The Japanese Association of International Business Law
2023年から2024年にかけて出版された会員の書籍です。(五十音順、敬称略)
(大学教育出版、2024年)311頁 3,300円+税
グローバルに事業活動を展開している企業にとって国際事業戦略の立案は欠かすことはできない。このような国済事業戦略は国際買収、国際事業提携・国際ジョイントベンチャーおよび国際知的財産という3つの分野に跨がっている。とりわけ国際買収は重要な事業戦略であり、国際事業戦略の代表である。
本書は3つの部から構成されている。第1部は「国際買収のフレームワーク」である。第2部は「競争法による規制」である。第3部は「モデル英文国際買収契約」である。
第1部は8つの章から構成されている。第1章は「国際買収の戦略と形態」である。国際事業戦略としての国際買収および国際買収の形態について考察する。さらにリーガルプランニングの考え方を紹介する。第2章は「国際買収のプロセス」である。国際買収の一般的プロセス、投資銀行、秘密保持契約およびレター・オブ・インテントについて概説する。第3章は「国際買収契約の基本的構造」である。譲渡価額の合意、クロージング、クロージングの前提条件、表明保証、誓約、環境責任、補償・免責および解除について、基本的な知識を解説する。第4章は「買収におけるデューディリジェンスのリスクとリーガルプランニング」である。デューディリジェンスの重要性について解説する。第5章は「買収後の経営におけるリスクリスクとリーガルプランニング」である。事業経営の独立性と支配および買収後の統合について解説する。それぞれの買収後の経営におけるリスクおよびその対処法について考察する。第6章は「国際買収失敗のリスクとリーガルプランニング」である。さまざまな国際買収失敗のリスクとその対処法を考察する。第7章は「アメリカにおける買収防衛策」である。買収提案前の買収防衛策および買収提案後の買収防衛策に分けて紹介する。第8章は「国際買収契約における紛争解決」である。国際仲裁および国際訴訟について解説する。国際買収取引においては関係当事者間で何らかの紛争が生じる可能性がある。そのような紛争を解決するため方策として、国際仲裁と国際訴訟の基礎を理解する必要がある。第2部は3つの章から構成されている。第1章は「アメリカ反トラスト法による規制」である。合併規則、水平的合併に対する裁判所によるクレイトン法の適用、2010年水平的合併ガイドライン、垂直的・コングロマリット的合併に対する裁判所によるクレイトン法の適用および2020年垂直的合併ガイドラインについて、アメリカ反トラスト法による規制を紹介する。第2章は「1EU競争法による規制」である。合併規制および水平的合併ガイドラインについて、EU競争法による規制を紹介する。第3章は「わが国独占禁止法による規制」である。企業結合審査の対象、一定の取引分野、「競争を実質的に制限することとなる」の解釈、水平型企業結合による競争の実質的制限、垂直型企業結合による競争の実質的制限、混合型企業結合による競争の実質的制限および競争の実質的制限を解消する措置について紹介する。第3部は「モデル英文国際買収契約」である。本モデルではアメリカ法の下において、日本企業がアメリカ企業を合併により買収する事例を取り上げ、買収にかかわる判例や理論が蓄積されたデラウェア州を舞台に、日本企業がデラウェア州法人を合併による方式で買収する場合の合併契約を検討する。
(大学教育出版、2024年) 301頁 3,300円+税
グローバルに事業活動を展開している企業にとって国際事業戦略の立案は欠かすことはできない。このような国済事業戦略は国際買収、国際事業提携・国際ジョイントベンチャーおよび国際知的財産という3つの分野に跨がっている。国際事業提携・国際ジョイントベンチャーは、この3つの国際事業戦略の中でもっとも事例数が多く、その隆盛ぶりを示している。
本書は3つの部から構成されている。第1部は「国際事業提携・国際ジョイントベンチャー」である。第2部は「国際事業提携のフレームワーク」である。第3部は「国際ジョイントベンチャー」である。第4部は「競争法による規制」である。第5部は「モデル英文国際ジョイントベンチャー契約」である。
第1部は2つの章から構成されている。第1章は「国際事業提携・国際ジョイントベンチャーの意義」である。国際事業提携・国際ジョイントベンチャーの隆盛および事業提携・ジョイントベンチャーの基本的性格について考察する。第2章は「事業提携・ジョイントベンチャーの理論的説明」である。事業提携およびジョイントベンチャーの理論的説明を紹介する。第2部は、5つの章から構成されている。第1章は「国際事業提携の目的と形態」である。国際事業提携の目的と共に、事業提携の形態について解説する。第2章は「国際事業提携の基本的構造」である。提携パートナーの選択、提携事業の運営、契約型提携の経営管理機構、提携関係における紛争、提携関係の調整と軌道修正という事業提携の基本的構造について考察する。第3章は「事業提携選択のリスクとリーガルプランニング」である。どのようなタイプの提携を選択するかという問題と共に、環境の変化をどのように考慮するべきかを検討する。第4,章は「提携関係の解消のリスクとリーガルプランニング」である。提携関係の解消、提携関係の強化および発展について考察する。第5章は「技術戦略と国際事業提携」である。技術戦略におけるライセンス戦略の役割を述べ、その具体例として、国際研究開発とライセンス、国際少数参加とライセンスおよび国際共同生産とライセンスを解説する。第3部は6つの章から構成されている。第1章は「国際ジョイントベンチャーのフレームワーク」である。事業戦略としての国際ジョイントベンチャーを考察し、ジョイントベンチャーの事業形態を検討して、ジョイントベンチャー法制を紹介する。第2章は「国際ジョイントベンチャーの基本的構造」である。コーポレート型国際ジョイントベンチャーの基本的構造およびパートナーシップ型国際ジョイントベンチャーの基本的構造を解説する。第3章は「合弁会社の経営と管理におけるリスクとリーガルプランニング」である。合弁会社の経営管理機構を考察し、合弁会社におけるデッドロック対策を検討する。第4章は「ジョイントベンチャーの経営における人材管理のリスクとリーガルプランニング」である。人材の指名、移動および評価と処遇について考察し、現地人材の活用を図る必要性を検討する。第5章は「パートナーシップ型ジョイントベンチャー経営における忠実義務違反のリスクとリーガルプランニング」である。パートナーの忠実義務とそのリスクを考察し、ジョイントベンチャー契約のフレームワークによる忠実義務違反の回避策を検討する。第6章は「コーポレート型ジョイントベンチャー経営における忠実義務違反のリスクとリーガルプランニング」である。信認義務者の忠実義務とその義務違反のリスクを考察し、ジョイントベンチャー契約のフレームワークによる忠実義務違反の回避策を検討する。第4部は2つの章から構成されている。第1章は「アメリカ反トラスト法による規制」である。アメリカ反トラスト法による一般的評価、合理の原則に基づく当局のライセンス協定の評価に関する一般原則とその適用および無効または強制不可能な知的財産権について紹介する。第2章は「EU競争法による規制」である。EU競争法による一般的評価、合併規則による評価および101条による評価について紹介する。第5部は「モデル英文国際ジョイントベンチャー契約」である。本モデルでは、日本の会社 (メーカー) が米国において、その有する技術を武器としてある製品の製造・販売の事業に乗り出すために、米国のニューヨーク法人である会社と対等の出資比率 (対等経営型) で、米国デラウェア法人である合弁会社を設立し運営するケースをベースとして、ジョイントベンチャー契約を考察する。米国に立地する日米合弁会社という意味において1つのアメリカモデルとして取り上げる。
