データで見る臓器移植

日本における2019年の各臓器の脳死下移植、心停止下移植ならびに生体移植数( )内は2018年の数

2019年に日本において施行された各臓器の脳死下移植、心停止下移植ならびに生体移植の数は表のとおりです。( )内は2018年の数。

日本移植学会 2019臓器移植ファクトブック、2020臓器移植ファクトブック

日本における脳死下ドナー数の推移

臓器移植法が施行された1997年以降の脳死ドナー数の推移です。2010年の移植法の改正施行以後は、増加傾向を示しています。2019年は脳死ドナー数は97例となり、過去最多であった2017年の76例に比較して21例も増加しました。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における心停止ドナー数の推移

心停止ドナー数は改正法施行の脳死法案改正後、2010年より漸減傾向を示し、2014年の心停止ドナー数は最も少ない27例となっています。その後は微増して2017年では35例となりましたが、2018年では295例、2019年は28例と再度減少しています。法改正により脳死ドナー数は著しく増加した反面、心停止ドナー数は減少しているのが現状です。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における脳死ドナー、心停止ドナー 合計数の推移

脳死ドナー・心停止ドナーの合計数の推移は、改正法施行後の2010年では113例、2011年では112例でしたが、その後は漸減し2014年では脳死ドナー・心停止ドナーの合計数は77例まで減少しました。2017年には111例と増加し、2018年は95例と減少しましたが、2019年は125例と増加しています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における18歳未満の臓器提供件数

2010年の臓器移植法改正施行により15歳未満からの脳死下の臓器提供が可能となり、2011年4月に初めて15歳未満の小児の脳死下臓器提供が行われました。また、2012年6月には6歳未満の小児臓器提供がありました。2019年の18歳未満の臓器提供数は心停止下ドナー1例、脳死下ドナー18例となり、脳死下での提供数が著増しています。心移植をはじめとして臓器移植の必要な小児レシピエントは多数待機しており、さらなる増加が期待されます。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における脳死、心停止下臓器提供による臓器移植件数の推移

2019年における臓器提供者数は125例まで増加し、臓器移植者数も480例となりましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症流行の影響により提供者数は77例(脳死下68例、心停止下9例)まで減少し、臓器移植者数は318例でした。臓器提供件数はあまり変わらないため、移植件数が移植希望者の登録数の増加に追い付いていないのが現状です。

(公社)日本臓器移植ネットワーク ホームページ

世界各国の臓器提供状況(2019)

死体ドナーからの提供件数は、国と地域により大きな差があります。概して欧米諸国で対人口当たりの死体ドナー件数は多い傾向があり、2019年の集計ではスペインが人口100万人当たり49件で1位、米国が36.88件で続き、クロアチアが34.63件で3位でした。日本は0.99件です。

IRODaT WORLDWIDE ACTUAL DECEASED ORGAN DONORS 2019 (PMP)

日本における心臓移植件数の推移

2010年の改正臓器移植法施行後、脳死臓器提供の増加に伴ってわが国の心移植の実施数も増加傾向にあります。2017年は56件(心肺同時移植は0件)、2018年は53件(同0件)でしたが、2019年は84例(同0件)と大幅に増加しました。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

小児脳死臓器提供件数の推移

臓器移植法改正施行により15歳未満の方からの脳死臓器提供が可能となったので、児童(18歳未満)の方から臓器提供が行われる際のレシピエントの選択基準が定められました。臓器毎に選定基準が異なりますが、心臓では日本臓器移植ネットワーク登録時の年齢が18歳未満の小児が優先されることになりました。法改正後2020年11月末日までに、18歳未満の方からの臓器提供が53件ありました。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

心移植件数と status 1 待機期間の推移

国内で心移植を受けた人の待機期間は、臓器移植法改正施行前は平均779日(29~1,362日)でしたが、法改正後、平均1,002日(134~1,711日)と著明に延長しました。2017年に移植を受けた人では平均 1,173日(213~1,711日)であり、3年を大きく超えたことになります。同様に機械的補助期間(VADの装着期間)は平均989日(21日~1,802日)でしたが、2017年に移植に至った人の平均補助期間は1,211日(237~1,802日)で、66%にあたる37人は補助期間が3 年を超えていました。米国のStatus 1の患者さんの待機期間56日と機械的補助期間50日に比較して、極めて長いのが特徴です。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

