2003.10.30

臓器移植における問診強化について

日本移植学会会員 各位

日本移植学会
理事長 深尾 立

拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
 さて、10月30日付で厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室長より、日本移植学会理事長あてに以下の通達がありましたので、皆様にご報告いたします。ご周知くださいますようお願い申し上げます。
敬具

臓器移植における問診強化について

 現在、米国においてウエストナイル熱・脳炎が流行しておりますが、本年9月以降、CDC(米国厚生省疾病管理・予防センター)ホームページ上(http://www.cdc.gov/od/oc/media/pressrel/r020901.htm)において、情報が公表されてきております。これによれば、本年8月1日に米国において同一の臓器提供者から提供された臓器の移植を受けた患者4名がウエストナイル熱・脳炎に罹患し、このうち1名が8月29日に死亡したこと、また8月14日に別の臓器提供者より提供された肝臓の移植を受けた患者1名もウエストナイル熱・脳炎に罹患したことが報告されております。
 これらの事例におけるウエストナイルウイルスの感染経路として、輸血および臓器移植による感染の可能性が否定できない旨の指摘がなされている中、我が国においても献血における採血者の問診が行われていることにかんがみ、また厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会における議論を踏まえ、当面の間、臓器移植におけるウエストナイルウイルスの取扱いについては下記のとおりといたしますので、遵守されるようお願いします。
 また、下記の取扱いにつきましては、今後の国内における検査体制や献血における取扱い等の状況の変化を踏まえ、適宜変更してゆく予定であることを申し添えます。
 なお、同趣旨の通知を社団法人日本臓器移植ネットワーク理事長、各都道府県衛生主管部(局)長、日本医師会常任理事、日本内科学会理事長、文部科学省高等教育局医学教育課長、各眼球あっせん機関の長、日本角膜移植学会理事長、日本角膜学会理事長および財団法人日本角膜銀行協会理事長にも送付しておりますので併せて申し添えます。

(1)臓器提供候補者に対して、最近1カ月間の海外渡航歴を確認し、米国等のウエストナイルウイルス流行地域への渡航歴のある者については、渡航後発熱等の症状が生じたかどうかについて問診を強化すること。
(2)(1)に該当する者については、問診の結果を含めて、臓器移植施設において慎重に移植の可否を判断すること。
(3)なお、血縁者間移植についても(1)(2)と同様の対応がとられていることが望ましい。

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