(大学教育出版、2024年) 289頁 3,300円+税
グローバルに事業活動を展開している企業にとって国際事業戦略の立案は欠かすことはできない。このような国済事業戦略は国際買収、国際事業提携・国際ジョイントベンチャーおよび国際知的財産という3つの分野に跨がっている。国際知的財産は、この3つの国際事業戦略の中で、特にメーカーにとってはきわめて貴重な資産である。
本書は5つの部から構成されている。第1部は「技術戦略と知的財産関連法である」である。第2部は「国際技術ライセンス契約」である。第3部は「競争法による規制」である。第4部は「国際技術戦略」である。第5部は「モデル英文国際技術ライセンス契約」である。
第1部は2つの章から構成されている。第1章は「技術戦略」である。技術戦略と知的財産戦略および知的財産戦略とライセンス戦略という3つの戦略について、それぞれの戦略の本質と関係を考察する。第2章は「ライセンスと知的財産関連法」である。国際ライセンスの形態を検討し、知的財産の貿易関連側面に関する協定を紹介する。
第2部は4つの章から構成されている。第1章は「国際技術ライセンス契約の交渉」である。ライセンサーはどのような事前調査をすべきかを検討し、ライセンス契約の交渉に関する当事者の立場や義務を解説する。第2章は「国際ライセンス契約の基本的構造」である。ライセンス契約における定義について、その重要性がいかに大事であるかを検討する。ライセンサーにとって特に重要なライセンスの許諾と許諾の対価を考察する。ライセンシーにとって特に重要な技術情報と技術指導を考察する。ライセンス関係の解消に関する解消事由、当事者の権利・義務および解消事由の吟味を検討し、さらにライセンサーの破産とライセンシーの保護について考察する。最後に、特許消尽の問題を取り上げる。第3章は「ライセンサーの義務のリスクとリーガルプランニング」である。ライセンサーによる改良技術の提供について解説する。ライセンサーは許諾技術の保証をどのようにして達成することができるかを考察する。また、許諾特許権の強制をいかに強いることができるかを考察する。ライセンサーが予定する技術援助やライセンシーの最恵待遇について検討する。第4章は「ライセンシーの義務のリスクとリーガルプランニング」である。ライセンシーによる改良技術のグラントバックについて説明する。ライセンシーが遵守すべき秘密保持義務を検討する。また、ライセンシーの品質保持義務について検討する。さらに、当事者間の関係について考察する。
第3部は3つの章から構成されている。第1章は「アメリカ反トラスト法による規制」である。アメリカ反トラスト法による一般的評価および合理の原則に基づく当局のライセンス協定の評価に関する一般原則を紹介し、一般原則の適用および無効なまたは強制不可能な知的財産権について検討する。第2章は「EU競争法による規制」である。一括適用免除規則による規制を紹介し、一括適用免除規則範囲外にある101条1項および101条3項の適用について考察する。第3章は「わが国独占禁止法による規制」である。私的独占および不当な取引制限の観点からの考え方を紹介し、不当な取引方法の制限の観点からの考え方を考察する。
第4部は「国際技術戦略」である。第1章は「ライセンス戦略のための法的ツール」である。改良技術の交換とサブライセンスおよびクロスライセンスとパテントプールについて考察する。第2章は「ライセンス戦略のための法的フレームワーク」である。ライセンスネットワークおよびライセンスネットワーク・ジョイントベンチャーについて考察する。
第5部は「モデル英文国際技術ライセンス契約」である。英文の国際技術ライセンス契約として基本的な内容を備え、かつ理解しやすい契約を紹介する。
(大学教育出版、2024年) 276頁 2800円+税
国際取引法は、対象とする関係分野が幅広く、かつ先端分野であるためか、体系書はほとんど刊行されていない。筆者は、1999年に商事法務研究会から「現代国際取引法」と題する体系書を刊行したが、20年以上も前のことである。その後、2022年に東信堂から「国際取引法上巻」および「国際取引法下巻」を刊行したが、最新の情報に基づいた、かつ一貫した研究方法に基づく国際取引法の体系書を刊行したいと考えていた。「詳解国際取引法」は、これまでの国際取引法に関する研究の集大成として位置づけられるものである。本書は3つの分冊から成っている。
本書『詳解国際取引法Ⅰ』は、国際取引に関わる法律問題について多角的な視点から体系的に分析し、整理したものであり、「第1部 国際取引法の基本原則」、「第2部 技術戦略と知的財産関連法」および「第3部 国際技術ライセンス契約」から構成されている。
第1部は9つの章から構成されている。第1章は、「国際物品売買契約」である。国際物品売買契約に関する国連条約について解説する。第2章は、「国際物品売買の付属契約」である。定型取引条件であるインコタームズ、国際運送契約、国際貨物海上保険契約および代金決済を取り上げる。第3章は、「国際取引の海外戦略」である。海外進出の形態および海外進出に伴う法律問題について解説する。第4章は、「コーポレートガバナンス・システムの構築」である。アメリカ型コーポレートガバナンス、日本型コーポレートガバナンス、社外取締役、コーポレートガバナンス形態の強化、企業情報の開示規制、情報開示によるコーポレートガバナンス、マネジメントの説明責任およびグルーバル企業のガバナンス・システムを取り上げる。第5章は、「コンプライアンス・システムの構築」である。コンプライアンス・プログラム、内部通報制度およびコンプライアンス・システムの整備・強化について解説する。第6章は、「取締法規による規制」である。競争法の代表としてアメリカ反トラスト法による規制、EU競争法による規制およびわが国独占禁止法による規制、国際カルテルに対する国際的な規制環境および外国公務員贈賄防止法による規制を概説する。第7章は、「グループ子会社に対する親会社の責任」である。コントロールする親会社の不法行為責任を拡大する法理論、グループ子会社のコントロールと親会社の責任およびグループ子会社の内部統制システムとコンプライアンス・システムについて検討する。第8章は、「国際取引における紛争解決」である。紛争解決方法として国際仲裁および国際訴訟を取り上げる。第9章は、「国際取引法の研究」である。ビジネスローについて概観し、ビジネスローの方法論としてのリーガルプランニングを考察する。本書は、このリーガルプランニングの考え方に基づいて国際取引法の体系化を図るものである。
第2部は2つの章から構成されている。第1章は、「技術戦略」である。技術戦略と知的財産戦略との関係および技術戦略の策定を検討する。第2章は、「知的財産略とライセンス戦略」である。知的財産戦略とライセンス戦略との関係およびライセンス戦略の機能について考察する。
