一般の方

肺のQ&A

移植について
肺移植とはどういうものですか?

肺移植とは、次の条件を満たす重い肺の病気を持つ患者さんに行われる治療法で、自分の病気の肺を取り出し(片肺もしくは左右両方の肺)、提供者(ドナー)の方から提供された新しい肺(片肺もしくは両肺)を移植します。

  1. 現在の医療において、肺移植の他に有効な治療法がない
  2. 生命の危険が迫っている(2年生存率が50%以下)
  3. 肺移植によって元気になることが予想される

肺移植の種類には、脳死肺移植と生体肺移植があります。手術の種類としては両肺移植(左右両側の肺を取り替える)、片肺移植(左右どちらか一方の肺を取り替える)があります。

肺の質問一覧へ

肺移植が必要となるのはどんな病気でしょうか?
悪くなった肺 下記のような病気のとき、肺移植が必要となります。
  1. 特発性肺動脈性肺高血圧症:肺の血圧が高くなり、肺に血液が流れにくくなる病気
  2. 特発性肺線維症:肺が硬くなり縮んでしまう病気
  3. 肺気腫:空気の袋である肺内の壁が壊れて空気を吐き出せなくなる病気
  4. 気管支拡張症:気管支が拡張して慢性に濃痰がたまる病気
  5. 肺サルコイドーシス:感染症によく似た病巣を肺につくる病気
  6. 肺リンパ脈管筋腫症:気管支やリンパ節の筋肉が異常に増えて肺にたくさんの穴があく若い女性に多い病気
  7. アイゼンメンジャー症候群:先天性心疾患があり、肺の血圧が高くなって肺に血液が流れにくくなる病気
  8. その他の間質性肺炎:特発性肺線維症以外で肺が硬くなる病気
  9. 閉塞性細気管支炎:細い気管支が狭くなり塞がる病気
  10. 肺好酸球性肉芽腫症:喫煙歴のある若い男性に多い、肺に穴があいていく病気
  11. びまん性汎細気管支炎:細い気管支に広く慢性の炎症が起こる病気
  12. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症:血の塊(血栓)が肺の血管に詰まって血液が流れにくくなり肺の血圧が高くなる病気
  13. 多発性肺動静脈瘻:動静脈瘻という肺血管の先天的異常が多発する病気
  14. α-1アンチトリプシン欠損型肺気腫:α-1アンチトリプシンという酵素が先天的に欠如するために肺気腫をきたす病気
  15. 嚢胞性線維症:欧米に多い遺伝性の疾患で、肺に慢性の感染がおこる病気
  16. じん肺:粉じんを吸い込むことによって肺が硬くなる病気
  17. その他、肺・心肺移植関連学会協議会で承認する進行性肺疾患

※ここにあげた疾患であっても、病状によっては肺移植の適応とならない事があります。

※各疾患の適応基準については、移植施設にお問い合わせ下さい。

肺の質問一覧へ

日本で脳死肺移植をうけるにはどのような手続きが必要ですか?
脳死肺移植を受けるためには、日本臓器移植ネットワークへの登録が必要です。脳死肺移植を受けるためのステップは以下のようになっています。

■移植実施施設への紹介
    ↓
■肺移植に関する1回目のインフォームドコンセント
    ↓
■地域内もしくは各施設内の適応検討委員会、倫理委員会での審査
    ↓
■肺移植に関する2回目のインフォームドコンセント
    ↓
■中央肺移植適応検討委員会での審査
    ↓
■日本臓器移植ネットワークへの登録

このようなステップを踏んで、日本臓器移植ネットワークに登録された後、移植の順番を待つことになります。移植施設に紹介されてから日本臓器移植ネットワークへの登録が完了するまでには、約3~6ヶ月の期間がかかります。
脳死肺移植には片肺移植と両肺移植があり、それぞれの疾患や病状に適した術式を選択して登録します。

肺の質問一覧へ

脳死肺移植希望者として登録待機中は、どのように生活すればよいですか?

