移植用語辞典

ら行
リツキシマブ
リツキシマブは、抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体(遺伝子組み換え技術によりマウスとヒトの抗体の一部ずつを連結させた抗体)からなるモノクローナル抗体である。ヒトCD20に対する抗体をヒトは持たないため、マウスのヒトCD20に対する抗体の可変領域Fabとヒト定常領域Fcをキメラとして、1991年に開発された。ヒトCD20はヒトリンパ球B細胞のみに発現している。CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫などが適応となっている。臓器移植においては、抗体関連拒絶反応や血液型不適合移植におけるB細胞の除去の目的で使用されている。
レギュラトリーTリンパ球(T-Reg)
制御性T細胞(T-Reg)は免疫応答を抑制する働きをもつ。自己反応性リンパ球の活性化および増殖を抑制する生理的な制御を行う。Foxp3はTregに特異的なマスター転写因子で、Tregの分化・機能発現・分化状態の維持すべてにおいて必須の役割を担う。Tregによる免疫抑制機序として、IL-2の産生抑制、CD25の発現によるIL-2の枯渇、CTLA-4の発現による抗原提示細胞の機能抑制がある。Treg 数の減少、機能減弱化を図れば、癌細胞に対する免疫 応答を惹起、強化でき、逆に、Treg 数の増加、機能強化により移植臓器に対する拒絶反応を抑制すれば、安定な移植免疫寛容を導入できる可能性が期待されている。