臓器移植Q&A

肝臓肝臓

移植対象者

なぜ移植が必要なのでしょうか?

肝臓は、生命を維持するのに欠かせない臓器であり、腎臓の機能不全における維持透析のような、日常生活を可能にする代替療法がありません。心臓の場合、人工心臓技術の進歩により、色々な選択が可能となりつつありますが、人工肝臓技術は未だ確立されたものはありません。

急性肝炎で肝不全に陥った状態で血液浄化療法により短期の増悪期を乗り切れば、肝再生により回復が見込める場合もありますが、肝機能が生命の維持に恒常的に支障がある状態となり薬物療法で回復の見込みがない場合、肝移植のみが唯一の有効な治療法となります。

どのような人が移植を受けられるのでしょうか?

病気の種類にかかわらず、基本的に肝臓の障害が重く、生命の危機があり、新しい肝臓によって機能が回復すれば全身の状態が改善するすべての病態が、肝移植の対象と考えられます。肝細胞癌を併発していても、遠隔転移が無く、癌の大きさや個数が一定の範囲にとどまっていれば(5cm以内、5個以内)、肝移植を受けることが可能です。また、肝臓に由来する代謝性疾患で不可逆的な影響を及ぼすものや、多発性肝嚢胞のように大きな苦痛を伴う病態は、肝機能がある程度保たれていても対象と考えられます。心臓や肺の機能が全身麻酔に耐えられないと考えられる状態や、肝移植後に意識が戻ることを期待できない状態は、移植の対象ではありません。また悪性疾患の併存やコントロール不能の重篤な感染症を併発している場合も適応となりません。

執筆:赤松 延久・田村 純人

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