心臓移植後の累積生存率

国内で2019年12月31日までに心移植を受けた512人の生存率は、5年93.0%、10年89.4%、15年79.1%です。時期の違いはありますが、日本の心移植後の生存率は国際レジストリーと比較しても大変良好と言えます。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における肝移植数

2019年末までに行われた成人・小児を合わせた肝移植総数は10,038例であり、初回移植9,699例、再移植321例、再々移植17例、再々々移植1例でした(死体移植が各々494例、90例、10例、1例、生体移植が各々9例、205例、231例、7例)。ドナー別では、死体移植が595例(脳死移植592例、心停止移植3例)、生体移植が9,443例であり、年間400例程度の肝移植が日本で行われています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

脳死肝移植と生体肝移植の割合 2019年の日米の症例数の比較

米国のOrgan Procurement and Transplantation Network (OPTN)の統計によると、米国で2019年の1年間に8,896件の肝移植が行われ、そのうち死体肝移植(脳死ドナー又は心停止ドナーからの肝移植)が8,372例、生体肝移植が524例でした。 肝移植全体では2004年以降は6,000例超が一定して施行されており、経時的にその数は増加し、2017年には年間8,000件を超え、2018年、2019年とさらに増加し続けています。日本と米国では、肝移植数そのものに大差があり、生体移植と脳死移植の割合は全く反対です。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における肝移植後の患者生存率 生体肝移植 vs. 脳死肝移植

2019年末の集計では、国内で脳死肝移植を受けた595名の方々の累積生存率は1年89%、3年86%、5年83%、10年75%、15年64%です。
一方、生体肝移植後の累積生存率は、1年85%、3年82%、5年79%、10年74%、15年69%です。
脳死移植と生体移植の差はありません(2019年末集計)。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

脳死肝移植における年齢別の患者生存率 小児 vs. 成人

脳死肝移植における小児と成人の肝移植成績の比較では、小児の累積生存率は、1年86%、3年84%、5年82%、10年79%であるのに対し、成人の累積生存率は、1年90%、3年87%、5年83%、10年75%であり、小児と成人の差はありません(2019年末集計)。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

生体肝移植における年齢別の患者生存率 小児 vs.成人

生体肝移植における小児と成人の肝移植成績の比較で、小児の累積生存率は、1年90%、3年88%、5年88%、10年85%であるのに対し、成人の累積生存率は、1年83%、3年78%、5年74%、10年67%であり、小児肝移植の成績が有意に良好です(2019年末集計)。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

生体肝移植におけるABO血液型適合度別の患者生存率
血液型一致 vs. 適合 vs. 不適合

2016年にリツキシマブが保険適応となり、血液型不適合生体部分肝移植は通常診療の範疇となりました。3歳未満では血液型が一致している場合と全く同じです。年齢が大きくなるにつれて特別な拒絶反応がおきるので免疫抑制療法を工夫して行います。成人ではかつて生存率は20%でしたが、特に2004年半ばより、リツキシマブという薬剤が臨床使用され始めて以降は、血液型適合と遜色ないほどに改善しています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における腎移植数・透析患者数の推移

2019年の腎移植数は2,057例で、前年より192例増加しています。1989年より4 ~5 年間減少傾向にあった総移植患者数は次第に増加傾向にあり、2006年には年間1,000例を超え、2019年に初めて2,000例を超えました。
2019年末の透析患者数は344,640例で年々増加していますが、献腎移植希望登録数は2019年末で12,505名となっており、増加していません。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

腎移植レシピエントの年齢(2019年症例)

腎移植レシピエントの平均年齢は、生体腎が48.5歳、献腎が48.8歳で、生体腎と献腎のレシピエント年齢がほぼ同じになりました。これまでは献腎レシピエントが生体腎レシピエントに比較して高齢な傾向がありましたが、2019年はほぼ同年齢となりました。生体腎移植と献腎移植をあわせると40歳代と50歳代が多くを占めそれぞれ447例、446例と約21.7%を占めています。10歳未満への腎移植数は生体腎移植が31例、献腎移植は13例で、合計では44 例(2.1%)と非常に少ないのが現状です。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