第3部は4つの章から構成されている。第1章は、「国際技術ライセンスの交渉」である。ライセンサーによる事前調査およびライセンス契約交渉について解説する。第2章は、「国際技術ライセンス契約の基本的構造」である。ライセンス契約における定義、ライセンスの許諾、許諾の対価、技術情報の提供と技術指導およびライセンス関係の解消およびライセンサーの破産とライセンシーの保護について検討する。第3章は、「ライセンサーの義務のリスクとリーガルプランニング」である。上記リーガルプランニングの考え方に基づいて、改良技術の提供、許諾技術の保証、許諾特許権の強制、技術援助およびライセンシーの最恵待遇について考察する。第4章は、「ライセンシーの義務のリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づいて、改良技術のグラントバック、秘密保持義務、独占的ライセンシーの最善努力実施義務、品質保持および当事者の関係について考察する。
第4部は3つの章から構成されている。第1章は、「アメリカ反トラスト法による規制」である。アメリカ反トラスト法による一般的評価、合理の原則に基づく当局のライセンス協定の評価に関する一般的評価、一般原則の適用および無効なまたは強制不可能な知的財産権について概説する。第2章は、「EU競争法による規制」である。一括適用免除規則による規制および一括適用免除規則の範囲外における101条1項および3項の適用について概説する。第3章は、「わが国独占禁止法による規制」である。私的独占および不当な取引制限の観点からの考え方および不公正な取引方法の観点からの考え方について概説する。
第5部は2つの章から構成されている。第1章は、「ライセンス戦略のための法的ツール」である。改良技術の交換とサブライセンスおよびクロスライセンスとパテントプールについて、それぞれの機能と役割について考察する。第2章は、「ライセンス戦略のための法的フレームワーク」である。ライセンスネットワークの構築およびライセンスネットワーク・ジョイントベンチャーの形成と運営について解説する。
(大学教育出版、2024年)262頁 2600円+税
本書『詳解国際取引法Ⅱ』は、『詳解国際取引法Ⅰ』に続く後編であり、最新の情報に基づいた、かつリーガルプランニングという一貫した研究方法に基づく国際取引法の体系書である。
『詳解国際取引法Ⅰ』では、「第1部 国際取引法の基本原則」、「第2部 技術戦略と知的財産関連法」および「第3部 国際技術ライセンス契約」を取り上げたが、『詳解国際取引法Ⅱ』では、「第6部 国際事業提携・国際ジョイントベンチャー」、『詳解国際取引法Ⅲ』では、「第7部 国際ジョイントベンチャー」および「第8部 国際買収」を取り扱っている。
第6部は6つの章から構成されている。第1章は、「国際事業提携・国際ジョイントベンチャーの意義」である。国際事業提携・国際ジョイントベンチャーの隆盛と環境、事業提携・ジョイントベンチャーの基本的性格を検討し、事業提携・ジョイントベンチャーの理論的説明を紹介する。第2章は、「国際技術ライセンス関係から国際事業提携関係への発展」である。改良技術の交換とサブライセンス、クロスライセンスとパテントプール、ライセンスネットワーク、ライセンスネットワーク・ジョイントベンチャー、国際共同開発とライセンス (国際研究開発提携)、国際少数資本参加とライセンス (国際少数資本参加提携) および 国際共同生産とライセンス (国際生産提携) を取り上げる。第3章は、「国際事業提携」である。国際事業提携の目的および事業提携の形態について解説する。第4章は、「国際事業提携契約の基本的構造」である。提携パートナーの選択、提携事業の運営および提携関係における紛争について検討する。第5章は、「事業提携選択のリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づいて、純粋契約型提携かパートナーシップ型提携かの選択、パートナーシップ型提携かコーポレート型提携かの選択、単一提携か複合提携かの選択および環境の変化と事業提携について考察する。第6章は、「提携関係の解消のリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づいて、提携関係の解消、提携関係の強化および提携関係の発展について考察する。
(大学教育出版、2024年) 332頁 3200円+税
本書『詳解国際取引法Ⅲ』は、国際取引法の分野の中で、もっとも重要な国際ジョイントベンチャーと国際買収を取り上げている。
第7部は8つの章から構成されている。第1章は、「国際ジョイントベンチャーのフレームワーク」である。事業戦略としての国際ジョイントベンチャー、ジョイントベンチャーの事業形態およびジョイントベンチャー法制について解説する。第2章は、「国際ジョイントベンチャー契約の基本的構造」である。コーポレート型国際ジョイントベンチャー契約の基本的構造およびパートナーシップ型国際ジョイントベンチャー契約の基本的構造について検討する。第3章は、「合弁会社の経営と管理におけるリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づいて、合弁会社の経営管理機構および合弁会社におけるデッドロックについて考察する。第4章は、「ジョイントベンチャーの経営における人材管理のリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づき、人材の指名、人材の移動、人材の評価と処遇について考察する。第5章は、「パートナーシップ型ジョイントベンチャー経営における忠実義務違反のリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づいて、パートナーの忠実義務、忠実義務違反のリスクおよびジョイントベンチャー契約のフレームワークによる忠実義務違反の回避について考察する。第6章は、「コーポレート型ジョイントベンチャー経営における忠実義務違反のリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づいて、信認義務者の忠実義務、忠実義務違反のリスクおよびジョイントベンチャー契約のフレームワークによる忠実義務違反の回避について考察する。第7章は、「アメリカ反トラスト法による規制」である。アメリカ反トラスト法の一般的評価、ガイドラインによる分析と評価、裁判所による分析と評価、競争促進的効果と反競争的効果の比較と立証、各類型に対する評価、競争者間協調に対するアメリカ反トラスト法上の分析と評価および競争促進的効果の強化と付随的制限の抑制について概説する。第8章は、「EU競争法による規制」である。EU競争法による一般的評価、合併規則による評価および101条による評価について概説する。
第8部は10の章から構成されている。第1章は、「国際買収のフレームワーク」である。事業戦略としての国際買収および国際買収の形態について解説する。第2章は、「国際買収のプロセス」である。国際買収の一般的プロセス、投資銀行、秘密保持契約、レター・オブ・インテントおよび国際買収失敗のリスクについて検討する。第3章は、「国際買収契約の基本的構造」である。譲渡価額の合意、クロージング、クロージングの前提条件、表明保証、誓約、環境責任、補償・免責および解除について検討する。第4章は、「買収におけるデューディリジェンスのリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づき、デューディリジェンスの目的、デューディリジェンスの方法と時期、デューディリジェンスの対象およびデューディリジェンスと表明保証について考察する。第5章は、「買収後の経営におけるリスクとリーガルプランニング」である。リーガルプランニングの考え方に基づき、事業経営の独立性と支配、買収後の統合および事業売却について考察する。
