臓器移植Q&A

腎臓腎臓

移植について

なぜ腎移植が必要なのでしょうか?

末期腎不全に対する腎代替療法には、腎移植の他に透析(血液透析、腹膜透析)がありますが、透析療法では正常の腎機能を十分に補えないため、透析による合併症(心臓血管系疾患、骨病変、感染症など)により、生き残る確率(生存率)が悪くなります。透析療法で腎臓の代わりの機能を上げるためには、長い時間、あるいは頻回に透析をする必要ありますので、社会生活に支障をきたし、いわゆる生活の質が下がってしまいます。

腎移植を受けるとどのくらい長生きできるのでしょうか?

近年の腎移植の生存率(生き延びる確率)は、生体腎移植では3年で99.2%、5年で96.8%、10年で92%、献腎移植ではそれぞれ98.1%、93.3%、81.3%と、昔に比べて格段に良くなっています。

移植された腎臓はどのくらいもつのでしょうか?

近年の腎移植の生着率(移植した腎臓が機能している確率)は生体腎移植では1年で98.6%、5年で93.1%、10年で83.9%、献腎移植ではそれぞれ96.6%、87.8%、70.0%と、昔に比べて格段に良くなっています。

血液型が違っても腎移植はできるのでしょうか?

血液型が違っても臓器移植は可能です。2019年までで、腎移植では5,000例以上の血液型不適合移植が行われており、移植の成績も血液型が一致している組み合わせと比較しても同等の成績です。

血液型不適合、血液型不一致とは以下の組み合わせをいいます。

血液型不一致移植は、血液型が一致した場合と移植の方法はほとんどかわりません。
血液型不適合移植では移植前の免疫抑制薬の種類や服用方法などが変わってきます。移植前に血漿交換などの特殊な治療をすることにより、血液型が不適合でも腎移植が可能となり成績も良くなってきています。

腎臓が悪くなってきた場合、透析をせずに腎移植することはできますか?

透析をせずに腎移植をすることはできます。透析をしないで腎移植をすることを「先行的腎移植」といいます。
これまでは透析をして体調を整えてから腎移植をした方がよいと考えられていました。ところが最近では、透析をすることなく腎移植をする方が、生存率や生着率など腎移植の成績がよいという報告が、海外をはじめ多数みられるようになり、「先行的腎移植」が盛んに行われるようになってきています。
小児における「先行的腎移植」は以前より多数行われていました。小児が腎不全になると、成長障害、精神的発育障害がみられますが、透析療法ではこれらの合併症は解決できません。したがって、小児の腎不全には透析療法を経ない「先行的腎移植」が最善、最良の治療法となります。

執筆:米田 龍生・石井 大輔

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