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症例集計2000

 

腎移植臨床登録集計報告(2000)-T
2000年実施症例の集計報告-(1)

日本移植学会雑誌 『移 植』 (Vol.36_No.2)より

I.はじめに

 全国の腎移植実施施設担当者,各県ならびに地域担当者各位のご協力をえてやっと2000年の1年間にわが国で実施された腎移植の集計を報告できることになった.ただしまだドナーやレシピエントについての詳細な記載のある「登録票」の集計が不十分であるため,これは「集計報告-(2)」として分けて発表することにした.一方,昨年生存率と生着率のみしかお示しできなかった追跡調査の結果について今回は他の因子についての解析結果も加え,「腎移植臨床登録集計報告(2000)-II」として本巻に併せてお示しできることになった.なお十分満足のゆくものではないが,この点に関しては大きな進歩であり,ともに喜びを分ちあいたい.
 なお1998年,ならびに1999年の移植件数については本誌34巻2号,ならびに35巻2号に報告したが,それ以後生体腎の追加が1998年に1件,1999年には16件あった.やむをえず変更した数値を表1として掲載することにした.統計の数値を変更することはその信頼性を落すことになるので移植医療に携わるものの共同責任として移植を行ったならば直ちに実施報告書をFAXし,このような訂正をしないですむようにお願いしたい(表1).

 

II.結果ならびに考察

 わが国で2000年に実施された腎移植は全国140施設において合計744件であり,その内訳は生体腎598件,献腎146件で,後者には脳死者から提供をうけた7件が含まれている(表2).
 これをブロック単位にすると表2に示すように,移植総数は関東甲信越が278件と最も多く,全体の37.3%を占め,ついで中国・四国125件(16.8%),近畿113件(15.2%),東海・北陸98件(13.2%),北海道47件(6.3%),東北43件(5.8%),九州・沖縄40件(5.4%)となっている.

表1年次別腎移植件数(2000)

表2 ブロック別腎移植件数(2000)

 

 一方,脳死体腎を含む献腎移植の全数はやはり,関東甲信越が49件(33.6%)と最も多く,東海・北陸が41件(28.1%)でこれについでいる.これら2ブロックの合計は90件にのぼっており,これだけでわが国の献腎移植の61.6%に達する.一方,生体腎と献腎との比率をみると最も献腎比率が高いのは東海・北陸ブロックの41.8%で九州・沖縄の32.5%がこれについでいる.一方,低値を示したのは東北,近畿,北海道などで,それぞれ9.3%,11.5%,12.8%となった.この献腎移植は他ブロックとの輸入,輸出の差が解消されていないため,献腎移植の多い地域が必ずしも臓器提供の多いブロックであるとはいえないが,HLAの6抗原適合以外の腎はそれぞれのブロックで移植されるので東海・北陸など献腎の頻度が高いブロックではやはり献腎移植数が多くなっている.

表3 都道府県別腎移植件数(2000)

 表3は都道府県別の件数であるが,東京都が175件と最も多く,ついで愛媛県56件,愛知県53件,大阪府49件,神奈川県34件などとなる.一方,生体腎,献腎の比率は腎移植を10件以上実施した県に限ると静岡県が58.2%と最も高く,愛知県の32.1%がこれについでいる.なお山形県と宮崎県では2000年には1件の腎移植も行われなかった.

 表4は施設別の移植実施件数を示したものである.最も多いのは東京女子医大の116件であり,ついで宇和島病院の36件で以下市立札幌,および東邦大学がそれぞれ26件,名古屋第2日赤24件,京都府立医大22件,仙台社保20件などとなる.すなわち年間20件以上の腎移植を行っているのはわずか7施設であり,10件以上でみると18施設となる.なお総件数である744を実施した総施設数140で割ると,1施設あたり5.3件と欧米諸国に比較し大幅に少ない数値となる.

表 4 施設別腎移植件数(2000)

 

III.ま と め

 わが国の腎移植は1989年に生体腎573件,献腎265件,合計838件とピークに達したがその後減少してきた.最初の5年間は生体腎の減少であり,献腎は200件台を保っていたが,1994年より献腎の減少傾向が強くなり,本年はシクロスポリンが導入される以前の1981年につぐ少ない件数になってしまった.一方減少傾向にあった生体腎は1997年の437件から1998年には510件と大幅な上昇に転じ,さらに1999年には56件増加して566件になり,2000年には32件増加して598件とこれまでの最高に達した.これに伴い献腎の比率は1997年の26.7%から19.6%とここ3年間で大幅に低下し,ついに20%を割り込んでしまった.これには多くの原因が考えられるが,その重要なものは言うまでもなく本人の意思がなければ提供できないという脳死の場合の条件が心停止後の場合にも必須と誤解されてしまった点である.

 いずれにしても関係者は知恵を出し合って解決策を考え実行して行かなければならない.そのためには救急医療関係者ならびに透析に携わる内科系医師の理解と協力を欠かすことができないと考えている.
 いま各地域で具体的な活動を開始し,それを継続して行く努力が問われている.

(文責:日本腎臓移植臨床研究会,腎移植登録委員会 委員長 太田和夫)

 

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