移植用語辞典

さ行
細胞障害性Tリンパ球(Tc または CTL)
細胞傷害性T細胞(TcまたはCTL)は、移植細胞などを認識して破壊する。Tcは活性化されて初めて細胞傷害活性を持つ。細胞傷害活性を持たないナイーブCD8陽性T細胞のTCRがAPCのMHCクラスIと共に提示された抗原ペプチドを認識し、同じ抗原を提示する細胞に対する特異的な細胞傷害活性を持つTcとなる。Tcはパーフォリン、グランザイム、 TNF-αによる標的細胞傷害とFas/Fasリガンドの結合により、標的細胞をアポトーシスに陥らせる。Tcの一部はメモリーT細胞となる。
サイモグロブリン
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン。腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植における移植後急性拒絶反応の治療に用いられる。ステロイド療法で十分な治療効果が得られない場合に使用する。腎移植の場合、通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は7~14日間。アナフィラキシー、感染症、血小板減少、白血球減少などの副作用に留意する。
シクロスポリン
シクロスポリンは、ノルウェーの土壌に含まれていたTolypocladium inflatum という真菌が産生する環状ポリペプチド抗生物質の1つである。カルシニューリン阻害薬(CNI)の1つで、臓器移植による拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療に使用される。副作用として、腎機能障害(腎毒性と呼ばれ、特にクレアチニン値上昇)、高血圧、多毛、歯肉増殖症などがある。旧製剤のサンディミュンは疎水性であったため、消化液の中では大きな油滴となり、吸収には胆汁酸による乳化が必要であるので、食事の内容やタイミング、胆汁酸分泌量による影響から、吸収にはバラツキがあった。現行製剤のネオーラルはoil in water型マイクロエマルジョンとなるよう界面活性剤などを配合したものであり、吸収が安定するようになり、薬効も安定し、副作用も減少したが、血中濃度の適切なモニタリングが必要な薬剤である。