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移植用語辞典

あ行
アザチオプリン
細胞の核に局在する遺伝子情報の担い手であるデオキシリボ核酸(DNA)の合成を阻害する代謝拮抗薬(プリン合成阻害薬)の1つ。略号はAZA。1960年にロンドンのCalneが犬での腎臓移植にAZAを使用して良好な成績をあげたのを受けて、1961年にボストンのMurrayが腎臓移植に臨床応用し、腎臓移植の成績は飛躍的に向上した。しかし、AZAは、免疫を担当するリンパ球だけでなく、他の細胞にも強く作用するため、骨髄抑制や肝障害などの副作用がでやすく、移植後の感染症に難渋することがあり、どの臓器においても、別記のミコフェノール酸もフェチル(MMF)に置き換わっているのが現状である。しかし、AZAは胎盤を通過しないため胎児への影響が少なく、催奇作用の強いMMFを、挙児希望の女性ではAZAに一時的に変更し、妊娠・出産を行う際には非常に有用な薬剤である。
エベロリムス
免疫抑制薬・抗癌剤の1つで、免疫抑制薬としては商品名 サーティカンとして製造・販売されている。略号はEVRなど。シロリムス(SRL)の誘導体で、target of rapamycin(TOR)という細胞内のシグナルを伝えるタンパク質に結合して造血細胞(T・B細胞)・血管平滑筋細胞などの細胞が増殖する時の細胞分裂における細胞周期を、G11というところで停止させ、その結果、細胞増殖を抑制するため、mTOR阻害剤と称される薬剤である。SRLに比較して副作用が少ない。現在、日本での適応症は心臓、腎臓、肝臓移植後の拒絶反応抑制である。細胞増殖を抑制するため、傷の治りが悪いので、心臓移植では術直後には用いず、移植後、腎機能障害や移植心冠動脈硬化症が認められた時に、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)と変更し、腎毒性の強いカルシニューリン阻害薬(CNI)の投与量を減量する場合が多い。免疫抑制薬としての有効血中濃度を一定の範囲(3~8ng/mL)にコントロールするように、血中濃度の適切なモニタリングが必要である。