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移植ことば辞典

英数字・記号
ABO血液型不適合腎移植
A→B、B→O、AB→Aなど血液が合わない(不適合)の組み合わせでの腎移植をいいます。献腎移植ではすべて適合移植なので、不適合移植は生体腎移植のみです。以前は腎移植はできないとされていましたが、移植前処置の開発により15年ほど前から通常に行われるようになりました。移植に先立って長期間(4週から2週)免疫抑制薬を服用し、レシピエントの脾臓摘出またはリツキシマブという薬剤投与、血漿交換を移植前に行います。その移植前処置方法は施設により異なります。移植の成績は現在では適合移植とほぼ変わりありません。
Bリンパ球
Bリンパ球は体内に侵入してきた抗原に対する抗体を作り出します。例えば、天然痘に一度かかると天然痘に対する抗体を作り出すBリンパ球が出来るため、二度とかからなくなります。体内に多くの種類のBリンパ球と抗体を備えておき、抗原が侵入するとその抗原に対するBリンパ球が増殖し、抗体をたくさん作り出すのですが、この増殖と抗体産生にはTリンパ球が関わっています。体液中の抗体が関与するこの反応を体液性免疫と呼びます。移植後、Bリンパ球が主体で抗体によって引き起こされる抗体関連拒絶反応は、治療に難渋することが多いです。
CRP
C反応性蛋白(CRP)は、人体内で炎症性の刺激や細胞の破壊が生じると急激に増加してくる蛋白質成分であり、このように症状に反応して増加する物質「急性相反応物質」の1つです。CRPは、体内に炎症症状を発症すると「発症から2~3時間」という短時間の間に急激に血中量が増加し、「2~3日間」で血中量がピークに達し、ピーク後は急速に血中量が低下していく特徴があるので、CRP血液検査は、CRPの血中量を測定することで炎症の度合いを測定する検査です。CRP数値は数値が高まるほど、炎症の度合いが高いか、細胞の破壊が進んでいる状態である可能性が高いことがわかります。基準値よりCRP値が高くなる状態としては、ウイルス性又は細菌性感染症に加えて、悪性腫瘍、心筋梗塞、膠原病や外傷・熱傷などがあります。臓器移植後には免疫抑制療法が必要であり、感染症を発症しやすいので、種々の検査と合わせてCRP検査を行い、感染症の診断や治療効果の判定を行います。
eGFR
クレアチニンクリアランスは24時間畜尿を行うため、検査の翌日でないと結果が分かりません。また、イヌリンクリアランスは点滴、蓄尿、頻回の採血を要するなど煩雑です。そこで性別、年齢、血清クレアチニン値からGFRを予測できる推算式が数多く考案されています。結果がすぐに分かるメリットの他、スクリーニングや多数の対象者を用いた疫学調査で簡便かつ客観的な腎機能の評価法として用いられます。人種差があり、日本人のGFR推算式が考案されましたが、作成に際して腎疾患患者を対象としたため、生体腎ドナーなど、健常人に応用するとGFRを低く見積もる傾向があります。また、筋肉量が標準から外れている患者さんでは不正確となるなどの問題点があります。個々の患者さんで正確な腎機能の評価が必要な場合はイヌリンクリアランス(Cin)、CCr、あるいは核医学検査が推奨されます。日本人のeGFR推算式は成人用であり、小児ではSchwarzの式を用いることが多いです。
HLA(組織適合性抗原)
Human Leukocyte Antigen(HLA、ヒト白血球抗原)は白血球の型として発見され、ほとんどの細胞表面に発現するclass Iと抗原提示細胞やBリンパ球などに発現するclass IIに大別されます。非常に多くの組み合わせがあるため自分と非自己を区別する組織適合性抗原としての役割があり、HLAが適合しない他人の臓器は非自己と認識され免疫による攻撃対象となります。
PRA検査
既存抗体検査は、panel reactive antibody (PRA) 検査とも呼ばれ、移植希望者の血清に、50~100人のHLA型既知のパネルリンパ球をそれぞれ反応させ(LCT法)、リンパ球(HLA抗原)と反応する抗体の有無を調べ、どれくらいの割合のパネルと陽性反応を示すかによって評価する検査です。パネルリンパ球の確保が難しく結果が出るまでに時間が掛かる検査でしたが、最近ではフローサイトメトリー法で抗HLA抗体の有無や同定を高い検出感度で短時間に行えるようになりました。PRA検査が陽性の場合はその抗体がドナーに特異的なもの(DSA)かどうかを調べる必要があります。
Tリンパ球
造血幹細胞に由来し骨髄で産生後に、胸腺(Thymus)で自己反応性細胞を除去されて選択されたリンパ球をTリンパ球といいます。細胞表面にCD4を発現し他の細胞の機能を誘導するヘルパーTリンパ球と、CD8を発現し標的細胞を攻撃する細胞傷害性Tリンパ球に大別されます。またCD4とCD25を発現し免疫を抑制性に制御して免疫寛容を誘導するレギュラトリーTリンパ球(制御性Tリンパ球)などもあります。
UNOS
米国では1968年にUniform Anatomical Gift Actが制定され、死亡後に臓器提供をしたいという意思が容認されましたが、当初は移植施設が中心になって、自施設か関連施設で提供された臓器を移植しており、レシピエント選定は外科医の判断でした。1984年にNational Organ Transplant Actが州法として施行され、臓器移植のルール作りの機関としてOrgan Procurement and Transplantation Network (OPTN)が設置されることになり、米国唯一のOPTNとして、United Network for Organ Sharing (UNOS)がRichimondに設置されました。Medicareの支援を得るために、全ての臓器あっせん機関(Organ Procurement Organization:OPO)と移植施設が会員となることが義務付けられたので、現在では57のOPOと242の移植施設が会員となり、活動しています。臓器移植のルール作りとともに、レシピエントの登録・選定を行い、移植医療に関する教育や全米の臓器提供と移植(死体・生体とも)の統計調査も行い、定期的にHPなどで公表しています。UNOSの臓器分配の目的は、①移植可能臓器を最大にする、②移植後成績を最善にする、③医学的に予後不良のレシピエントを優先する、④待機中死亡と待期期間を最小限にすることであり、全国調査の結果を受けて柔軟にルールを変更しています。