第6章は、「国際買収失敗のリスクとリーガルプランニング」である。7つの国際買収失敗の事例を取り上げて、リーガルプランニングの観点から分析する。第7章は、「アメリカにおける買収防衛策」である。買収提案前の買収防衛策および買収提案後の買収防衛策を取り上げる。第8章は、「アメリカ反トラスト法による規制」である。合併規制、水平的合併に対する裁判所によるクレイトン法の適用、2010年水平的合併ガイドライン、垂直的・コングロマリット的合併に対する裁判所によるクレイトン法の適用および2020年垂直的合併ガイドラインについて概説する。第9章は、「EU競争法による規制」である。合併規制および水平的合併ガイドラインを概説する。第10章は、「わが国独占禁止法による規制」である。買収・合弁事業に対する独占禁止法による審査、一定の取引分野および競争の実質的制限について概説する。
(大学教育出版、2024年) 309頁 3,000円+税
本書は、企業経営に関わる法律問題についての多様な視点を整理して、12の章から構成されている。第1章は企業形態、第2章はコンプライアンス経営、第3章は企業統治、第4章は事業提携・合弁による事業戦略1、第5章は買収による事業戦略2、第6章はわが国独占禁止法に関する事業戦略3、第7章は取引管理、第8章は知的財産管理、第9章は公正競争、第10章は人材管理、第11章はグループ子会社管理、第12章は紛争管理である。第2版として、追加した内容は、第9章公正取引において製造物責任法の改正、第10章人材管理において男女雇用機会均等法の改正と労働契約法の改正、第6章事業戦略3において独占禁止法の運用に関する指針の改正である。さらに、多くのコンプライアンス事例・事業提携・合弁事例・買収事例を紹介している。
(東京図書出版、2024年) 107頁 1,000円+税
本書は、井原宏の自分史であり、5つの章から構成されている。第1章は企業人としての人生、第2章は大学人としての人生、第3章は研究者としての人生、第4章は学会人としての人生、第5章は弁護士としての人生である。企業人として住友化学時代におけるシンガポール石油化学コンビナート、インドネシア政府とのアルミニウム合弁およびフィリップス石油とのポリプロピレン合弁に関与した経験は国際取引法の研究に役立った。また、経営法友会における代表幹事としての活動は、視野を広げてくれた。筑波大学社会人大学院・法科大学院・監事、明示学院大学における経験は、大学教育および大学管理にとって貴重であった。リーガルプランニングに基づいた研究方法は、国際取引法学研究のベースとなり、多くの著作を刊行することを可能にした。国際取引法学会の創設は、国際取引法学のレベルアップに寄与した。中小企業の顧問弁護士としての経験は、在野法曹として役立った。
(東京図書出版、2024年) 121頁 1,150円+税
本書は、『横断人生はたのしくて面白い』の続編であり、6つの章から構成されている。第1章はケンブリッジ大学とフィツウィリアム・カレッジ、第2章はケンブリッジから北方面、第3章はオックスフォード大学、第4章はコッツウォルズ方面、第5章はロンドン方面、第6章はウェールズ・湖水地方方面である。ケンブリッジ大学留学時代における論文作成や生活体験は、後に、大学教員・研究者になる原点となった。エディンバラ城があるエディンバラを訪問した。イーリーはイーリー大聖堂で有名である。シェークスピアの生家があるストラドフォード・アポン・エイヴォンを見学した。大聖堂があるヨークを訪ねた。オックスフォード大学ではボドリアン図書館の見学のために特別コースを歩くことができた。コッツウォルズでは、コッツウォルズのベネチアと呼ばれるボートン・オン・ザ・ウォーター、王冠の中の宝石と呼ばれるチッピング・カムデン、イギリスで最も美しい村と称賛されるバイブリーを散策した。ロンドン方面では、王立植物園であるキューガーデン、指定遺跡として保護されているウォリック城、国王が週末を過ごすために訪れているウィンザー城、大聖堂があるウィンチェスターを訪ねた。ウェールズでは、ウェールズ大学を見学した。湖水地方では、絵本作家であるヘレン・ビアトリクス・ポターと詩人であるウィリアム・ワーズワースの縁がある場所を歩いた。
(中央経済社、2024年) 232頁 2,800円+税
ガバナンス論の本来の目的である「企業価値向上」の原点に立ち返って部門横断で共有すべき基礎知識を解説した書籍。会社法やガバナンスコードの議論をなぞるだけでなく、資本市場やファイナンス、非財務・ESGまで、“企業価値”に軸足を置きながら平易な表現でわかりやすく解説している。入門書という位置付けではあるが、2024年の当会全国大会で報告をした英国のカンパニーセクレタリー制度を紹介するなど、先端的な内容も盛り込んでいる。
(文眞堂、2024年)405頁,3,600円+税
2022年12月に示された新たな生物多様性に関する世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組み採択」(CBD-COP15)や生物多様性増進活動促進法制定、TNFD(自然関連財務情報開示)等の動きが目まぐるしい。第1版(2018年刊)で掲げた「環境法は産業法の裏返し」というフレーズは、現実のものとなっている。産業法(漁業・農業・林業)や土地利用、自然エネルギーや動物福祉も取り上げ、幅広い領域を網羅しアップデートした入門書の第2版である。
(商事法務、2024年)310頁,5,200円+税
概要:日本では、契約の成立を判断するに際しての契約締結当時の当事者の意図を探求するための手法として、欧米で一般的に実践されている申込み・承諾を解析する手法が軽視されており、当事者がどれだけ納得感のある合意に至ったかを重視する「練り上げ型」の手法が好まれているという特色がある。そうした日本特有の契約成立認定手法は、契約の拘束力を曖昧にしたいと考えがちな日本的な実務慣行を制度として固定化し、契約実務の国際スタンダードへの実務進化を阻んでいる大きな要因となってしまっている。本書は、現代の日本の契約実務が、継続的な取引の領域を中心に、契約意識が必ずしも契約の拘束力を高める方向に進んでいないことの要因として、契約成立認定手法の特異性が制度進化を阻んでいるのではないかという仮説について、さまざまな角度から考察を行った研究論文である。
(中央経済社、2023年)261頁 3,400円+税
(分担執筆「第3章 EPCコントラクターとプロジェクトファイナンス I II 」(97~125頁)、「第6章 III 水素/燃料アンモニア案件の課題」(232~243頁)、「コラム9 日本の大学におけるプロジェクトファイナンス講座とプロジェクトファイナンス関連書籍」(255~257頁))
プロジェクトファイナンス(PF)において、「貸し手でもなく、事業者でもなく、借り手でもない」コントラクター会社が確りとPFを理解することが自社のリスク管理上も重要という観点から編まれたPF入門書。
執筆メンバー全員が国際機関や政府系金融機関といった公的金融機関でPF案件に多年従事した後に、民間企業・事業会社において国内外のPF案件組成や活用などに取り組んでおり、「公と民間」、「海外PFと国内PF」、「レンダーとコントラクター/スポンサー」という多様な経験を有している。これらの官民の豊富な経験を背景に、PFの概念、バンカビリテイ、EPC契約、PPPと官民リスク配分、コンセッション契約、太陽光・LNG・水素/アンモニアとPF等の幅広い分野にわたって、重要論点を平易に記述した。
(日本加除出版、2024年)320頁, 3600円+税
