理事長挨拶


理事長 山脇成人

 平成23年1月より伝統ある日本神経精神薬理学会の理事長を拝命しましたので、一言ご挨拶を申し上げます。

 本学会の歴史は、「こころとくすり」に関心を持つ精神科医と薬理学研究者たちによって1971年に精神薬理懇話会として東京で発足し、1985年から日本神経精神薬理学会に名称変更され、計40年の歴史を歩んできております。個人的なことで恐縮ですが、私は大学卒業後、精神科医の道を選択した時に、神経精神薬理に興味を抱き、1980年に初めて懇話会に参加しました。その後、群馬大学田所作太郎教授が主催された「赤城合宿」で薬理学分野の研究者の方々と交流を持たせていただき、多くの会員の皆様にご指導いただきました。そういう意味で本学会は私の研究生活のルーツでありアイデンティティーでもありますので、本学会の発展のために微力ながら貢献できればと思っております。

 本学会設立の趣旨は、神経精神疾患の診療に携わっている精神科医と中枢薬理を専門とする薬理学者・脳科学者が本音で語り合い、患者さんに還元できる研究を展開していこうというものでした。この理念は専門分野が細分化され相互交流が乏しくなっている現状だからこそ一層重要になりますので、臨床と基礎が連携するシンポジウム、セミナーなどを充実し、精神医学および薬理学・脳科学関連学会との連携も強化する必要があると考えております。

 ストレス社会、超少子高齢化社会の中で、発達障害、薬物依存、統合失調症、うつ病、自殺、認知症などあらゆる世代において「こころの疾患」が急増しており、本学会の果たす役割は重要になってくると思われますが、その役割の一つは、最先端の脳科学研究手技を応用した質の高い神経精神薬理学研究の推進であり、もう一つはその成果を臨床に還元するための創薬、臨床治験、そして適切な薬物治療、服薬管理などの臨床実践や人材育成などへの貢献です。この二つを両立することは容易ではありませんが、会員の皆様の知恵を結集して実現したいと願っております。

 最後に、国際化対応について触れたいと思います。本学会と最も関係の深い国際学会は国際神経精神薬理学会(CINP)であり、1990年の京都大会以来本学会役員から理事を輩出しています。また、アジア神経精神薬理学会(AsCNP)設立にも大きく関わって参りましたが、わが国における新薬開発、臨床治験、臨床研究は国際的に見てやや後退気味の印象がぬぐえません。国際学会と積極的に連携することにより、本学会を一層活発化させて、少なくともアジアにおけるリーダー学会としての役割を果たしていきたいと思います。

 本学会が新しい時代のニーズに応え、若手研究者に魅力のある学術団体となることを目標として改革を進めていきたいので、会員の皆様のご協力・ご支援をよろしくお願い申し上げます。


                         



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