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移植ことば辞典

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アムステルダムフォーラム
アムステルダムフォーラムとは、2004年にオランダのアムステルダムで開催された生体腎移植の場合のドナー(生体腎提供者)の適応基準を制定した国際会議です。このドナー適応基準は全世界で参考にされています。特に、ドナーの腎機能について詳細に規定されており、日本においても多くの腎移植施設がこの基準を参考にしています。
アドヒアランス
免疫抑制薬の進歩により移植成績は向上しましたが、服薬を守ること(アドヒアランス:遵守)ができず免疫抑制薬を正しく内服できない患者さんは、当然ながら拒絶反応を生じます。食事療法や生活指導、病院受診を遵守すること(アドヒアランス)も大切です。慢性拒絶反応の多くがアドヒアランス不良のため生じています。本人の自己管理だけでなく医療者と家人による患者支援が、良好なアドヒアランスを長期に保つために重要です。
意思表示カード
正式には臓器提供意志表示カードで、日本臓器移植ネットワークが発行しているカードです。日本の「臓器の移植に関する法律」によって、自分が死亡した際に臓器提供の意志があるかないかを事前に記載しておくカードです。一般的にはドナーカードともいいます。心臓死後あるいは脳死判定に従い脳死後に臓器を提供する意志、臓器を提供しない意志を表示することができます。最近では健康保険証、マイナンバーカードや運転免許証にも同様な意志表示記載欄があります。
イスタンブール宣言
臓器移植に関わる海外での臓器取引と臓器移植ツーリズム(渡航移植)などの問題に関して、2008年に国際移植学会が中心となってトルコのイスタンブールで開催された国際会議で採択された宣言です。この宣言の中で重要なポイントは、臓器売買の禁止・臓器移植ツーリズムの禁止、自国での臓器移植の推進(「移植が必要な患者の命は自国で救える努力をすること」)、生体ドナー(生体臓器提供者)の保護を提言していることです。
移植後ウイルス感染
臓器移植患者さんは免疫抑制薬を服用しており、リンパ球機能が低下しているため、種々のウイルス感染を発症することがあります。多くは潜伏するウイルスの再活性化によるものが多く、中でもヘルペスウイルス科(サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、EBウイルスなど)、ポリオーマウイルス科(BKウイルス、JCウイルス)によるものの発症頻度が高くなっています。ワクチンが存在すれば未感染ウィルスに対しては移植前に抗体を獲得しておく必要があります。
移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)
移植後の免疫抑制状態にある患者さんにのみ発症する制御不能なリンパ球の増殖に関係した症状の総称で、古典的リンパ腫と似ています。その多くはEBウイルス(EBV)と関連があり、移植後1年以内に発症する頻度が高いです。消化管、肝臓、リンパ節、まれに中枢神経にも起こります。リンパ節腫大、発熱、倦怠感などの症状を呈します。通常は、免疫抑制薬の減量のみで改善することが多いですが、悪性リンパ腫へ移行するものもあり、治療が難渋するので早期発見が重要です。
移植後糖尿病(PTDM)
移植後糖尿病(post transplant diabetes mellitus:PTDM)には、糖尿病のレシピエントに加え、腎移植後に新規に発症した糖尿病(移植後発症糖尿病、new-onset diabetes after transplantation:NODAT)も含まれます。腎移植後発症糖尿病も移植腎廃絶の独立した危険因子ですが、肥満や運動不足の他、移植後体重増加、ステロイド薬やカルシニューリン阻害薬などの修正可能な要因が多く、これらの糖尿病誘発性免疫抑制薬の調整と、厳格な血糖コントロールのためのチーム医療による集学的治療が重要です。
移植腎生検
移植腎生検は、移植腎機能低下時の診断ならびに長期的経過観察を目的に行われる病理学的診断法です。拒絶反応、腎炎再発、薬剤による影響、動脈硬化性病変などの診断にきわめて有用です。局所麻酔下に、超音波ガイド下または小切開により移植腎組織の一部を採取します。超音波ガイド下針生検が一般的ですが、抗血小板薬投与などにより小切開で直視下に行われる場合もあります。まれに、出血、血尿、移植腎動静脈瘻などの合併症が発生しますが、適切な治療により回復します。
エピソード生検
移植腎生検は、採取時期により、ドナー持ち込み病変や手術時の移植腎障害の有無などを確認する移植手術時生検、血液検査や尿検査のなどの所見により移植腎機能低下が認められたときに行われるエピソード生検、これらの検査所見に変動がなくても定期的に行われるプロトコール生検などがあります。エピソード生検は、前項に掲げた拒絶反応などの鑑別診断と治療方針決定のために重要であり、移植腎機能低下診断後早期に行われる必要があります。