企業法務の必須分野になりつつある国際通商法実務の初学者にも分かりやすい×企業法務の現場で役立つ教科書。WTO協定、貿易実務、通関・関税、EPA/FTA、アンチダンピング、輸出管理、投資管理、経済制裁、人権、環境など、国際ビジネスで扱う主要トピックを網羅的にカバー。図表を用いた簡潔・明快な解説に加え、関係する法令の根拠条文や構造も分かりやすく示した。日本法のほか、米国を中心とする外国の法制度や国際ルールの解説も豊富。混乱する世界情勢の中で、自社のビジネスを守る・切り拓くために必携の一冊。
(文眞堂、2024 年)332 頁,4,200 円+税
法学・商学の学際的視点を持つ筆者が国際契約法務について論じる図書。筆者は、日本の大手メーカーの国際法務部門に長年在籍した経験を踏まえ、判例分析を通じて、国際契約の諸テーマを分析している。例えば、第1章では、「国際物品売買契約に関する国際連合条約」(ウィーン売買条約、CISG)の下での準拠法条項のドラフティングを採り上げ、さらにCISGと準拠法条項とを組み合わせることで「米国における契約訴訟対策」として「事物管轄権戦術」を提案する。第2章では、国際契約中のバリエーションの分析を通して不可抗力条項がソフトロー化しているかどうかを検証する。また、第3章では、日本の国際消費者契約判例30余件をダイジェストしその傾向を分析する。第4章では、Googleの附合約款中の専属的国際裁判管轄条項について批判的に検討する。企業法務出身研究者ならではの実務的な学術書と評価される。
2022年から2023年にかけて出版された会員の書籍です。
ただし、すでに掲載されたものを除いています。(執筆者名五十音順)
(中央経済社、2022年) 222頁 2,600円+税
現在の国際ビジネス法務に必要な知識と情報を、現実のCASEと結びつけて実務的視点から解説した入門書。第1部「国際ビジネス法の基礎」においては、国際契約をはじめ、国際取引の基本的な法的枠組みを解説。また、第2部「公正な国際ビジネスの実現に向けて」においては、国際カルテルや外国公務員等贈賄など、国際ビジネスの裏に潜む違法行為を中心に解説。そして、第3部「国際ビジネス法の課題」においては、ESG時代の国際ビジネス法の課題としての環境対応や人権課題への対応について解説した。
(東信堂、2023年) 406頁 4,500円+税
本書は、国際取引法の体系書として 2022年に出版した『国際取引法〔上巻〕』に次ぐ〔下巻〕であり、「第1部 国際事業提携」、第2部 国際ジョイントベンチャーおよび第3部国際買収から構成されている。第1部は5章から構成されている。第1章は国際技術ライセンス関係から国際業務提携への発展である。第2章は、国際事業提携である。第3章は、国際事業提携契約の基本的構造である。第4章は、事業形態の選択のリスクとリーガルプラニングである。第5章は、提携関係の解消のリスクとリーガルプランニングである。第2部は、8章から構成されている。第1章は、国際ジョイントベンチャーのフレームワークである。第2章は、ジョイントベンチャー契約の基本的構造である。第 3章は、合弁会社の経営と管理におけるリスクとリーガルプランニングである。第4章は、ジョイントベンチャーの経営における人材管理のリスクとリーガルプランニングである。第5章は、パートナーシップ型ジョイントベンチャー経営における忠実義務違反のリスクとリーガルプランニングである。第6章は、コーポレート型ジョイントベンチャー経営における忠実義務違反のリスクとリーガルプランニングである。第7章は、アメリカ反トラスト法による規制である。第8章は、EU 競争法規制である。第3部は、9章から構成されている。第1章は、国際買収のフレームワークである。第2章は、国際買収のプロセスである。第3 章は、国際買収契約の基本的構造である。第4章は、買収におけるデューディリジェンスのリスクとリーガルプランニングである。第5章は、買収後の経営におけるリスクとリーガルプランニングである。第6章は、アメリカにおける買収防衛策である。第7章は、アメラカ反トラスト法による規制である。第8章は、EU 競争法による規制である。第9章は、わが国独占禁止法による規制である。
(大学教育出版、2023年) 374頁 3,500円+税
本書は、多角的な観点から国際取引法に関する問題を分析・整理した、国際取引法の標準的な教科書である。本書は10章から構成されている。第1章は、「国際物品売買契約」である。契約の総則、契約の成立、契約の内容、契約の履行と不履行、契約の解除および損害賠償について解説する。第 2章は、「国際物品売買の付属契約」である。定型取引条件としてのインコタームス、国際運送契約、国際貨物海上保険契約および国際代金決済について概観する。第3章は、「コーポレートガバナンスの構築」である。アメリカ型コーポレートガバナンス、日本型コーポレートガバナンス、社外取締役、コーポレートガバナンス形態の強化、企業法情報の開示規制、情報開示によるコーポレートガバナンス、マネジメントの説明責任およびグローバル企業のガバナンス・システムについて検討する。第4章は、「コンプライアンス・システムの構築」である。コンプライアンス・プログラム、内部通報制度およびコンプライアンス・システムの整備・強化について検討する。第5章は、「国際技術ライセンス」であるい。国際技術ライセンスの機能、国際技術ライセンス契約の形態、国際技術ライセンス契約の基本的構造、ライセンサーの義務のリスクとリーガルプランニング、ライセンシーの義務のリスクとリーガルプランニングおよびアメリカ反トラスト法による規制について概説する。第6章は、「国際事業提携」である。国際事業提携のフレームワーク、国際事業提携契約の基本的構造、事業形態のリスクとリーガルプランニングおよび提携関係解消のリスクとリーガルプランニングについて検討する。第7章は、「国際ジョイントベンチャー」である。国際ジョイントベンチャーのフレームワーク、コーポレート型国際ジョイントベンチャー契約の基本的構造、パートナーシップ型ジョイントベンチャー契約の基本的構造、合弁会社の経営と管理におけるリスクとリーガルプランニングおよびアメリカ反トラスト法による規制について解説する。第8章は、「国際買収」である。国際買収のフレームワーク、国際買収のプロセス、国際買収契約の基本的構造、買収におけるデューディリジェンスのリスクとリーガルプランニング、買収後の経営におけるリスクとリーガルプランニングおよびアメリカ反トラスト法による規制について解説する。第9章は、「国際取引における紛争解決」である。国際仲裁および国際訴訟について概説する。第10章は、「国際取引法の研究」である。ビジネス・ローおよびリーガルプランニングについて紹介する。
(信山社、2023年) 230頁 2,500円+税
国際取引法の入門書はこれまで出版されていない。本書は、四六判の国際取引法入門書である、本書は、8章から構成されている。第1章は、「国際物品売買契約」である。契約の成立、契約の内容、契約の履行・不履行、契約の解除および損害賠償について概説する。第2章は、「コーポレートガバナンス・システムの構築」である。アメリカ型コーポレートガバナンス、日本型コーポレートガバナンス、社外取締役、コーポレートガバナンス形態の強化、企業情報の開示規制、情報開示によるコーポレートガバナンス、マネジメントの説明責任およびグローバル企業のガバナンス・システムについて検討する。第3章は、「コンプライアンス・システムの構築」である。コンプライサンス・プログラム、内部通報制度およびコンプライアンス・システムの整備・強化について検討する。第4章は、「国際技術ライセンス」である。国際技術ライセンス契約の機能と形態、国際技術ライセンス契約の基本的構造、ライセンサーの義務およびライセンシーの義務について検討する。第5章は「国際事業邸右傾」である。国際事業提携のフレームワーク、国際事業提携契約の基本的構造、提携の解消および提携関係の発展について考察する。第6章は、「国際ジョイントベンチャー」である。国際ジョイントベンチャーのフレームワーク、コーポレート型国際ジョイントベンチャー契約の基本的構造および合弁会社の経営と管理について検討する。第7章は、「国際買収」である。国際買収のフレームワーク、国際買収の形態、国際買収のプロセス、国際買収契約の基本的構造および買収におけるデューディリジェンスについて考察する。第8章は、「国際取引における紛争解決」である。国際仲裁および国際訴訟につい解説する。
