移植用語辞典

た行
タクロリムス
1984年に筑波山の土壌細菌(ストレプトマイセス・ツクバエンシス)より分離された。タクロリムスは細胞内でまずFK506 binding proteinとというタンパク質と複合体を形成し、これがさらにカルシニューリン(calcineurin)というタンパク質に結合する。そしてそのNFAT脱リン酸化反応を阻害することにより、IL-2に代表される種々のサイトカイン(細胞の情報伝達物質)の発現を抑制する。これにより、細胞傷害性T細胞の分化増殖を抑制、細胞性免疫・体液性免疫の両方を抑制する。各種臓器移植や骨髄移植における免疫抑制、重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の治療に使用されている。