設立趣旨|学会概要

「国際取引法学会」設立の趣意書

設立趣意書を一部修正しました。

グローバル時代の国際取引法学を構築するための新しい学会の設立

 わが国経済は2010年代に入り真の意味のグローバル時代を迎え、ベンチャーや中小企業を含めすべての企業はグローバルな国際取引・事業活動を展開しつつあるが、その過程でかつて遭遇したことのないさまざまな法律問題や課題に直面している。
 国際取引法学は歴史の若い先端的な学問分野であり、これまで一部の先達者が道を切り開いてきたが、グローバル時代の法律問題に対応するべく今後の一層の発展に向けて若い研究者・専門家の育成と、国際取引法学の研究の深化・展開とレベル向上を図ることが重要な課題である。
 国際取引法学は関連法制度を幅広く包含し、かつ企業のグローバルな事業活動と密接にかかわる学問領域であることから、大学の研究者のみならず、企業法務の実務家、法曹関係者や官公庁の担当者など幅広い専門家の努力を結集し、相互に啓発・交流する必要がある。
 国際取引法学の研究領域を拡げ、よりグローバルな水準に引き上げるためには、海外の大学・研究機関との交流・共同研究が必要であるが、そうした国際交流・共同研究の母体としての学会の有用性にも着目する必要がある。
 これまで、国際取引法とその関連法制度の各分野の研究者・専門家は、国際取引法という新たな法分野を研究する先駆的な学会として2000年に発足以来活動を続けている国際取引法フォーラムを始め、それぞれ対応する既存の複数の関連学会に所属している。新たな学会は、グローバルな時代においてダイナミックに展開されている企業の国際取引・事業活動に関連する幅広い法律問題・法制度を研究対象として、このような関連学会その他の団体とも協働しつつ、国際取引法学の担い手である、研究者・企業法務・法曹等を3極とする専門家が一堂に会して研究報告を行い、互いに啓発し、その成果を世に向けて継続して発信できるような、この分野の研究を志す者すべてに開かれた、グローバル時代に対応する国際取引法学を構築するための学会の創設と発展を目指すものである。
 新たな学会には、国際取引法学の専門分野毎の研究部会を設け、各部会における会員相互間の密接かつ積極的研究活動を通じて、国際取引法学のレベルアップを図る。
 新たな学会は、次世代を担う国際取引法学の若手研究者や大学院生の指導・育成機関としての役割も担う。今後の国際取引法学の深化・発展のためにも、研究者・企業法務・法曹等が一丸となって若手研究者や大学院生の教育・育成に取り組む必要がある。

学会の特徴

 本学会は、国際取引法学を研究する者(研究者・企業法務・法曹等)のための学会であり、これら3者(研究者・企業法務・法曹等)が協働して国際取引法学の振興を図る「場」と「機会」を提供するものである。
 国際取引法学の特性から各研究部会(下記「研究組織」参照)単位で常時活動し、各研究部会のリーダー主導の下、活発な研究を通じて若手研究者の本格的な育成を実現する。
 多様な媒体により研究成果を発信することとし、大学の研究者、企業法務の実務家、法曹等の専門家という3者間の密接な交流や連携を通じて、国際取引法学の深化・発展を図る。
 海外の大学・研究機関や研究者との交流や共同研究を推進する母体として活動する。
 学会運営の効率化を図り、年1回の総会や、年1回の学会誌刊行のみに拘泥することなく、主に研究組織単位で活発な研究活動を継続すると共に、前記の学会設立趣旨および目的に基づき、機能的な研究と成果の発表を行い、かつ若手研究者の研究支援を継続する。

研究活動

年次研究大会を開催する(第1回研究大会は2015年12月第2週の予定)。
研究部会は年1回合同部会連絡会議を開催する。
各部会の研究活動は適宜会員にHPを通じて開示する。
各部会を若手研究者や大学院生の論文発表の場として活用する。
理事会は、研究部会間における研究成果の競争を促進し、各部会をまたがる研究協力や共同研究を促す。
理事会・研究部会は、研究成果を積極的に発信する(発信媒体として、学会HP、学会誌、書籍化、法律専門誌)。
学会賞(若手研究者向け)を設ける(詳細は別途規則を制定する)。