今村(会員)第1章、第2章 1・2・3(1)(3)、第4章、第5章、第7章 1
大野(会員)第2章 3(2)(4)、第6章、第7章(2)
(中央経済社、2023年) 328頁 4,400円+税
本書は、法務省に所属し移転価格税制の訴訟に関わった著者(今村)と国税庁に所属しOECDの移転価格に関するワーキング・パーティ6の日本代表として移転価格ガイドラインに関わった著者(大野)が共同して、難解な移転価格ガイドラインを分析するとともに、わが国を始め各国の移転価格税制に関する訴訟において、ガイドラインの考え方が活かされているかを検証した本である。
現在、移転価格税制は、OECDの進めているBEPSプロジェクトでも重要な役割を期待されているが、一方で、独立当事者間原則の妥当性が揺らいでいて、岐路に立っている状況にある。本書は、そのような状況を踏まえて、今後、移転価格税制の進むべき方向を検討するものである。
(中央経済社、2023年) 3,300円+税
ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)やテザーなどのステーブルコインの取引が拡がり、日本を含む主要国で中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入が数年以内に見込まれるなど、貨幣を巡る状況は大きな転換期にある。そこで本書は、経済学者を中心に議論されてきた「貨幣とは何か?」について、法律学者の観点から、初学者にもわかるように様々な角度から検討したものである。ちょうど同時期に、貨幣とは何かに関する様々な角度からの新刊が本書を含めて4巻発刊されており、日本経済新聞 2023年11月25日付朝刊「活字の海で」の「お金」の謎に迫る4冊:暗号資産やMMT が再定義促す」との記事の中で本書も紹介され、「『法律学者の貨幣論』(久保田隆著、中央経済社、23年9月)はデジタル通貨を軸に、お金と法律との関係を幅広く論じる。」と書かれている。
(Dai YOKOMIZO, Yoshizumi TOJO, Yoshiko NAIKI, Eds.)
(Routledge、2023年) 60~70頁(全 171頁) 25,906円+税
日本国際経済法学会の主要メンバーが国際経済法の様々な側面について執筆した論文集。久保田は、 “Chapter 7 Monetary Sovereignty and Future Global CBDC Competition: A Japanese Perspective”を執筆した。
(William Blair, Chiara.Zilioli, Christos Gortsos, Eds.)
(Oxford University Press、2023年) 271~287頁(全 467頁) 42,353円+税
国際法協会通貨法委員会の主要メンバーが国際金融法の様々な側面について記述した論文集。久保田は、Chapter 12, Japanese and International Law Developments of Crypto and Digital Currencies, pp.271–287、を執筆した。
(文眞堂、2023年)460頁 5,800円+税
石川県の「ルビーロマン」の商標権問題が話題になったばかりである。「シャインマスカット」というブランド品種保護が十分でないことから失われた利益も大きい。一方、生物多様性条約(COP15)に関して、遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)の使用と利益の配分にも一定の合意がなされた。品種開発を担うバイオ技術の進展の速さに、ルールメーキングも追随する必要がある。本書は、国内における種子法の廃止、種苗法改正のみならず、日本の植物新品種保護のあり方を、特許および品種登録の国際比較と知的財産権保護の歴史を踏まえ、検討しているものである。新たな種苗法の時代を予見させる専門書であると同時に、種苗行政担当・種苗法関連事業者必携の書である。
(早稲田大学出版部、2022年) 236頁 4,000円+税
株式についてはある種の所有権性が認められるというのがこれまでの数通説・判例であった。しかしこの考え方は、激しく変動する現代社会の中で直しが迫られている。このことを、英米法の議論をふまえつつ、日本における株式制度の変容を論じた。
(中央経済社、2022年) 268頁 2,700円+税
グループ会社ガバナンスの重要性の視点から、グループ会社のリスク管理について、企業集団の内部統制に係る法と実務の両面から整理した書籍。近時、本体の事業部門を分社して子会社化したり、 M&Aによる子会社化を実行することにより、グループ全体として企業の競争力を確保する企業経営が定着している。一方において、グループ会社の事件・事故も散見されている。そこで、企業集団の内部統制システムに関する法令を確認した上で、グループ会社のリスク管理に関する具体策やグループ会社を巡る裁判例、持株会社形態や海外子会社に特化したリスク管理についても詳説している。
第4版では、令和元年会社法で創設された子会社化のための株式交付制度やコーポレートガバナンス・コードの再改訂の解説、3ラインモデルを活用したグループ会社管理、グループ会社とESG 対応等の最新トピックスを反映している。
(新日本法規出版、2023年) 622頁 6,500円+税
会社運営に関連して規定されている内容において、研究者・法曹実務家・企業実務家の共同執筆によって編集した会社や株主等が遵守すべき各種スケジュールに焦点を当てた書籍。会社や株主等の関係者は、自らの法的権限や義務を行使・履行するためには、一定の期限が存在する。そこで、株主総会や取締役会等の会社機関運営関連、株式譲渡や募集株式発行等の株式関連、剰余金の配当等の計算関連、合併・会社分割等の組織再編関連、会社設立や解散関連、訴訟・非訴訟関連等について、合計38項目にわたって、遵守すべきスケジュールを一覧として整理した上で、各々の項目について解説を加えている。
会社法に限らず、金商法・振替法・商業登記法・各種法令等、さらには上場規則等のソフト・ローの明示、公開会社・非公開会社、大会社・非大会社を区別したスケジュールを示している点も特徴である。
第3版では、令和元年改正である株主総会関連の改正をはじめ、スケジュールに関係する最新の法令内容を反映させている。
(同文舘出版、2023年) 384頁 4,000円+税
監査役監査の実務について、15年以上、監査役や監査役スタッフに支持されて増刷・増版されたバイブル的書籍。指名委員会等設置会社の監査委員、監査等委員会設置会社の監査等委員の実務にも対応している。近時は、監査役の関係者のみならず、監査役と連携を必要としている内部監査部門関係者や会計監査人等の読者も多い。
