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肺移植

 

我が国における肺移植の現状

 

日本臓器移植ネットワーク登録状況

1999年に心臓移植が実施されて以来、日本臓器移植ネットワークに肺移植希望患者として登録された患者さんは漸増し(図1)、2001年9月末までに67名が日本臓器移植日本臓器移植ネットワークに登録されました。しかし、それまでに脳死肺移植を我が国で受けられたのは8名(11月末現在9名)に過ぎず、17名がすでに亡くなっており(図2)、ドナー不足は極めて深刻です。このため、技術的にはより困難な生体肺葉移植が15例(内登録症例が4名)行われており、すべて順調に経過しています。生体肺葉移植は倫理的な問題もあり、脳死ドナー肺の提供が増えることを期待するものです。

(図1)肺移植登録者数の推移

(図2)肺移植登録患者の予後

我が国で行われた肺移植の現状(表1)

2001年11月末までに9名の肺移植(両側片肺移植2名、片肺移植8名)が行われました。男性9名、女性3名で、移植した時の年齢は皆さん15歳以上で平均42歳でした。肺移植を必要とした原疾患は原発性肺高血圧症2名、肺リンパ筋腫症4名、特発性間質性肺炎3名で、原発性肺高血圧症の方はは両側片肺移植を、他の疾患の方は片肺移植を受けられました。待機期間は非常に長く35日から683日(平均289日)で、1年以上待機されていた方が3名でした。

肺移植を受けたあとには拒絶反応を予防するために、一生免疫抑制剤等の薬を服用しなければなりません。現在は、表1に示しましたように、3つの免疫抑制剤(シクロスポリンかタクロリムス、アザチオプリンかミコフェノールモフェティル、とプレドニゾロン)が使用されています。消化管の合併症のために、ミコフェノール酸モフェティルの3名がアザチオプリンに、拒絶反応のためにシクロスポリンの1名がタクロリムスに変更されました。治療を必要とした細胞性拒絶反応は2名に計3回みられ、2名ともメチルプレドニゾロンの静脈内投与(1g 3日間)で治療できましたが、1名は2回起こったのでシクロスポリンをタクロリムスに変更しました。

 脳死肺移植を受けられた9名の内、6名がすでに退院され、4名が職場復帰も果たされています。ひとえにドナーの方とその御家族の尊い意思によるものですが、肺移植を行うことでこれまで治療できなかった重症の呼吸不全の患者さんを救命できるようになりました。肺移植を必要としている患者さんの数に比較すると、臓器提供される方の数はまだまだ少ないですが、日本でも心臓移植が定着して多くの患者さんが助かることを期待しています。

最後に、2001年11月末まで11名のドナーの方からの肺の提供のお申し出がありましたが、4名の方は残念ながら医学的な理由で肺移植のドナーとして適しませんでしたので、肺移植を断念いたしました。この場をお借りして、そのドナー及び御家族にも感謝の意を表明させていただきたいと思います。

 

表1 肺移植を受けられた方の概要

症例数

9名

男:女

3例:6名

年齢

15歳以上 9名

原疾患

肺リンパ筋腫症 4名、特発性間質性肺炎 3名
原発性肺高血圧 2名

術式

両側片肺移植 2名、片肺移植 7名(左4名、右3名)

待機期間

35〜683日(1年以上3名)

移植実施施設

大阪大学 5名、東北大学 4名

基本免疫抑制療法