移植ことば辞典
な行
ニューモシスチス・イロベチイ
免疫不全状態の患者さんに肺炎を引き起こすことで知られらる微生物です。かつてはニューモシスチス・カリニと呼ばれ、原虫と考えられていましたが、分子生物学的研究の結果、現在では真菌に分類されています。なお、ニューモシスチス・カリニはラットに発育する種であり、ヒトに発育するものはニューモシスチス・イロベチイと呼ばれています。カンジダやクリプトコッカスとはかなり異なった性質を有するために、真菌であるとの結論に至るまでに時間を要しました。
ニューモシスチス肺炎
真菌であるニューモシスチス・イロベチイの肺への感染による肺炎であり、免疫不全状態にある患者さんに好発します。発熱、乾性咳嗽、呼吸困難が主な症状です。胸部CTでは多彩な所見をとります。動脈血酸素分圧の低下や炎症反応などのほか、β-D-グルカンが診断の一助となります。確定には気管支BALにて病原体を染色同定します。治療にはST合剤内服やペンタミジンの静注を用います。感染様式については明らかにされていませんが、アウトブレイク例も報告されています。
日本臓器移植ネットワーク
死後に臓器を提供したいという人(ドナー)やその家族の意思を活かし、臓器の移植を希望する人(レシピエント)に最善の方法で臓器が贈られるように橋渡しをする日本で唯一の臓器斡旋組織。公益社団法人で理事会の下に事務局があり、その中に管理運営本部と事業推進本部があります。事業推進本部は斡旋事業部と広報・啓発事業部に分かれ、ドナー移植コーディネーターがいます。献腎移植など亡くなった方からの臓器提供を受けての移植を希望する患者さんは、日本臓器移植ネットワークに登録して移植まで待機します。
尿潜血
尿に血液が混じった状態をいいます。肉眼的に確認できる血尿とは異なり、顕微鏡にて確認できる状態です。検診等にて尿潜血が陽性になったからといってすべてが病気とは限りません。激しい運動後や、発熱後、女性は生理中などでも尿潜血が陽性となります。病的な原因としては、腎炎、腎臓腫瘍、腎結石、尿管結石、膀胱腫瘍、前立腺炎などがあります。
尿毒症
腎不全の状態に、食欲不振、嘔気・嘔吐、意識障害などの中枢神経障害、その他の自覚症状を伴った場合を尿毒症といいます。尿中に排泄される尿素などの老廃物が、腎機能低下により排泄されず、体内に蓄積することが原因です。放置した場合、死に至ることもあります。治療方法は、腎不全の原因を取り除くことですが、多くの場合、透析療法を必要とします。また、対処療法として、食事制限や水分制限が必要になることもあります。
尿路感染症
腎臓から尿が排泄されるまでの尿の通り道で起こる感染症です。感染の原因は、大腸菌によるものが最も多いです。症状は、感染した場所によって異なります。膀胱炎では、排尿時痛、頻尿、残尿感や下腹部の違和感を伴うこともあります。また腎盂腎炎では、腰背部の痛み、38℃を超える発熱が出ることがあります。治療は抗生剤によるものが一般的ですが、結石など尿路感染の原因となる疾患の治療が必要になることがあります。
ネフローゼ症候群
腎臓の中には血液から老廃物を漉しとり、尿を作る糸球体とよばれる部位があります。その糸球体の機能が低下すると、本来尿中にはほとんど出てこないタンパク質が漏れ出てきます。1日にタンパク質が3.5g以上尿の中で出てしまい、それに伴って血液中のタンパク質が低下してしまった状態をネフローゼ症候群と呼びます。症状としては、全身のむくみ、体重増加などです。ネフローゼ症候群の原因は糸球体そのものが悪くなる腎炎や、糖尿病や膠原病など全身の病気に続けて起こるものなどがあり、治療法は原因によって異なります。
ネフロン
ネフロンは腎臓で尿を作る基本最小単位であり、1個の腎臓あたり約100万個あり、左右の腎臓を合わせて約200万個存在しています。
ネフロンは腎皮質に存在し、腎小体(糸球体とボウマン嚢)と尿細管で構成されています。ネフロンの働きは、不必要な成分を含んだ血液をろ過し、尿の元となる原尿を作ることです。尿を作るだけなく、体の酸塩基のバランスの調節も行なっています。
ネフロンは腎皮質に存在し、腎小体(糸球体とボウマン嚢)と尿細管で構成されています。ネフロンの働きは、不必要な成分を含んだ血液をろ過し、尿の元となる原尿を作ることです。尿を作るだけなく、体の酸塩基のバランスの調節も行なっています。
脳死
脳死は心臓死に対して、ヒトの脳すべてと脳幹の機能が回復不可能な不可逆的な段階までに著しく低下した病態のことであり、一部が機能している植物状態とは異なります。国によって定義が少し異なりますが、世界の大半の国では脳死を「個体死」としています。日本では脳死下臓器移植の場合においては厳密な法的脳死判定が必要となります。
脳死下腎移植
腎移植には、親子などの血縁者や配偶者から腎臓の提供を受ける生体腎移植と、亡くなった方から提供を受ける献腎移植があります。献腎移植のうち、心臓が止まってから提供される心停止ドナーからの移植と、脳死と診断されてから提供される脳死ドナーからの移植があり、脳死ドナーからの移植を脳死下腎移植と呼びます。最近脳死下腎移植の件数が増えており、2013年に実施件数が心停止ドナーからの移植を上回りました。一般的に脳死下腎移植の方が、心停止ドナーからの移植と比べて移植後の成績は良好であると言われております。