世界の透析患者数 上位5カ国(人口100万人あたり:2018年)

人口100万人あたりの透析患者数を国別に比較すると、日本は2番目に多いという結果になっています。

UNITED STATES RENAL DATA SYSTEM 2020 ANNUAL DATA REPORT より作成

世界の年間移植件数 上位5カ所(国、地域)と、韓国、日本(人口100万人あたり:2018年)

日本における人口100万人あたりの腎移植件数は世界と比較しても非常に少ないという結果になっています。

UNITED STATES RENAL DATA SYSTEM 2020 ANNUAL DATA REPORT より作成

世界の年間移植件数 上位5カ所(国、地域)と、韓国、日本
献腎移植、生体腎移植の割合(2018年)

日本は他の国と比べると、腎移植件数に占める献腎移植の割合が非常に低くなっています。

UNITED STATES RENAL DATA SYSTEM 2020 ANNUAL DATA REPORT より作成

年代別患者生存率(生体腎・献腎)

生体腎移植、献腎移植のいずれにおいても、生存率・生着率は年代とともに改善しており、特に2001年以降は良好な成績でした。生存率に関しては、生体腎では1983~2000年で1年生存率97.1%、5年生存率が93.6%でしたが、2010~2018年では99.2%、96.8%に上昇しています。
献腎においても同様に1983~2000年の92.6%、86.0%から2010~2018年では98.1.%、93.3%と上昇がみられています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

年代別生着率(生体腎・献腎)

生体腎移植、献腎移植のいずれにおいても、生存率・生着率は年代とともに改善しており、特に2001年以降は良好な成績でした。生着率についてはさらに伸び幅が大きく、生体腎では1983~2000年で1年生着率93.0%、5年生着率が81.9%でしたが、2010~2018年では98.6%、93.1%に上昇しており、献腎では1983~2000年の81.6%、64.8%から2010~2016年では96.6%、87.8%へと著明に上昇していました。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

腎移植レシピエントの死亡原因

移植時期別に全レシピエント(生体腎+献腎)の死因を調査した結果、心疾患、感染症、脳血管障害、悪性新生物(がん)が上位を占めており、2001~2009年においては感染症が、2010~2018年においては悪性新生物が死亡原因の1位となっています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

レシピエントの移植腎廃絶原因

移植時期別に全レシピエント(生体腎+献腎)の腎廃絶に関する追跡調査の結果、いずれの時期でも慢性拒絶反応による移植腎廃絶が最多でしたが、その割合は1983~2000年で61.6%、2001~2009年で27.4%、2010~2018年で19.6%で、新しい時期の方が観察期間が短いため低くなっています。急性拒絶反応による廃絶に関しては、いずれの時期でも少なく、免疫抑制薬の発達と急性拒絶反応に対する治療法が確立しているためと判断されます。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

生体腎移植ドナーの予後(死亡率)

2009年から2018年までに施行された生体腎移植14,323例の生体腎ドナーの調査では、移植後3か月時点において2例(0.0%)、1年で10例(0.1%)、2年で6例(0.1%)、3年で5例(0.1%)、4年で10例(0.2%)、5年で6例(0.2%)、6年で9例(0.4%)、7年で5例(0.3%)の死亡例が報告されています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

生体腎移植ドナーの合併症(尿蛋白)

2009年から2018年までに施行された生体腎移植14,323例の生体腎ドナーの調査の結果、ドナーの術後の合併症については、尿蛋白(+)以上の症例が、術後3か月で72例、1年で72例、2年で55例、3年で33例、4年で43例、5年で38例、6年で34例、7年で36例報告されています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

生体腎移植ドナーの合併症(高血圧)

2009年から2018年までに施行された生体腎移植14,323例の生体腎ドナーの調査の結果、ドナーの術後の合併症については、高血圧ありの症例が術後3か月で1,232例、1年で1,110例、2年で791例、3年で719例、4年で612例、5年で488例、6年で328例、7年で265例報告されています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における膵移植症例数の推移