 

研究組織

 学会の下に各研究部会を設置する。
 各部会執行部(6名以下の各部会リーダー)主導の下、ネットなども活用して常時活動し、定例研究会や共同研究を行う(外部資金を活用した研究推進母体としても活用を図る)。会員は何れかの研究部会に所属することとするが、複数の部会への参加や部会間の移動も認める。なお、現時点では以下の部会の設置を予定しているが、各部会への参加希望者やリーダーの配置などの状況により部会の構成や発足時期、組合せ等は変わることがある。また、会員の今後の希望等に基づいて新たな部会の設置も検討する。

  1. 国際契約法制部会
    (CISG、ユニドロワ原則、UCC、事業提携、運送、保険、インコタームズほか)
  2. 国際通商・投資法制部会
    (投資、地域開発、経済連携、WTOほか)
  3. 国際知的財産法制部会
    (知財取引、技術ライセンス、著作権、IT、不正競争防止ほか)
  4. 国際企業法制部会
    (JV、M&A、ガバナンス、企業グループ、グローバル人材、倒産ほか)
  5. 国際取引紛争解決法制部会
    (準拠法、商事・投資仲裁、裁判管轄、訴訟ほか)
  6. グローバル・コンプライアンス法制部会
    (競争法、消費者保護、賄賂禁止、環境保護、安全保障管理ほか)
  7. 国際金融法制・税制部会
    (国際資金決済、ファイナンス、国際税制ほか)
  8. 新興国法制部会
    (アセアン、インド、韓国、中国、台湾、ブラジル・ラテンアメリカほか)

運営組織

総会→理事会(理事は3年毎に半数改選)
→研究部会(リーダー(理事が兼任)は3年毎改選)→会員
委員会(理事が委員兼任)
企画・財務委員会(委員は3年毎改選)→各研究部会から1名選出
編集委員会(委員は3年毎改選)→同上
事務局(理事が事務局長兼任、3年毎持ち回り、研究大会開催校は毎年持ち回り)
年会費: 正会員 8,000円
学生会員 4,000 円 ただし、学生会員が年度内に高等教育機関の大学院在籍者でなくなった場合は当該年度の翌年度以降は正会員として扱う。
法人会員 150,000円

設立日程

2014年 2月設立準備開始
3月 設立趣意書・規則等の作成・設立準備委員会発足
4月 運営組織・人員等の編成
5月 会員募集開始
9月 学会の枠組み決定(準備完了)
12月設立総会(12月13日一橋大学において開催予定)

会員の対象】

国際取引の法律問題にかかわる人すべて(国籍は問わない)

大学の研究者、企業の法務部門等の実務家

弁護士等法曹、官公庁の実務家

 私たちは、以上のような構想のもとに、大学の研究者、企業法務の実務家および法曹等の専門家との間の密接な交流と連携を図る学会の設立によって、グローバル時代における法律問題に対応した国際取引法学を構築することができるものと確信する。よって、ここに国際取引法学研究の一層の深化・展開とレベル向上のために、私たちは新たに「国際取引法学会」の設立を発起するものである。この学会設立の趣意書に多くの関係者が賛同され、学会が設立の運びとなることを期待する。

2014年10月7日

設立準備委員会委員長 井原 宏(筑波大学・弁護士)
委員 阿部 博友(一橋大学)
大塚 章男(筑波大学・弁護士)
河村 寛治(明治学院大学)
小梁 吉章(広島大学)
島岡 聖也(株式会社東芝)
杉浦 保友(日本大学・英国弁護士)
高田 寛(富山大学)
高橋 均(獨協大学)
田中 誠一(横浜国大学・弁護士)
徳本 穣(筑波大学)

以上

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