● 生体肺移植は主として二人の近親者からそれぞれ肺の一部を提供していただき患者さんに移植する方法です(小さな子供の場合、提供者が一人という事例もこれまで散見されます)。
● 生体肺移植では提供される肺の量が少ないために,患者さんと提供者の体格の違いなどの問題から,これを行える場合はかなり限定されます。
