移植用語辞典

ま行
ミコフェノール酸モフェチル
ミコフェノール酸は1896年にアオカビ属の発酵生産物の1つとして発見され、抗ウイルス作用、免疫抑制作用を持つことが明らかにされてきた。体内動態を改善する目的で、体内に入ってから活性化されるプロドラッグであるミコフェノール酸モフェチルが開発された。経口投与すると、薬の一部が変化することにより(エチルエステル結合が加水分解されて2-モルホリノエタノール部分が脱離)、ミコフェノール酸となって薬理作用を発揮する。ミコフェノール酸は遺伝子であるDNAの核酸のプリン塩基をデ・ノボ合成する際の律速酵素であるIMPデヒドロゲナーゼを可逆的に不競合阻害する。その結果、グアノシン ヌクレオシド プールの枯渇を起こし、DNA合成が抑制され、リンパ球は細胞分裂期のG1期からS期で増殖を停止する。
ミゾリビン
ミゾリビンは、1971年に日本で開発された免疫抑制薬、核酸代謝阻害剤の1つである。イノシン一リン酸合成酵素およびグアノシン一リン酸合成酵素というDNAに必要な核酸の合成を選択的阻害し、細胞分裂のS期でDNA合成を停止させることにより効果を発揮する。毒性はアザチオプリンよりも低い。主な適応疾患としては、腎移植における拒否反応の抑制、原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群、ループス腎炎および関節リウマチである。
メチルプレドニゾロン
ステロイド・糖質コルチコイド系薬剤の1つである。作用時間は中間型で、電解質コルチコイド作用をほぼ完全に抑え、かつ、糖質コルチコイド作用はヒドロコルチゾン(コルチゾール)に比べ5倍に増強されている。肺への移行性はプレドニゾロンに比べ良好とされている。糖質コルチコイドは広い適用範囲を持ち、免疫抑制作用に、気管支喘息や自己免疫疾患の治療に広く使用されている。臓器移植では、再灌流後の拒絶抑制や高度細胞性拒絶反応時の治療に用いられることが多い。