カレンダー 登録後は、自分の順番が来るまで待機します。どのくらい待たなければならないのかは、誰にもわかりません。待機中も病気の治療は継続して行われます。体調をこわさないよう心がけて、移植の順番を待ちながら生活をおくることになります。時には体調や検査の結果によって移植が受けられない状況になることもあります。

突然かかってきた電話に出る 実際の提供時には、ドナーの血液型、体格、待機期間にもとづいて肺移植手術の候補患者が選ばれます。もし、あなたが肺移植の候補者として選ばれた場合、移植実施施設に日本臓器移植ネットワークから連絡が入ります。そして、移植施設よりあなたに、移植手術を受ける意思があるかの確認が行われます。
脳死移植では一刻を争う迅速な行動が必要ですので、日本臓器移植ネットワークからの連絡後1時間以内にYesかNoかの返事をしなくてはなりません。ですから、待機中は常に連絡がとれるようにしておく必要があります。

移植手術を受ける意思がある場合は、直ちに移植施設に入院して移植の準備を始めます。入院までの交通手段、時間、食事や内服薬については移植施設の指示に従ってください。

肺の質問一覧へ

肺移植手術について教えてください。

全ての肺移植手術は全身麻酔のもとで行われます。肺移植手術では、しばしば人工心肺の補助が必要になります。肺移植手術は、熟練した移植医、呼吸器外科医、麻酔医、心臓血管外科医、循環器内科医、手術看護師、臨床工学技師など、大勢のスタッフがチームを作って実施されるものです。

肺の質問一覧へ

肺移植手術をうけた後はどのようになりますか?

ICU 手術直後~ICU(集中治療室)
手術が終わると、ICUで多くの医療スタッフによって集中的に治療されます。たくさんの医療機器に囲まれるなどの特殊な環境の変化によって、せん妄症状(幻覚、幻聴、落ち着きがない、時間や場所がわからない)などの精神症状を起こすことがありますが、一般病棟に戻ると自然に回復します。ICUで治療を受ける期間には個人差がありますが、おおよそ2週間程度です。手術からの回復具合に応じて食事も始まります。ICUに入室している間はご家族の面会が制限されます。

リハビリ(点滴棒) 一般病棟~退院
一般病棟へ移った後は、本格的にリハビリに励みます。退院してからの生活に備え、薬の飲み方などさまざまなことを勉強してもらいます。「移植」は受けたら終わりではありません。むしろ、移植後の方が様々な自己管理が必要になってきます。個人差はありますが、順調に回復した場合、約2~3ヶ月で退院となります。

肺の質問一覧へ

日本ではどのくらいの数の肺移植をやっていますか?成績はどうですか?

2013年末までに、日本で実施された脳死肺移植は197件です。このうち、両肺移植が93件で片肺移植が104件でした。日本全体の肺移植の手術成績は、1年生存率で約85%、3年生存率で約72%、5年生存率で約63%です。3万例以上の国際登録での成績は5年生存率が50%程度ですので、日本では肺移植を国際水準以上の安全さで受けられると考えてよいと思います。
まだ実施件数が限られているので、細かな成績は出せませんが、適応となっている病気の種類によって移植成績が大きく異なることはないようです。また片肺、両肺、どちらも同等の手術成績となっています。

肺

肺の質問一覧へ

生体肺移植について教えてください。

肺移植 生体肺移植とは、2人(移植を受ける方が小さなお子さんの場合は1人のこともあります)の健康なご家族から、それぞれ肺の一部分をご提供いただいて移植する方法です。

レシピエントの両肺を取り出し、2人の健康なドナーの右または左肺の一部(右下葉または左下葉)を移植します。いただいた肺の一部分ずつの合計が、レシピエントの肺のおおよそ50%以上になることがひとつの目安です。ご提供いただいた肺の大きさがレシピエントにとって充分な大きさであるか、また大きすぎないかを検討する必要があります。

2013年末までに日本で実施された生体肺移植は145件で、移植後の生存率は脳死肺移植とほぼ同じです。

肺の質問一覧へ

この記事は役に立ちましたか?

わかりやすかった
あまりよくわからなかった
わかりにくかった