1997年10月「臓器の移植に関する法律」の施行後、2000年4月に第1例の膵腎同時移植が行われてから、2019年12月末日までに407例の脳死下での膵移植(うち341例の膵腎同時移植、48例の腎移植後膵移植および18例の膵単独移植)と3例の心停止後での膵腎同時移植が行われています。なお、近年は生体膵移植は行われていません。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

膵移植レシピエントの性別と年齢

膵移植レシピエントの性別は女性249例、男性161例で、女性が約60%を占めました。
年齢は30歳代が108例、40歳代190例と、レシピエントの約70%は30~40歳代となります。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

膵腎同時移植レシピエントの透析歴

膵腎同時移植患者の透析歴は平均7.1年で、ここ数年で大きな変化は見られませんが、腎臓(単独)移植レシピエントの透析歴より短くなっています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

膵移植後の患者生存率と移植膵生着率

移植した患者の1年、3年、5年、10年生存率はそれぞれ、95.8%、95.5%、94.2%、88.7%です。
移植された膵臓の1年、3年、5年、10年生着率はそれぞれ85.9%、80.6%、76.2%、67.4%です。
一方、膵腎同時移植で移植した腎臓344例の1年、3年、5年、10年生着率はそれぞれ93.2%、92.9%、90.8%、78.2%です。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における肺移植症例数の推移

生体肺移植の国内での実施件数は、2019年12月までで、合計234件です。施設別の実施件数の累計は、京都大学95件、岡山大学94件、東北大学14件、大阪大学11件、東京大学7件、福岡大学4件、長崎大学4件、獨協医科大学3件、千葉大学2件です。脳死・生体肺移植全例を合計しますと、2019年12月までにわが国では763件の肺移植を行ったことになります。なお、これに加えて3例の心肺同時移植が実施されています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

肺移植待機患者数の推移

移植を受けた方、亡くなった方を除いて毎年12月末時点で肺移植を待機されている方の数は増加しており、2019年12月末では待機数は心肺同時移植の3人を含めて392人となっています。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

肺移植後生存率

2019年末の時点でのわが国の成績は、脳死肺移植では5年生存率71.2%、10年生存率58.9%、生体肺移植では5年生存率73.6%、10年生存率61.9%と成績に違いはありません。いずれの成績も欧米での肺移植の成績を中心とする国際心・肺移植学会の2019年の報告で公表されている成人肺移植の5年生存率約55.4%、10年生存率約33.6%を脳死肺移植、生体肺移植ともに大きく上回るものになっています。 また、心肺同時移植の3例は2019年末時点で生存中です。

日本移植学会 2020臓器移植ファクトブック

日本における小腸移植実施件数

2018年12月末までの小腸移植は27名に対して30例の移植が実施されました。ドナー別では脳死小腸移植が17例、生体小腸移植が13例でした。年次毎の脳死、生体ドナー別の小腸移植の実施件数を図に示します。

日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会・本邦小腸移植症例登録報告 「移植」Vol.54,No.2・3

小腸移植レシピエントの年齢分布

レシピエント27名の性別は男性が19名、女性が8名でした。症例数に対する年齢分布を示します。
本邦での小腸移植症例は小児期の疾患に基づくものが多いのですが、19歳以上の成人症例が4割を占めます。これは、依然として小児のドナーが極めて少ないことから、成人期まで待機した患者のみ移植を受けることができるのが原因と考えます。

日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会・本邦小腸移植症例登録報告 「移植」Vol.54,No.2・3

小腸移植の移植成績

2018年12月までの患者生存率を図に示します。患者の1年生存率は89%、5年生存率は72%、10年生存率は54%となっており、他の臓器移植に比べて遜色ない程度になっています。しかしながら、グラフト生着率は1年生着率、5年生着率、10年生着率がそれぞれ82%、60%、41%と短期成績は向上したものの、長期成績はまだ十分とは言えません。

日本腸管リハビリテーション・小腸移植研究会・本邦小腸移植症例登録報告 「移植」Vol.54,No.2・3