第8版では、令和4年9月1日施行会社法及び令和3年改訂のコーポレートガバナンス・コードに係る監査役関係個所を反映・解説するとともに、様々な実務に即した80以上の実例や様式の一部リニューアル、監査役を巡る代表的裁判例の概要・判旨・解説を加えている。また、姉妹書籍である『監査役・監査(等)委員監査の論点解説』(同文舘出版)との関連個所を明示することにより、読者が応用的な論点についても理解を深めることができるように工夫されている。
(法律文化社、2022年) 全286頁 (うち、吉川英一郎・山崎理志「第13章 国際取引法務」(250~276頁)を担当執筆 3,000円+税
同書は問題指向型アプローチを採る「国際取引法」の入門テキストである。第13章は、企業の国際法務部門の業務(契約法務・争訟法務)や顧問弁護士との関係を、企業実務の観点から解説している。
(清文社、2023年)全 392頁[松村啓分担執筆頁:160 ~ 170頁] 3,500円+税
第一東京弁護士会創立100周年を記念して出版された本書に、同会の総合法律研究所・宇宙法研究部会の活動の一環として、宇宙法に馴染みのない読者を想定して分担執筆を行った。表題は、「宇宙資源法、宇宙の特許権-「どこでもない場所」からの眺め」である。内容は、大別して2つの問題に関わる。第1に、宇宙資源の所有権を認めるべく 2021年に施行された宇宙資源法の、第5条の文言について簡単に考察し、いずれの国家も領有できない「どこでもない場所」で宇宙資源が採掘されることが、興味深い問題をもたらすことを示唆した。第2に、「どこでもない場所」である宇宙空間に、ある国の特許権の効力を及ぼすことは許されないかという問いを提示し、「属地主義」に言及した学説を参照しつつ簡単に考察した。以上により、宇宙法には、それが「どこでもない場所」である宇宙空間に関係するが故の、特有の問題が伏在していることを、読者に紹介した。
(日本加除出版株式会社、2023年)270頁 2,900円+税
2019年、国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会(経済産業省)が報告書を公表し、「法務機能」の枠組みが精緻化された。翌 2020年、同研究会の構成員でもある著者は、平野温郎教授の助言を受け、『リーガルリスクマネジメントの先行研究と新潮流 ─5×5のリスク分析ツールからISO31022の未来まで』と題する論文を国際商事法務48巻6号に掲載した。著者はその後も研究を続け、同年にリーガルリスクマネジメントの初の国際規格であるISO31022:2020が発効したことを受け、戦略法務・予防法務をさらに発展させる臨床法務技術としてリーガルリスクマネジメントを実用的な枠組みとして普及させた。本書は、この2019年から2023年に至る研究成果をまとめたものであり、従来の法学実用書には珍しい漫画を手法として大胆に取り入れ、臨床法務技術を分かりやすく解説している。
2020年から2021年にかけて出版された会員の書籍です。
(東信堂、2021) 300頁 3,200円+税
本書は、企業が所有する知的財産の戦略としての国際技術ライセンス契約にかかわる法律問題についてどのようなリスクがあるか、そのリスクにどのように対処するかという視点から分析し、体系的に整理したものであり、実際の英文ライセンス契約の条項を参照しつつ、8つの章から構成されている。第1章 国際技術ライセン契約の機能と形態、第2章 国際技術ライセンス契約の交渉、第3章 ライセンス契約のリスクとリーガルプランニング、第4章 ライセンサーの義務のリスクとリーガルプランニング、第5章 ライセンシーの義務のリスクとリーガルプランニング、第6章 競争法による規制のリスクとリーガルプランニング、第7章 国際技術ライセンス契約の紛争解決、第8章 国際技術ライセンス契約関係の発展 である。
本書執筆の動機は、筆者の企業時代の企画部門・法務部門におけるライセンスにかかわる実務経験、日本ライセンス協会における理事として他社の専門家との交流、WIPO・インドネシア政府主催のライセンスに関する国際セミナーの講師や5回にわたる特許庁主催の発展途上国向けライセンスに関するセミナーの講師としての経験から国際技術ライセンスに関する概説書の必要性を認識したことに由来している。
(大学教育出版、2021) 297頁 3,000円+税
本書は、企業経営にかかわる法律問題についての多様な視点を整理して、12の章から構成されている。第1章 企業形態、第2章 コンプライアンス経営、第3章 企業統治、第4章 事業戦略1、第5章 事業戦略2、第6章 事業戦略3、第7章 知的財産管理、第8章 取引管理、第9章 公正取引、第10章 人材管理、第11章 グループ子会社管理、第12章 紛争管理 である。
現代の企業は、事業活動を展開するに際し、企業活動にかかわるさまざまな法律問題に直面する。そのような法律問題あるいは法律問題のベースとなる関係法律の理解なくして、企業を取り巻く環境の下で事業活動を推進することは不可能である。しかしながら、現代の企業経営にかかわる法律問題は多岐にわたり、かつ複雑であることから、その全容を把握し理解することは容易なことではない。本書は、企業経営にかかわる法律問題を体系的に整理し、その基本原則を理解しつつ、実際の企業経営に活かすことを目指すものである。
本書執筆の動機は、筆者が慶應ビジネススクール(KBS)において、長年、「経営法学」という科目を担当した経験を踏まえて、経営法学の概説書が必要であるとの認識を深めたことに由来している。
(中央経済社、2021) 315頁 3,400円+税
本書は、国際舞台で活躍するビジネスパーソンに不可欠なコミュニケーションの技法の中から法的なコミュニケーションの技法を分かりやすく解説した。法律英語は、難解であると言われ、敬遠されがちであるが、忙しい読者の便宜も考慮して5つのPART(全体で25のLESSON)に体系化して解説した。豊富な例文を紹介しつつ、文法の解説から英文契約書やビジネスレターの要点、そしてビジネスコミュニケーションの技術を実務に役立つようコンパクトにとりまとめた実用書である。
本書の目次は以下の通り。
1 BASICS OF LEGAL ENGLISH
(Legal Englishの誕生;コモンローとは何か ほか)
2 TECHNIQUES OF LEGAL ENGLISH
(Legal Latinを知る;句読点と約物のきまり ほか)
3 LEGAL ENGLISH AND BUSINESS COMMUNICATION
(対面コミュニケーションのスキル;法的要求文書の作法 ほか)
4 LEGAL ENGLISH ON CONTRACTS
(不誠実な交渉の代償;契約書の解釈原理 ほか)
5 LEGAL ENGLISH FOR MANAGEMENT
(役員の法的責任;カルテル規制と刑事罰 ほか)
本書執筆の動機は、英語で法律を理解する力が、ビジネスの成否を左右するという実体験である。英語は得意でも、倒立英語はよく分からないというビジネスパーソンのために基礎から交渉術まで修得できるように解説した。一橋大学法科大学院における法律英語の教室で培ったノウハウを、多くのビジネスパーソンにも伝えられるように書籍化した。
(同文舘出版、2021) 386頁 3,800円+税
本書は、監査役・取締役監査等委員・取締役監査委員及びそのスタッフの方々を読者として念頭において、監査役等監査の実務とそれを裏付ける法制度の両面からアプローチを行った実務書。様々な実務に対応した80以上の豊富な実例や様式、重要論点のトピックスやQ&A、株主総会における30の代表的想定質問と回答方針等実務に役立つ情報も豊富に掲載している。初版の2008年から10年以上にわたり、監査役等の実務家から支持され続けて増刷・増版を重ねてきたバイブル的書籍。監査役等との連携を必要としている内部監査部門や会計監査人の読者も多い。
