臓器移植Q&A
移植後の食事、生活
心臓移植を受けると、心機能が戻るので、生活は一変します。合併症がなければ、社会復帰したり、活動範囲が増加したりして、生活の質(QOL; Quality of Life)が向上します。さまざまな運動ができるようになりますが、移植した心臓には神経がつながっていません(除神経といいます)ので、急に走り出したりするのは避けてください。運動する前には、必ず準備運動をして脈拍を早くするようにしましょう。
しかし、免疫抑制薬を飲まないと、頂いた臓器を自分の免疫担当細胞や抗体が攻撃して傷めてしまいます(拒絶反応といいます)。そのため、一部の臓器移植を除いて、移植を受けた患者さんは一生免疫抑制薬を飲まなくてはいけません。
また、免疫抑制薬を飲むと、病原体(細菌、カビ(真菌)、ウイルスなど)からの防御機能が低下するので、感染症にかかり易くなります。そのため、いろいろな日常生活の制限が必要ですので、待機中にしっかりと勉強しておくようにしましょう。移植後守らなければいけないことがたくさんあって大変なことも多いと思いますが、臓器を提供していただいたドナーを想えば、その臓器を大切にできるでしょう。
下記のようなことに、注意してください。
- 缶詰は缶の形が変化していないか、表面に傷がないかを確かめ、水洗いをしてから開封し当日使い切るようにしてください。
- レトルト食品は表面に傷がないか確かめ、水洗いをしてから開封し、当日使い切るようにしてください。
- カップ麺は沸騰した湯を用いて調理してください。
- ブリックパック(牛乳・ジュース)、アルミパック(プリン・ゼリー・ヨーグルト)は無菌充填・加熱殺菌の表示のある物を選び、賞味期限内に使用してください。
- 果物は新鮮で傷のない物を選び、基本的には皮をむける物にしてください。流水で十分に洗浄し食べ残しは食べないようにしてください。ナイフも使用前に流水でよく洗浄してください。
- 飲料用の缶・ビン・ペットボトルは開封したら24時間以内に処分してください。
- 沸騰したお湯で入れたお茶・コーヒーは安全ですが、飲み残しは飲まないようにしてください。
- 輸入されたミネラルウォーターは製品の滅菌行程がはっきりしない為、国産品のみ許可してください。
- アイスクリーム・シャーベット・氷は個別密閉包装されているものとしてください。
- 調理した物については、家庭で清潔に調理された物を2時間以内で食べるようにしてください。
- 調味料は個別パックの物を1回ずつ使い切るようにしてください。
- 以下に食べるべきでない食品を書きましたので、避けてください。
<避けるべき食品>
- 生の肉・魚(刺身)・にぎり寿司
- ドライフルーツ
- 調理後2時間以上たった食品
- 発酵食品(生味噌類・納豆)
- 煮沸していない漢方薬
- カビを含んでいるチーズ
- アルファルファ豆他の種の新芽
- 期限切れの全ての食品
- 生の木の実
- 自宅で漬けた漬け物
- グレープフルーツジュース
手術後6カ月目までは拒絶反応や感染症にかかり易いため検査も頻回に行います。拒絶反応の診断のための心筋生検は、移植後1カ月までは毎週、3カ月までは2週間毎、半年までは毎月、その後年に1~2回行います。
遠方の患者さんの場合、6カ月間は移植施設の近くに住んでいただきます。
外来のたびに血液検査、心電図を行います。適宜、胸部X線(レントゲン)検査、心臓超音波検査を行います。
6カ月目の検査で問題が無ければ遠方の方は地元へ帰っていただけます。また、その頃、社会復帰も可能になります。
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