(文眞堂、2021) 186頁 2,420円+税
本書は、「社会に出る前に知っておきたい行政争訟(行政救済法)」として、主に行政個別法の主領域と、学部生の興味関心を踏まえて行政領域ごとに構成したものである。
行政法の学習は、「行政法総論」と「行政救済法」に終始することになりがちであり、抽象性の域を出づらい。小中学校時代から学んできた憲法とは異なり、「難しい」印象を抱かれてしまうのも難点である。だが、実社会における活用までを視野に入れると、身近な行政領域の事例および裁判例の中で、学んだ抽象論を確認するという学びが必要になると筆者は考えており、そのためのテキストである。
もちろん対象は広く、公務員になる人、会社員になる人、起業する人、家庭内ライフイベントにも必読と考える。子どもが「待機児童」になりそうなとき(福祉行政)、生活保護世帯の引っ越しはどうなるの(社会保障行政)、「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」「SOGIハラ」等に関する法律(労働行政・市民生活行政)、新型コロナウイルス感染症対応の法律について(公衆衛生行政)、動物愛護と殺処分(動物行政)、採卵鶏や家畜のアニマルウェルフェア(動物福祉)とは(産業行政)、ヘイトスピーチやフラッシュモブにはどんな規制があるのか(表現の自由と公物管理)等、オーソドックスな許認可行政(産業振興行政)や警察・消防行政に限らず、学部生の関心に寄り添った書である。
(中央経済社、2021) 264頁 5,000円+税
本書は、働き方や婚姻制度などのライフスタイルの多様化に着目し、家族と租税法に係る諸外国の判例等について比較分析を行ったうえで、わが国の家族税制に理論的検討を加えるものである。本書の構成は、第1編 家族と租税法、第2編 結婚と租税法、第3編 同性カップルと租税法、第4編 社会と租税法の、4編9章からなっており、新しい家族制度とそれに対応する租税法のあり方について体系的な検討を行っている。
国際的潮流として多様な家族のあり方を認めて法改正を行う国が急増しており、同性パートナーが租税法上の配偶者となる選択肢が保障されていることから、本書ではアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、EUを中心に制度および判例を整理し、比較法的考察を行った。そのうえで、日本租税法における同性パートナーの可能性を探るべく、借用概念と準拠法というアプローチから、同性婚配偶者および登録パートナーの準拠法上の性質を類型化することにより、租税法上の配偶者と同性パートナーの法的研究の糸口を示すものである。
(英治出版 2021) 256頁 1,800円+税
企業法務はこんなに面白い!
〇ビジネスを前に進める上では欠かせないにもかかわらず、その実態が見えづらい企業法務という仕事。法務パーソンとしてキャリア30年以上の著者が、その仕事の本質と全体像を分かりやすく解説し、その面白さを伝える一冊。
<本書の特徴>
〇対話をベースにした分かりやすさ
上司と部下の対話を軸に分かりやすく解説。著者の長年の経験に基いた現場のリアリティを追体験できる。
〇現場で求められる「マインドセット」に着目
法律の知識や英語力などだけでなく、企業法務という仕事に特有の「マインドセット」があることを提示。
<目次>
第1章 企業法務の実像 第2章 イシューを発見する 第3章 危険を察知する
第4章 着地点を探す 第5章 「視える化」する 第6章 視野を広げる
第7章 企業法務の未来を描く
(大学教育出版、2020) 242頁 3,080円+税
本書は、「秩序と発展」を国是とするブラジルの法体系について歴史的成り立ちから現在までの姿を概説し、さらに著者の専門分野である経済法についてブラジルの特徴を考察したものである。第Ⅰ編は法構造と司法制度を平易に解説し、第Ⅱ編は会社法、競争法、腐敗防止法および仲裁法の4つの主題から現代ブラジル法の特質を追究した研究や実務に役立つ概説書。本書の構成は以下の通り。
第I編 ブラジル連邦共和国の法制度
序 論 ブラジル法の形成過程
第1章 1988年憲法・政治体制・司法制度
第2章 刑法および刑事訴訟法
第3章 民商法
第4章 民事訴訟法・倒産法
第5章 企業法・資本市場法
第6章 経済法
第7章 知的財産権法
第8章 労働法
第II編 ブラジル経済法の論点
序 論 経済秩序の形成と法
第1章 ブラジル株式会社法の概要と特質
第2章 競争法の歴史的展開
第3章 腐敗防止のための法人処罰法
第4章 国際商事仲裁と法
本書執筆の動機は、優れたブラジルの法制度を概括的に照会することによって、わが国に紹介したいという筆者の永年の願いである。1988年から5年間ブラジルに滞在し、企業法務に携わった経験や、その後大学院でブラジル会社法の研究を継続した実績などを本書に著し、ブラジルに関心のある読者の参考に供した。なお、日本貿易振興機構(JETRO)の二宮康史志先生の書評が以下に掲載されている(http://www.js3la.jp/journal/pdf/ronshu54/54_ninomiya.pdf)。
(中央経済社、2020) 325頁 3,100円+税
本書は、著者の企業実務(法務等のコーポレート部門)及び法科大学院での教鞭の双方の経験が活かされた書籍。膨大な条文数のある会社法について、株式会社の重要な項目について、その立法趣旨も含めて丁寧に解説している。実務の視点が念頭にあるため、伝統的な会社法の体系書とは異なり、第1編 会社機関 第2編 株式 第3編 計算 第4編 資金調達 第5編 組織再編 第6編 会社設立と解散 の解説の順番としている。また、会社法を初めて学習する読者の利便性を考えて、会社法の読み解き方や商法と会社法の関係等、会社法を理解する上で役立つ記載もある。さらに、読者の理解の促進のために、各章に事例問題を掲載するとともに、考える際のポイント・関連条文・解答骨子も記述している。この理由は、本文解説の内容の確認とともに、具体的な場面で会社法を当てはめることの重要性を認識してもらうことを狙いとしているからである。
株式会社運営を行うための基本法である会社法を法理論と企業実務の両面から理解し活用されることが本書の目的である。会社役員や基幹管理職の社内研修用として使用している会社も多い。会社法について、今までまとまって学修する機会がなかった方はもちろんのこと、商法とは条文構造も内容も大きく異なった会社法を再確認されたいと考える読者に特に有用である。
(中央経済社、2020) 424頁 4,800円+税
本書は、租税条約における事業所得,給与所得などの各種所得について締約国のいずれが課税権を有するかを定める配分ルールについて,OECDのモデル租税条約を中心に各国裁判例を多数紹介して分析し,あるべき解釈を示すものである。
また,本書は,このような配分ルールの基本メカニズムを明らかにするとともに,①租税条約が二国間を超える関係にも適用されるか,②租税条約は盾にすぎないのか,剣ともなり得るのか,③租税条約は,二重課税の排除だけが目的か,それとも二重非課税の排除も含むかといった租税条約についての本質的問題を解明することを目標とするものであり,筆者の見解を展開するものである。
これまで配分ルールについての同様の体系書はなく,実務家だけでなく,研究者や大学院生にも参考になるものである。
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